キノ・イグルーの週末シネマ​ no.101
マルホランド・ドライブ|“観る”だけじゃない楽しみ方語り合いたい映のカバー画像

マルホランド・ドライブ|“観る”だけじゃない楽しみ方語り合いたい映画

文:キノ・イグルー 有坂塁

マルホランド・ドライブ|監督・脚本:デヴィッド・リンチ(2001年・アメリカ/フランス)

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2019年05月24日作成



ここまで語り合った映画は、他にありません。

2001年のアメリカ・フランス合作映画『マルホランド・ドライブ』。

監督は、鬼才デヴィッド・リンチです。

みなさん、この名前、聞いたことがあるでしょうか?


彼の存在を一躍メジャーへと押し上げたのは、

1991年の『ツインピークス』。

日本では、WOWOWの開局と同時に放映され、謎が謎を呼ぶ展開に、

サブカル好きだけでなく一般層の人たちまでもが熱狂。

ある種の社会現象にまでなった伝説の作品です。


しかしぼくは当時、積極的に映画がキライだったこともあり、

一度も観たことがなく、リンチデビューを果たしたのは、

1996年に公開された『ロスト・ハイウェイ』のときでした。

でもそこからは皆と同じように、

『イレイザーヘッド』『ブルーベルベット』など、過去作を次々と鑑賞し、

ずぶずぶとリンチ沼にはまっていくことになったのです。


そして待望の最新作が公開!

それが前述した『マルホランド・ドライブ』でした。

ポスターには「わたしのあたまはどうかしている」という

キャッチコピーがあり、期待は高まるばかり。

居てもたっても居られなくなったぼくは、

公開初日の、初回を観に行くこととなります。

そして、大感動。

瞬く間に『マルホランド・ドライブ』は、

ぼくのフェイバリットムービーの1本となったのです。


***


ある真夜中、マルホランド・ドライブで車の衝突事故が発生。

ただ独り助かった黒髪の女は、ハリウッドの街までなんとか辿り着き、

留守宅へ忍び込む。すると、そこは有名女優ルースの家だった。

そして、直後にやってきたルースの姪ベティに見つかってしまう。

ベティは、とっさにリタと名乗ったこの女を叔母の友人と思い込むが、

すぐに見知らぬ他人であることを知った。

何も思い出せないと打ち明けるリタ。

手掛かりは大金と謎の青い鍵が入った彼女のバッグ。

ベティは同情と好奇心から、リタの記憶を取り戻す手助けを買って出るのだが…


***


本作の魅力は「わかりそうでわからない」ところ。

クエスチョンマークだらけになる難解映画と違い、まずは普通に面白いんです。

話の筋だってきちんとあるし、女優さんは綺麗だし、映像や音楽はスタイリッシュ。

往年のフィルムノワールをなぞるような構成になっています。


ところが、ある場面を境に、何かが変わるのです。

ギュインと時空が歪む感覚というか、

自分が観ていたはずの世界さえも疑うようになってしまう。

これこそ、リンチ・マジック。

夢?幻想?現実?

謎が謎を呼び、知らない間に彼の迷宮世界へと迷い込んでしまうのです。


さらに鑑賞後、友人と語り合ってみると、あら不思議。

作品についての解釈が、自分だけでなく友人も間違っているではありませんか。

ギリギリのところで、どうしても辻褄が合わない。

解けそうで解けないパズルのようで、

ぼくらはふたたびリンチの迷宮世界へと迷い込むことになるのです…


映画に、翻弄される心地よさと、語り合う面白さ。

このふたつの感覚を、

ぼくは『マルホランド・ドライブ』という世紀の大傑作を通して、

同時に知ることができました。

これは、みなさんにも体験してもらいたい。

わからなくても面白い映画があるんだ!と思えたら、

きっとあなたの世界はもっと大きな何かへとつながっていくはず。


ぜひ勇気を出して、この週末に鑑賞してみてください。


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『マルホランド・ドライブ 4Kリストア版』
DVD 4,800円+税
発売・販売元:株式会社KADOKAWA

映画選定・執筆

有坂塁
キノ・イグルー 
有坂塁
キノ・イグルーは、2003年に有坂塁が渡辺順也とともに設立した移動映画館。
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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