かつて私たちの暮らしに欠かせなかった『木』。身の回りがプラスチックやコンクリートといった素材で囲まれるようになった今も、木製の家具や雑貨は根強い人気を集めています。ナチュラルな佇まいにやさしい質感、経年変化しながら長く生活に寄り添い続ける丈夫さ…さまざまな木の魅力に惹かれ、暮らしの中に取り入れている人も多いのではないでしょうか。

一言で“木”といっても、暮らしへの取り入れ方は人それぞれ。今回は手軽に取り入れられる、木製雑貨をいくつか紹介します。
深くやさしい香りを楽しんだり、ほっこりとした見た目に癒されたり、まずは身近なところから木の魅力に触れてみてはいかがでしょう。

森林特有の清涼感あふれる香りを自宅でも感じたいなら、天然の木のエキスが原料のディフューザーを取り入れてみては？このアイテムは日本全国から取り寄せた、希少性の高い精油や植物エキスを元につくられています。東京都のヒノキ、北海道のモミの木、神奈川県の桜、和歌山県の杉＆ミカン…とラインナップは4種類。どれも思わず深呼吸したくなるクリーンな香りで、お部屋の空気そのものが浄化されるようです。

こちらは国産のヒノキを使った入浴剤。バスチップが入ったサシェを湯船に沈めれば、浴室いっぱいに清々しいヒノキの香りが広がって優雅な温泉気分が味わえます。“芳香療法”という言葉もあるほど、香りが身体に与える影響は絶大。木のやさしい香りは疲れた心身をゆるやかにほぐしてくれるでしょう。

ナチュラルでやさしい雰囲気の、木製インテリア雑貨。コースターや花瓶、電源いらずで柔らかく音を広げてくれるスピーカーなど、バリエーションは多岐に渡ります。部屋のテイストをあまり選ばず、置くだけで辺りの雰囲気を柔らかく変えてくれるのが木製雑貨の魅力です。値段が手ごろなものも多いので、まずはひとつ手に取ってみても。

視覚や嗅覚、さまざまな観点から癒しを届けてくれる木。でも、木がもたらすのは癒しだけではありません。実は、木材を暮らしに取り入れることは、今後も私たちが心地よく住める地球環境を守ることに繋がっているのです。

「木材は希少な資源」「木を伐採してはいけない」こんな意見を聞いたことがある人も多いでしょう。でも日本の木材に関しては、これらの考えは少し見直した方が良いかもしれません。今、日本の森林の多くは“伐って使うとき”を迎えているのです。
実は、国内の森林のうち約4割は人工的に植えられた人工林。そのうち約半数が植えられてから50年近く経ち、木材として使用するのに適した状態へと成長しています。
森林がもたらす効果は「空気をきれいにする」「土砂災害を防ぐ」「生態系を守る」「水資源を蓄える」など数多くありますが、これらの効果を最大化させるには木の成長を放置しないことが大切です。伐採し、その木材を活用し、また植えて育てる。このサイクルをしっかり回していくことが、日本の豊かな自然を守り、持続可能な社会への貢献（SDGｓ）にも繋がっていくのです。

国産木材の適切な利用を促す活動として、現在行われているのが『ウッド・チェンジ・プロジェクト』。木造建築を増やしたり、木の活用先を増やしたりといったさまざまな取り組みが林野庁主導で行われています。
先ほど紹介した木製雑貨も『ウッド・チェンジ・プロジェクト』の一環。この活動に共感したアパレル企業『コックス』が対象となる木材を使ってつくったもので、これらのアイテムを購入することが「木材を正しく使う」ことに繋がります。身の回りの選択が、自然環境を守ることに繋がる…そう考えると、雑貨やインテリアの選び方がこれまでとは変わってくるのではないでしょうか。

日本の自然を守る、と言葉にすれば大変そうなことでも「木製の雑貨を手に取ってみる」であればより気軽に取り組めそうな気がしませんか？豊かな自然の恵みをこれからも受け続けるために、自分にも環境にも心地よい暮らしを始めてみてはいかがでしょう。