ものづくりの喜びに触れる。体験型展示が新しい「リサ・ラーソンの作り方 展」

ものづくりの喜びに触れる。体験型展示が新しい「リサ・ラーソンの作り方 展」

北欧を代表する陶芸家、リサ・ラーソン。愛らしい動物の陶器や絵本のキャラクター、暮らしにときめきを添えるプロダクトをたくさん生み出し、世界中のファンを喜ばせてきました。立川にあるPLAY! MUSEUMで開催中の「リサ・ラーソンの作り方 展」では、人気作品の制作プロセスを紹介。来場者の好奇心を開きながら、ものづくりの世界へと引き込みます。2026年01月26日作成

カテゴリ:
旅行・お出かけ
キーワード
イベント北欧陶器
お気に入り数193

「PLAY! MUSEUM」でリサ・ラーソンのものづくりを満喫

世界中で愛される、スウェーデン生まれの陶芸家、リサ・ラーソン。愛嬌たっぷりの動物たちをはじめとする、思わず手に取りたくなってしまう陶器の数々、彼女の作品ほど、「かわいい」という言葉が自然に馴染むものはなかなかないかもしれません。
*記事内の写真は全て「PLAY! MUSEUM」会場内で撮影したものです。
リサ猫の原型 「にっぽんのリサ猫」のためにリサ・ラーソンが制作したもの

リサ猫の原型 「にっぽんのリサ猫」のためにリサ・ラーソンが制作したもの

2024年、リサ・ラーソンは惜しまれながらも92歳で亡くなりましたが、その人気は陰ることなく、常に新鮮な輝きをもって私たちを魅了し続けています。それも彼女のものづくりへの情熱が、スウェーデンの工房や協働してきた各地の人々にしっかりと共有されているからこそ。アイデアがかたちになり、魅力的なプロダクトになるまで、背景にどんなストーリーがあるのでしょうか。
リサ・ラーソンが使っていた粘土

リサ・ラーソンが使っていた粘土

リサ・ラーソンのものづくりをたどる展覧会が立川にある「PLAY! MUSEUM」で開催されています。お馴染みの作品の制作プロセスを紹介するほか、アトリエで実際に使われていた道具やスケッチ、作業風景の映像や写真など、貴重な資料を公開。さらに展示空間内に、来場者が手を動かし創作を楽しむワークショップも用意されています。「見る」「知る」だけで終わらない、ユニークな展覧会の一端をご紹介します。

展示会場入口

展示会場入口

「リサ・ラーソンの作り方 展」
会場:PLAY! MUSEUM (東京・立川)
会期:2025年12月27日(土)〜2026年2月23日(日・祝)
開館時間:10:00-17:00(土日祝は18:00まで/入場は閉館の30分前まで)
入館料のほか、ワークショップは一部有料


「リサ・ラーソンの作り方 展」|PLAY! MUSEUMとPARK
リサ・ラーソン(1931〜2024)は、スウェーデンを代表する陶芸家です。1950年代から始めた創作活動を通じて、動物を表した愛らしい陶器を中心に、世界各地で人々の暮らしを彩り、豊かにしてきました。日本では、陶器にとどま...

あの人気作品も!制作の裏側を探る

本展は、制作工程や作業風景を紹介する第1部、毎日ワークショップを行う第2部、陶器のゆくえを考える第3部の3つのパートで構成されています。

まず第1部で注目したいのは、量産品の制作プロセス。リサ・ラーソンの作家性を強調するのではなく、職人とのコミュニケーションや実際の作業の様子について、写真や映像、テキストを交えながら、丁寧に紹介されています。

猫の「MOA」と「MOA mini」。ぴんと立ったしっぽとどこかとぼけた表情が印象的。サイズ違いで並ぶとまるで親子のよう

猫の「MOA」と「MOA mini」。ぴんと立ったしっぽとどこかとぼけた表情が印象的。サイズ違いで並ぶとまるで親子のよう

職人たちとの妥協のない仕事

リサ・ラーソンのキャリアのスタートはスウェーデン最大の陶磁器メーカー、グスタフスベリ社。スティグ・リンドグベリに才能を見出され、リサがデザインした「小さな動物園シリーズ」が1956年に商品化されることに。1980年にフリーランスとして独立するまで同社のデザイナーとして数多くの名作シリーズを生み出しました。

そして、1992年に信頼する仲間とケラミック・スタジオを設立。この工房では現在もリサの原型をもとにした量産品の製造が続けられています。
リサ・ラーソンが作った原型

リサ・ラーソンが作った原型

量産品をデザインする一方で、成形から焼成まで自らの手で一貫して行うユニークピース(一点ものの作品)もたくさん手がけましたが、デザイナーとアーティスト、立場の違いは彼女にとってそれほど重要なことではなかったのかもしれません。そう思わせるほど、量産品のフィギュアも特別な存在感を感じせるものばかり。ものづくりに対する分け隔てのない真摯な姿勢も、リサ・ラーソンの大きな魅力です。
リサ・ラーソンが制作で使っていた道具や釉薬見本など。使い古した櫛やスポンジ、貝殻など、身の回りにあるものを柔軟に活用していました

リサ・ラーソンが制作で使っていた道具や釉薬見本など。使い古した櫛やスポンジ、貝殻など、身の回りにあるものを柔軟に活用していました

工房では、リサ・ラーソンの原型をもとに型が作られ、焼成、彩色などさまざまな工程を経てプロダクトが完成します。納得のいく作品に仕上がるまで、リサと職人たちの間でたくさんの試行錯誤があったのだそう。良いものを作るためには互いを尊重し、労力を惜しまない。すばらしい作品の背景に、尊い時間の蓄積があることがわかります。

プロダクトの制作工程のサンプル。リサが作った原型をもとに、ケラミック・スタジオの職人が制作した型が並びます

プロダクトの制作工程のサンプル。リサが作った原型をもとに、ケラミック・スタジオの職人が制作した型が並びます

ネコのミア、ライオン、ハリネズミ、どの作品も画一的ではなく、ひとつひとつ個性的で愛おしい。独特の表情をつくるのは絵付けだけではありません。釉薬の色合いもそれぞれ理想の状態になるまで細かく調整されていることがわかります。
プロダクトの制作工程のサンプル。焼成から彩色、窯出しまで。プロダクトの種類によって、余分な釉薬を拭き取ったり、塗り重ねたり、細かな調整が入ります

プロダクトの制作工程のサンプル。焼成から彩色、窯出しまで。プロダクトの種類によって、余分な釉薬を拭き取ったり、塗り重ねたり、細かな調整が入ります

失敗もポジティブに変換!機知に富んだ作品たち

「何を作っても丸くなっちゃうの」とはリサ・ラーソン自身の言葉。粘土をこね、形を生み出すプロセスを楽しみながら、次々と独創的な作品を生み出していきました。ときには失敗から新しいアイデアが生まれることも。作品に込められたユーモアもたまらなく魅力的です。
男性を持ち上げる女性の姿が勇ましい「社会討論」という作品。はじめは結婚式の贈り物として男性が女性を持ち上げる形で試作したものが、重みに耐えきれず壊れてしまったため、男女を入れ替える案が生まれたのだそう。フェミニズム的な観点からも話題を集める作品になりました

男性を持ち上げる女性の姿が勇ましい「社会討論」という作品。はじめは結婚式の贈り物として男性が女性を持ち上げる形で試作したものが、重みに耐えきれず壊れてしまったため、男女を入れ替える案が生まれたのだそう。フェミニズム的な観点からも話題を集める作品になりました

読書する少女を表現した「ABC girls」。衣装も髪型もモダンでおしゃれ。足や手の位置、姿勢も微妙に違っていて、仕草の温度感まで伝わってくるかのようです

読書する少女を表現した「ABC girls」。衣装も髪型もモダンでおしゃれ。足や手の位置、姿勢も微妙に違っていて、仕草の温度感まで伝わってくるかのようです

アイデアの種を探して

会場には、リサ・ラーソンが描いたスケッチもたくさん展示されています。大好きな猫をはじめ、他の動物や人、中には陶器の絵柄のようなものも。タッチもさまざまで、リサの頭の中を覗いている気分になります。
リサ・ラーソンの猫のスケッチ

リサ・ラーソンの猫のスケッチ

さらに、絵とことばがテーマのミュージアム「PLAY! MUSEUM」ならではの心配りも。壁にある大きな年表には、時代に近い写真が挿入されていたり、生前のリサ・ラーソンを度々取材していた雑誌『MOE』の編集長、森下訓子さんのコラムが添えられるなど盛りだくさんの内容。読みものに触れているような感覚で、彼女の人生を追うことができます。
壁に大きく貼られた年表。若かりし日のリサ・ラーソンが制作に励む姿も確認することができます

壁に大きく貼られた年表。若かりし日のリサ・ラーソンが制作に励む姿も確認することができます

スウェーデンへ何度も足を運び、20年近くリサ・ラーソンを撮り続けた写真家、木寺紀雄さんの写真は、リサの暮らしぶりや制作の様子を近い距離感で伝えます。最愛の夫であり尊敬するアーティストでもあった、グンナル・ラーソンとの生活、2人が大切にしたサマーハウスや自然、きっと何気ない日々の暮らしから、たくさんのインスピレーションを得ていたのでしょう。
写真家 木寺紀雄さんの写真をスライドショーで展示。お菓子をつまみながらお茶を楽しむ「Fika(フィーカ)」は北欧の人々が大切にするリラックスタイム。手作りの焼き菓子が美味しそう!

写真家 木寺紀雄さんの写真をスライドショーで展示。お菓子をつまみながらお茶を楽しむ「Fika(フィーカ)」は北欧の人々が大切にするリラックスタイム。手作りの焼き菓子が美味しそう!

日本とのさまざまなコラボレーション

リサ・ラーソンは日本でとても人気のある作家ですが、彼女もまた日本が大好きでした。アトリエには民藝のものや工芸品も飾られ、日本文化に造詣が深かったことがうかがえます。
制作時やプライベートでリサが好んで着用していた剣道着。刺し子の模様が美しく、手仕事の温かさを感じます

制作時やプライベートでリサが好んで着用していた剣道着。刺し子の模様が美しく、手仕事の温かさを感じます

濱田庄司ら民藝運動の中心にいた陶芸家とも出会い、日本のものづくりの土壌に魅力を感じていたリサ・ラーソン。各地の窯元をはじめ、デザイン会社や出版社とも協働し、暮らしにまつわる様々なプロダクトが生まれました。
絵本のキャラクターになった猫のマイキーは日本で大ヒット。暮らしに身近な様々なプロダクトに展開しました

絵本のキャラクターになった猫のマイキーは日本で大ヒット。暮らしに身近な様々なプロダクトに展開しました

日本の窯元とタッグを組み、展開したプロジェクトが「にっぽんのリサ猫」。リサ・ラーソンが制作した原型に各地の窯元の個性が加わり、味わいがあるプロダクトが完成します。会場で紹介される、5つの窯元のプロダクトにもそれぞれの解釈と工夫があることがわかります。
益子焼で作られた「にっぽんのリサ猫」

益子焼で作られた「にっぽんのリサ猫」

ものづくりのワークショップが展示空間の中心に

本展のハイライトは、メイン空間で展開するワークショップ。このワークショップは毎日行われ、来場者が作った作品もまた展示の一部になるという新しい試み。参加は自由で、各々のペースで取り組むことができます。クリエイティブな空気感が自然と広がっていくような心地よい空間です。

*一部有料・事前予約制です。
大きな楕円状の空間で展開するワークショップ。中央には、赤と白の縞模様が特徴的な猫のマイキーを連想させるテーブルが置かれ、自由にお絵描きを楽しめます

大きな楕円状の空間で展開するワークショップ。中央には、赤と白の縞模様が特徴的な猫のマイキーを連想させるテーブルが置かれ、自由にお絵描きを楽しめます

リサ・ラーソンのように、自由にイマジネーションを広げて

「凝ったスケッチはしない」と語っていたリサ・ラーソン。スケッチは完成形ではないのだから、とにかく気楽に、肩の力を抜いて。手を動かしてみることで、何かひらめきがあるかもしれないし、妄想がどんどん膨らむかもしれません。
会場の壁には来場者が描いたマイキーが群れをなしています。色も柄も無限の可能性を秘めていて、ずっと眺めていたくなります

会場の壁には来場者が描いたマイキーが群れをなしています。色も柄も無限の可能性を秘めていて、ずっと眺めていたくなります

スケッチ体験とマイキーのぬり絵は毎日開催しています

スケッチ体験とマイキーのぬり絵は毎日開催しています

子どもと一緒に楽しんだり、インテリアを飾るものとして記念に持ち帰りたくなるようなワークショップもあります。予約が必要なものもあるので、事前に展覧会サイトで確認しておくことをおすすめします。
マイキーのサンドアートボトル(有料)。ガラス瓶に色とりどりの砂を入れて、カラフルなオリジナルのマイキーボトルを作ることができます

マイキーのサンドアートボトル(有料)。ガラス瓶に色とりどりの砂を入れて、カラフルなオリジナルのマイキーボトルを作ることができます

日本の窯元が制作したリサ猫にオリジナルの絵柄をつけるワークショップ(有料、事前予約制)

日本の窯元が制作したリサ猫にオリジナルの絵柄をつけるワークショップ(有料、事前予約制)

愛をもって、陶器のゆくえを考える

「リサ・ラーソンのゆくえ」と題された第3部では、壊れた陶器や商品として出荷できなかった陶器のゆくえについて、サステイナブルな観点で考えます。環境意識の高いスウェーデンでは、ものを大切に使い続けることはごく自然なこと。リサ自身も壊れた陶器を彼女らしいユーモアで素敵に活用していました。そんなリサに倣って、様々なクリエイティブな解決策を提示しています。
リサ・ラーソンがアトリエで使っていた筆立て

リサ・ラーソンがアトリエで使っていた筆立て

陶器は土からできていますが、一度焼成されると自然に分解されることはなく、土に還りません。しかし、「リサの筆立て」のように、壊れた陶器や陶片もアイデア次第で新たな魅力ある作品に生まれ変わらせることができます。ものの価値は、人の捉え方次第なのだと改めて気づかされます。
陶器の破片と製品化されなかった宝石を掛け合わせてアクセサリーにした作品。デザイン・制作:廣田理恵、監修:TOMOUMI ONO

陶器の破片と製品化されなかった宝石を掛け合わせてアクセサリーにした作品。デザイン・制作:廣田理恵、監修:TOMOUMI ONO

リサ・ラーソンが1974年に発表したブロンズの作品、「Myran(マイラン)」は蟻をみつめるこどもの好奇心がテーマ。この空間で展示される「ありをみるこども」は土に分解される自然由来のプラスチックで制作されたもの。リサの想いを受け取り、新しい技術で応答するような余韻を感じさせる作品です。
サステイナブルな「ありをみるこども」。植物由来のPLA樹脂を素材に制作されています。こどもは蟻ではなく、リサが使った粘土を見つめています

サステイナブルな「ありをみるこども」。植物由来のPLA樹脂を素材に制作されています。こどもは蟻ではなく、リサが使った粘土を見つめています

鑑賞の後もお楽しみがいっぱい

展覧会を満喫した後は、ショップでのお買い物やカフェタイムも楽しめます。本展オリジナルグッズや食べるのがもったいなくなるようなかわいいオリジナルメニューも充実。北欧とリサの世界観を堪能する、贅沢な1日を過ごしませんか。
本展オリジナルグッズは多彩な品揃え。展覧会の記念やギフトにもおすすめです

本展オリジナルグッズは多彩な品揃え。展覧会の記念やギフトにもおすすめです

思わず目が離せなくなる愛くるしい表情の動物の陶器作品。数量限定でヴィンテージの陶器作品も販売されているので、気になる方は会場でチェックしてみてください

思わず目が離せなくなる愛くるしい表情の動物の陶器作品。数量限定でヴィンテージの陶器作品も販売されているので、気になる方は会場でチェックしてみてください

クリエイティブな時間を心ゆくまで楽しんで

今年(2026年)の9月にリサ・ラーソンのドキュメンタリー映画が公開される予定です。本展でもこの映画から抜粋した映像がいくつか流れています

今年(2026年)の9月にリサ・ラーソンのドキュメンタリー映画が公開される予定です。本展でもこの映画から抜粋した映像がいくつか流れています

「PLAY! MUSEUM」で日々拡張していくリサ・ラーソンのクリエイティブな世界。ここに来ると、きっと誰もが"手を動かすこと"を純粋に楽しみたくなるはず。あなたも創る喜びを探しに、会場に足を運んでみませんか?

キナリノモールで購入できるリサ・ラーソンのアイテムはこちら

こちらの記事もおすすめ

アプリ限定!
12星座占い、天気予報と気温に合わせたコーデをお楽しみいただけます

お買いものも
キナリノアプリで◎

キナリノアプリ

「これが好き」「これが心地よい」と感じてもらえるお買いもの体験と情報を。暮らしと私をごきげんにする、お買いものメディア

App Store バナーGoogle Play バナー