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vol.95 SOL’S COFFEE 荒井利枝子さん
情熱を宿した、一杯のやさしいコーヒー

「SOL'S COFFEE」が届けるのは「毎日飲んでも身体にやさしいコーヒー」。オーナーの荒井利枝子さんは、友人のお父様が研究したコーヒー豆を受け継ぎ、大切に守り抜いてきました。今では、3店舗を展開するまでになりましたが、ここまでの道のりは、山あり谷あり。ひたむきな努力の末に行き着いたのは、お客さんも自分も心から笑えるかけがけのない場所。荒井さんが歩んだ物語を伺ってきました。(2018年12月28日作成)

写真:岩田貴樹 文:キナリノ編集部

古くから問屋街として栄え、ものづくりの街として息づいてきた東京・蔵前。
近年では、情熱ある作り手たちやクラフトショップが多く集まり、遠方からも人々が足を運ぶ人気エリアです。

そんな魅力的な街にある、コーヒースタンド「SOL'S COFFEE ROASTERY(ソルズコーヒーロースタリ―)」では、世代を超えたさまざまな人が、思い思いの日課を楽しんでいます。
vol.95 SOL’S COFFEE 荒井利枝子さん
情熱を宿した、一杯のやさしいコーヒー
「仕事のある日は、ほとんど来てるよ」
そう教えてくれたのは常連客の男性。まるで古くからの友人のようにスタッフと言葉を交わすと、たちまち店内は賑やかな笑い声で満たされます。
vol.95 SOL’S COFFEE 荒井利枝子さん
情熱を宿した、一杯のやさしいコーヒー
「SOL'S COFFEE」のオーナー・荒井利枝子さんが、トントントン、とリズムをとるように小刻みにお湯を注いでいきます。その独特の仕草は思わず見入ってしまうほど。

「ここでじっくり待たないと」
そういって、荒井さんはコーヒーの様子をじっと伺います。点滴となったお湯がじわじわとコーヒー豆に沁み入り、味が引き出されるのだといいます。

そして、円を描くようにお湯を注ぎ始めると、まるで生きているようにふわっと膨らみ、美しいドームが生まれました。「大事に豆を保管すればちゃんと膨らんでくれるんですよ」と、荒井さんがやさしい眼差しでコーヒーを見つめます。
美しく膨らむコーヒーは、豆の鮮度と正しい保管が重要

美しく膨らむコーヒーは、豆の鮮度と正しい保管が重要

抽出されたコーヒーは、濃く深みのある色をしていますが、澄んだ美しさを感じます

抽出されたコーヒーは、濃く深みのある色をしていますが、澄んだ美しさを感じます

最後は、点滴によって引き出した味わいを、好みの濃さに”のばす”ステップ。天候や焙煎してから経過した時間、そして抽出され落ちるスピードによっても味わいが変わるというコーヒー。あらゆることに神経を行き渡らせ、コーヒーと会話するようにお湯を注いでいきます。注ぐお湯の量をコントロールしながら、勢いよくたっぷりと注ぎ、さっと落とすことでさっぱりとした味になるだといいます。

コーヒー豆を理解し尽し、研究を重ねて確立したオリジナルのドリップ方式は、守り抜き、伝えていきたいコーヒーの味があるからです。
vol.95 SOL’S COFFEE 荒井利枝子さん
情熱を宿した、一杯のやさしいコーヒー

人生を変えた、一杯のコーヒー

今年、お母さんになった荒井さん。娘さんを抱っこしながら取材に答えてくれました

今年、お母さんになった荒井さん。娘さんを抱っこしながら取材に答えてくれました

「私、コーヒーがそんなに好きじゃなかったんです」

高校生のときからコーヒーショップでアルバイトをしていたという荒井さん。好きだったのは、実はコーヒーにまつわる仕事や空間でした。

お父様が鉄骨屋さんだったことから、空間づくりに興味を持ちインテリアの専門学校に進学。就職先もインテリア関係の会社が決まっていました。しかし、卒業を控えたころ、リーマンショックの影響を受け、突然進む道が閉ざされてしまいます。途方に暮れていたときに出合ったのが、友人のお父様が研究した焙煎豆のコーヒーでした。
vol.95 SOL’S COFFEE 荒井利枝子さん
情熱を宿した、一杯のやさしいコーヒー
「そのコーヒーを飲んで、初めてコーヒーを美味しいなって思ったんです」

声をはずませながら、当時のことを話す荒井さん。友人のお父様は、本業は別にありながらコーヒー豆の産地に足を運んだり、専門家に弟子入りしたり。10年以上の年月をかけて、コーヒー豆の焙煎研究に情熱を注いできた人物。副業という枠を超え、知識や技術の深さは本の出版に携わるほど。そのコーヒーは「毎日飲んでも身体にやさしい」がコンセプト。そんな気持ちで育まれたたった一杯が、荒井さんの心を大きく動かしました。

お父様が熱心に研究する姿をずっと見てきた友人が、その想いを継いで会社を起こすと聞き、荒井さんは一緒に歩むことを決意します。
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情熱を宿した、一杯のやさしいコーヒー
「SOL'S COFFEE」を立ち上げて10年が経とうとしていますが、荒井さんは、友人のお父様とは学生時代に一度しか会ったことがないそう。

「友人の父はSOL'S COFFEEをはじめる前に亡くなられているんです。だから、受け継ぐような意味合いで、焙煎のレシピを解読することから友人と始めました。アシスタント的な方がいらっしゃったので、質問しながら仕入れのルートを見直したり、よくお父さんが読んでいたという資料を読み返してみたりして。書いてあることは主に焙煎までの工程で、抽出はよりコンセプトを明確に伝えるために当時新たに考えました」

こういうことが言いたかったのではないか――友人のお父様の声に耳を傾けるように辿る、試行錯誤の歩み。参考になりそうな本を片っ端から読み、時間を見つけてはほかのコーヒーショップに通うなど研究を重ね、荒井さんは友人と一緒に器具の選定やドリップの方法を作り上げていきました。

こだわり抜いて守るコーヒーの味

vol.95 SOL’S COFFEE 荒井利枝子さん
情熱を宿した、一杯のやさしいコーヒー
友人と努力をしてようやく生まれた「SOL’S COFFEE」の味。妥協せずに考え出した工程は、決して簡単とはいえない、手間も時間もかかるもの。

コーヒー豆は、スペシャリティ―コーヒーの新豆を使用してすべて自家焙煎しています。店内に存在感たっぷりに鎮座する焙煎機は、受け継いでから20年近く動く大切な相棒。焙煎する時間の長さによって分かれる浅煎りや深煎り。時期によって人気のテイストがありますが、「SOL'S COFFEE」はトレンドとは無縁。雑味がしないように均一に火を通すことに全力を尽くし、その豆が一番美味しい深さで焼いていきます。
vol.95 SOL’S COFFEE 荒井利枝子さん
情熱を宿した、一杯のやさしいコーヒー
そして、荒井さんが「すごく重要で、一番のこだわり」というのが「ハンドピック」。カビていたり、ひび割れている「欠点豆」を手で取り除いていく作業です。一般的には1回のところ、「SOL’S COFFEE」では必ず2回行っています。

「焙煎前に行うファーストハンドピックに一番時間をかけています。そこでだいたいの欠点豆を取り除くのですが、焙煎した後、もう一度見ないと取りきれてないものや、焦げてしまったものがあるんです。欠点豆1粒当たり10粒に影響するといわれていて。50粒がだいたいコーヒー1杯分といわれているんですよ。だから1粒取り除かないだけで一杯のコーヒーが美味しくなくなってしまうと思うんです」
vol.95 SOL’S COFFEE 荒井利枝子さん
情熱を宿した、一杯のやさしいコーヒー
vol.95 SOL’S COFFEE 荒井利枝子さん
情熱を宿した、一杯のやさしいコーヒー
スペシャリティコーヒーは、もともと欠点豆が少なく高品質。それでも手間を惜しまずハンドピックし、納得のいく味を追求していきます。

ハンドピックは、どんなに忙しくても、合間を見つけてスタッフ全員で行う日課。小さな豆一つひとつに目を凝らして行う根気のいる作業ですが、「ハンドピックしながらスタッフと話すのが良いコミュニケーションです」と荒井さんは楽しげです。

必要としている人がきっといる。信じて進んだ代表の道

vol.95 SOL’S COFFEE 荒井利枝子さん
情熱を宿した、一杯のやさしいコーヒー
「最初はどこでどうやって営業したらいいのかもわからず、大きい公園のまわりを2周して帰ってきたこともありました(笑)」

「SOL’S COFFEE」は、右も左もわからない中、キッチンカーでの移動販売からスタートしました。地道な営業を続けると、少しずつ営業場所とともにお客さんが増えていきました。そんなころ、知人に物件を紹介してもらい、新小岩にお店をオープンします。

本当は、何種類ものコーヒー豆を扱い、本格的なエスプレッソマシーンがあるようなコーヒー専門店をオープンしたかった荒井さん。しかし、店舗をオープンした場所は、幼稚園などが点在するファミリー向けの住宅街。一見敷居の高いコーヒー専門店は難しいと考え、カフェとしてお店を展開することに。お店には絵本を置いたり、子供用のメニューやイベントを企画するなど、親子で楽しめる場所づくりに励んだ荒井さん。試行錯誤の甲斐あって、「SOL’S COFFEE」の一号店は、憩いの場として地域に根付いていきました。
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情熱を宿した、一杯のやさしいコーヒー
しかし、あるとき、一緒に頑張ってきた友人が方向性の違いから辞めることになり、荒井さんにコーヒー豆が託されました。
「コーヒー豆は、友人のお父さんのもの。その想いを私が継いでもいいのだろうか」
荒井さんの気持ちは揺れました。

「始めたからには意地でも10年続けようと思っていたんです。まだ、こんなふうにやってみたいとか、こういうふうに大きくしていきたいという計画がたくさんあったので、作戦があるかぎり続けたいって思いました」
vol.95 SOL’S COFFEE 荒井利枝子さん
情熱を宿した、一杯のやさしいコーヒー
「私はコーヒーが好きだし、心から美味しいと思っています。だからこそ、好きという気持ちを続ける理由にすると、いざ『美味しくない』といわれたときに心が折れてしまうと思うんです。だから、代表として、少しコーヒーと距離を置くようになりました」

この一杯を必要としている人は必ずいるはず。もっとたくさんの人に伝えるにはどうしたらいいのだろう。感情を切り離し、あえて戦略的に考えること。好きなことを仕事にすることはときにつらいことです。しかし、荒井さんが強い気持ちで今日まで続けてこられたのは、自分の心の弱さから逃げず、しっかり向き合ってきたからこそ。
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情熱を宿した、一杯のやさしいコーヒー
代表となって夢中で走りだした荒井さんの活動は、少しずつ実を結び始めます。学生時代の友人から声がかかり、2013年4月に蔵前に「SOL'S COFFEE STAND」をオープンすることに。

「やっとコーヒー専門店ができる!」荒井さんの胸は高鳴りました。
新小岩店はカフェとしてはうまくいっていましたが、荒井さんがどうしても伝えたかったのは、コーヒー豆の味。「SOL'S COFFEE STAND」では、コーヒー豆の美味しさを作りだす本格的な設備、そしてコーヒーの味を引き立てるフードを準備しました。
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情熱を宿した、一杯のやさしいコーヒー
「SOL'S COFFEE STAND」がメディアに取り上げられると、有名スポーツメーカーから声が掛かり会社内のコーヒースタンドをオープン。そして、2014年3月にはライフスタイルショップ「KONCENT」内にもスタンドコーヒーを構えました。「SOL'S COFFEE STAND」のオープン後、荒井さんは街ぐるみで行うイベントに参加するようになり、蔵前の経営者の先輩たちとご縁が広がっていました。「KONCENT」内のスタンドコーヒーも、「地元で頑張る⼈を応援したい」と声をかけてもらったことがきっかけ。

「経営者の方々が、私を同じ経営者として扱ってくださって、どんなことで悩んでいるのかリアルな言葉でたくさん聞かせてくれたことが今も励みになっています。自分で経営している人たちが近所にいて、お話しできる素晴らしい環境だなって思って大事にしています」と荒井さん。最近では、蔵前という街に貢献していきたいと強く思うようになったと目を輝かせます。

試練を通して生まれた覚悟

「SOL'S COFFEE 」を立ち上げたときから、茨城県まで数時間かけて自分たちの手で行っていた焙煎。友人は代表を辞めた後も、会社員として働きながら休みの日に焙煎を続けてくれていましたが、店舗数が増えると限界が見えてきました。荒井さんは、思いきって焙煎機を置ける「SOL'S COFFEE ROASTERY(以下 ロースタリ―店)」をオープンするため蔵前で準備を始めます。
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情熱を宿した、一杯のやさしいコーヒー
しかし、順調に見えた未来に、急に暗雲が立ち込めます。それからの月日を怒涛だった、という荒井さんの言葉どおり、激動の日々が待っていたのです。

あるとき、突然スタッフが一度にお店を辞め、5店舗に対してスタッフは全員で3名に。とても全店を回せる人数ではありません。荒井さんは泣く泣く新小岩店を一時的にクローズ。急遽スタッフを採用し、営業を再開しようと奮闘します。
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情熱を宿した、一杯のやさしいコーヒー
ときを同じくして、茨城から持ってきた焙煎機。しかし、建物が密集する東京では、近隣への配慮から焙煎時に出るチリを取り除くダクトが必要だとわかったのです。その金額は200万円。ロースタリ―店の開店のため大きなお金も借りていた荒井さんに、それを支払う余裕は残っていませんでした。

焙煎機が動かせなければ、お店を閉めるしかない。
追いこまれた荒井さんは、クラウドファンディングで支援金を募ることを決意します。それまでメディアの取材でも出来るだけ顔を出さないようにしてきましたが、動画告知やキャンペーンイベントを行い、コーヒーへの想いを伝え続けました。
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情熱を宿した、一杯のやさしいコーヒー
そんなとき、追いうちをかけるように、新小岩店のオーナーから立ち退きを依頼する電話が入ります。荒井さんの心は苦しさと不安でいっぱい。くじけそうになりながらも、「ロースタリ―店のオープン準備をがんばろう」とスタッフに声をかけ続け、前向きに気持ちを切り替えて必死で動き続けました。

そして、とうとうやって来た新小岩店の解体の日。思い出深い場所がくずれゆく光景に、流れても流れても止まることのない涙。次の日、悲しみのあまり体調を崩して入院してしまいます。
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情熱を宿した、一杯のやさしいコーヒー
「泣き過ぎてしまって……(笑)」
入院の理由を笑って話す荒井さんですが、嵐のようにやって来る試練に、ぎりぎりの状態だったのでしょう。それでも、荒井さんはあきらめませんでした。

「クラウドファンディングをしていたので、入院している間もずっとあといくらですってパソコンで経過報告していました。クラウドファンディングで支援がお金という形で表れていて、応援してもらっていると思ったんですよ。現実はこんな状態なのに、みんな大丈夫、いけるよって応援してくれてるって受け取っていて。私がしっかりしなきゃって」

荒井さんのひたむきな想いは、会ったことのない人たちにもしっかり届いていたのです。無事にクラウドファンディングが成功すると、荒井さんも現場に復帰し、新たな気持ちでスタートをきりました。顔を出して想いを伝えたことで生まれた、代表としての覚悟。それは、荒井さんを奮い立たせる勇気となって、今も胸の奥で燃え続けています。

「理想の一杯」を通して届けたい「期待を超えた出会い」

vol.95 SOL’S COFFEE 荒井利枝子さん
情熱を宿した、一杯のやさしいコーヒー
いくつもの試練を超えて守り抜いてきたコーヒーの味。ですが、「SOL'S COFFEE 」では、コーヒーの分量だけ守ると、あとはお客さん好みの濃さに調整し、"その人のための一杯"を淹れていきます。希望があれば、砂糖やミルクを入れることも。美味しさを追及したからこそ届けたいのは、お店の味ではなく、「お客様理想の一杯」です。

「今飲みたいコーヒーと夜飲みたいコーヒーは、いつも一緒じゃないですよね。季節によるところもあるし。それを質問攻めにするのではなくて、今私たちが持っている商品や設備を用いて、お客様にとって一番いいコーヒーを察知してご提供できる技術や知識を持つことが必要なんです」
vol.95 SOL’S COFFEE 荒井利枝子さん
情熱を宿した、一杯のやさしいコーヒー
どんなに心が慌ただしくても、コーヒーを飲めばほっとする。誰かに人気の味ではなく、自分が好きな味であれば、その時間はもっと格別なものに。そんな一杯のコーヒーを通して、荒井さんが作り出したい風景があります。

「ここのコーヒーは今までで一番美味しかった、こういう飲み方は知らなかったとか、こういうコーヒー豆を知らなかったとか、近所でこんなイベントやっているんだとか、期待を超えた出合いのある場所にできたらいいなって」

「お客さん同士が仲良くなりそうだなと思ったら、『あの人と共通点ありますよ』とだけ言ってあとの会話は丸投げしちゃうんです(笑)。そのほうが常連さんと新しいお客さんも楽しそうだし。そんな出会いをソルズマジックって言ってるんですよ」とくすくすっと荒井さんが笑います。

意気投合したお客さんが、ご飯を食べに行く姿を見送ることも多いんです、とうれしそう。これこそ、荒井さんが目指しているお店の風景。"ソルズマジック"はお店を飛び出してあちこちで生まれているようです。
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情熱を宿した、一杯のやさしいコーヒー

母となって目指す店づくり

荒井さんは、1日に1回は全店舗を回り、スタッフや周りのお店の方とコミュニケーションをとることを大切にしています

荒井さんは、1日に1回は全店舗を回り、スタッフや周りのお店の方とコミュニケーションをとることを大切にしています

荒井さんの1日は、娘さんと一緒にお店にやって来ることから始まります。取材の日、お店に立っていたのは旦那さん。自慢のモーニングセットを食べながら、カウンター越しにひとときの家族の団らんの時間を過ごします。

自分がふんばって頑張ればどうにかなる。ときにお店に泊まり込みながらピンチを乗り越えてきた荒井さんですが、お子さんが生まれ、命を預かる感覚を知った今、気持ちに変化が現れました。
vol.95 SOL’S COFFEE 荒井利枝子さん
情熱を宿した、一杯のやさしいコーヒー
「お店に子どもがいるってどうなのって思っていたんですけど、子連れのお客さんが増えたり、すごくいい現象が起きているんです。最初は、自分が立たないでお店が回るとはまず思っていなかったですし、絶対に無理だろうと思っていたんです。でも、子どもが生まれたら、娘もいい子だったり、家族やスタッフ、お客さんもすごく協力してくれて」

そういうと、荒井さんの表情がいっそうやわらかくなりました。イベント出店がある日は何日も現場に立つこともありますが、今中心となってお店を運営してくれているのは、頼れる旦那さんとスタッフたち。人に頼むということは、その人を信頼するということ。懸命に歩んできた荒井さんの周りを、いつしかたくさんの繋がりが生まれていたことに気付いたのです。
婚約を機にお店に立つことを決め、スタッフの方に教わりながらコーヒーの淹れ方やフードの作り方まで1から覚えてくれたという旦那さん

婚約を機にお店に立つことを決め、スタッフの方に教わりながらコーヒーの淹れ方やフードの作り方まで1から覚えてくれたという旦那さん

「子どもが生まれて一番変わったのは、スタッフやお客さんも、家族や友人との時間をもっと大事にしてほしいなって。私がまだできていないんですけど、みんながそういうふうにできる仕組みにしていきたいなってすごく強く思うようになりました。仕事で忙しいからできないなんて、そんなお店にしたくないなと思います。スタッフが家族や友人たちと過ごす時間を大切にしながら働けるように応援していきたいです。10周年に向けての課題ですね」

そう語る荒井さんの表情は晴れやか。経営者としての凛々しい表情の奥に見えるのは、やさしい母の顔です。
vol.95 SOL’S COFFEE 荒井利枝子さん
情熱を宿した、一杯のやさしいコーヒー
スタッフやお客さんと浅草の酉の市に出かけたこと、周年パーティでたくさんのお客さんが来てくれたこと。お店をしていて楽しいことは?とたずねると、うれしそうに答えてくれた荒井さん。「みんなに支えてもらって、すごく幸せです」ととびきりの笑顔。

情熱を宿したやさしい一杯にそっと背中を押されるように、「SOL’S COFFEE」でたくさんの人たちの1日が始まります。


(取材・文/井口惠美子)
SOL'S COFFEE|ソルズコーヒーSOL'S COFFEE|ソルズコーヒー

SOL'S COFFEE|ソルズコーヒー

「SOL'S COFFEE」は、「毎日飲んでも身体にやさしいコーヒー」をコンセプトに、欠点豆をとことん取り除き、すべて自家焙煎でコーヒーを提供。焙煎度の異なる豊富なコーヒー豆のラインナップも魅力。好みを伝えればドリップを調整し、自分理想の一杯を届けてくれます。蔵前には、「SOL'S COFFEE ROASTERY」「SOL'S COFFEE STAND」「KONCENT × SOL'S COFFEE」を展開する。

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