京都府と滋賀県を分かつ東山連峰。
京都盆地の東側、大文字山を中心として、稲荷山から比叡山まで南北に連なります。
檜舞台の本堂で有名な清水寺は、誰もが認める名所中の名所。世界中の人々が訪れる人気スポットです。
けれども、飲食店や土産物店が所狭しと軒を連ねる清水寺界隈は、一年を通して観光客で賑わい、しっとりとした風情を味わうことは、中々難しいものです。
趣きのある散策を楽しむのなら、「南禅寺」へ参りましょう。
閑静な南禅寺界隈
近代以降になって、南禅寺の敷地が民間に払い下げられたのを機に、広大な敷地を誇る実業家らの別荘街となり、現在は「*南禅寺界隈別荘群」を中心とした、瀟洒な住宅や料亭等が軒を連ねる高級住宅地となっています。
銀閣寺や哲学の道といった人気観光スポット、四条河原町の中心街から近い場所に位置しながらも、豊かな自然環境や古からの風情を良く保ち、いつ訪れても閑静で、心静かな散策が楽しめます。
「南禅寺」から「祇園」へ。
けれども、紅葉時の哲学の道は混雑し、落葉後は閑散として寂しく、また広大な平安神宮は、陽気の良い日ならお勧めですが、底冷えする冬の季節に、神宮やその周辺を歩き回るのは、あまりお勧め出来ません。
ランチと喫茶も、楽しんで。

【奥丹 南禅寺店の「ゆどうふ」】
◆本記事の目次
「南禅寺から祇園へ。秋冬にしっとり歩く “わたしの京都旅”」
(◇飲食店・★お勧めの逸品)
1.南禅寺散策のスタートは「蹴上駅」から。
1-1.郷愁誘う「ねじりまんぼ」&「インクライン」
1-2.南禅寺界隈別荘群
2.秋冬のノスタルジック散歩 「南禅寺」境内
2-1.珠玉の庭。塔頭寺院「金地院」&「天授庵」
2-1-1.「金地院」遠州の庭&等伯の襖絵
2-2.旅のハイライトは、「南禅寺」。
2-2-1.“絶景かな!”「南禅寺三門」
2-2-2.庭園&障壁画。国宝「方丈」
2-2-3.ノスタルジックな雰囲気が魅力「水路閣」
2-2-4.南禅寺発祥の地「南禅院」
2-2-5.神秘と静寂の中に。「最勝院高徳庵」
3.南禅寺界隈を歩いて
3-1.茶の湯と能のコレクション「野村美術館」
3-2.モミジに恋して。「永観堂禅林寺」
3-3.数寄者の庭で至福のひとときを。名勝「無鄰菴」
3-4.湯どうふ発祥の地で楽しみましょう。
◇総本家ゆどうふ奥丹南禅寺店 ◇南禅寺 順正
3-5.永観堂周辺で。身体が温まる一杯を。
◇日の出うどん(★カレーうどん)
◇叶匠壽庵 京都茶室棟(★ぜんざい)
4.ちょっと寄り道。白川沿いの七宝記念館&美味しいお店。
4-1.並河靖之七宝記念館
◇枡富(★鴨せいろ)
◇祇園饅頭 製造工場(★志んこ★季節の生和菓子)
5.「青蓮院門跡」から「祇園」へ。
5-1.風雅でしっとり。「青蓮院門跡」
5-2.浄土宗の総本山 「華頂山 知恩教院 大谷寺」
5-3.「知恩院」から「祇園」へ。
5-3-1.京都市民憩いの場「円山公園」
5-3-2.祇園のランドマーク「八坂神社」
6.「祇園白川」界隈をそぞろ歩いて。
6-1.祇園(北側)で、リーズナブルに美味しい一時。
◇いづ重(★いなり寿司★上箱寿司)
◇ぎをん常磐(★ハイカラうどん)
◇おかる(★カレーチーズ肉うどん)
◇かね正(★きんし丼)
6-2.懐かしの喫茶店で。モーニング&ランチ&ブレイクタイム
◇喫茶六花(★モーニングセット)
◇やまもと喫茶(★焼き玉子サンドセット)
◇コーヒーショップ ナカタニ(★玉子サンド)
◇切通し進々堂(★玉子サンド)
◇喫茶カトレア(★古珈琲)
旅のおわりに
「南禅寺」から「祇園」へ。コース案内
本記事では、蹴上駅→南禅寺(塔頭寺院を含む)→南禅寺界隈(永観堂・無鄰菴)→並河靖之七宝記念館→青蓮院門跡→知恩院→円山公園→八坂神社→祇園と進みます。
※◆※ 本記事内の【 】は、画像の説明文。
1.南禅寺散策のスタートは「蹴上駅」から。
1-1.郷愁誘う「ねじりまんぼ」&「インクライン」
1-2.南禅寺界隈別荘群
南禅寺へは、「蹴上駅」を出て「ねじりまんぼ」をくぐり抜け、そのまま直進し、道なりに進みます。
石組の垣根が続くこの道は、庭園「大寧軒(だいねいけん)」と、南禅寺界隈別荘群の一つ「何有荘(かいうそう)」を分かつ道。
【11月下旬の「ねじりまんぼ」から南禅寺境内へと向かう道。右手が「何有荘(かいうそう)」の垣根。左側に「大寧軒」の敷地が広がっています。
「何有荘」は、かつて、染色事業に功績を残し、日本初の映画興行を行った、稲畑産業の創設者・稲畑勝太郎の本邸でした。
近代を代表する庭師・七代小川治兵衛が作庭した日本庭園があることで良く知られていますが、最近ではクリスティーズの仲介で、オラクル社CEO・ラリー・エリクソンが落札したことで話題を呼びました。】
2.秋冬のノスタルジック散歩 「南禅寺」境内
2-1.珠玉の庭。塔頭寺院「金地院」&「天授庵」
2-1-1.「金地院」 遠州の庭&等伯の襖絵
『鶴亀の庭』以外で見逃せないのは、家康の遺髪と念持仏を祀る権現造り様式の『東照宮』(重文)。そして京都の三名席の一つである、遠州作の茶室『八窓席(はっそうせき)』です。【『東照宮』拝殿。東照宮へと続く参道も趣きがあり見所です。】
2-1-2.紅葉の名所「天授庵」
2-2.旅のハイライトは、「南禅寺」。
2-2-1.“絶景かな!”「南禅寺三門」
2-2-2.庭園&障壁画。国宝「方丈」
2-2-3.ノスタルジックな雰囲気が魅力「水路閣」
2-2-4.南禅寺発祥の地「南禅院」

「南禅院」の見所は、鎌倉末期の代表的な池泉回遊式庭園。
境内には、方丈の庭と方丈前庭の二つがあり、深い木々に包まれた「方丈の庭」は、亀山法皇による作庭と伝わり、京都の三名勝史跡庭園の一つに数えられています。
【12月初旬の南禅院「方丈の庭」】
2-2-5.神秘と静寂の中に。「最勝院高徳庵」
3.南禅寺界隈で。静謐な一時。
3-1.茶の湯と能のコレクション「野村美術館」
3-2.モミジに恋して。「永観堂禅林寺」
3-3.数寄者の庭で至福のひととき。名勝「無鄰菴」
3-4.湯どうふ発祥の地で楽しみましょう。
総本家ゆどうふ奥丹南禅寺店
- 住所
- 京都市左京区南禅寺福地町86-30
- 営業時間
- 11:00~17:00(L.O 16:15)
- 定休日
- 木曜日
- 平均予算
- ¥3,000~¥3,999 /¥3,000~¥3,999
南禅寺 順正
3-5.永観堂周辺で。身体が温まる一杯を。
日の出うどん
- 住所
- 京都市左京区南禅寺北ノ坊町36
- 営業時間
- 11:00~15:30
- 定休日
- 日曜日/第1・第3月曜日(祝日の場合翌日) ※7・8・12月は不定休
- 平均予算
- ¥1,000~¥1,999 /¥1,000~¥1,999
叶匠壽庵 京都茶室棟
4.ちょっと寄り道。白川沿いの七宝記念館&美味しいお店。
4-1.並河靖之七宝記念館
記念館では、並河家所蔵の靖之の作品約130点を所蔵し、貴重なコレクションとともに、靖之が暮らし、創作した場を見学することが出来ます。
【並河靖之の『香炉』(ロサンジェルス・カウンティ美術館蔵)】
4-2.白川沿いで、美味しい一時。
「並河靖之七宝記念館」の近くの白川沿いには、ランチと土産にお勧めの店があります。どちらも地元で愛される、財布に優しい老舗の名店です。
枡富 ★鴨せいろ
祇園饅頭 製造工場 ★志んこ ★季節の生和菓子
5.「青蓮院門跡」から「祇園」へ。
冒頭で述べた通り「南禅寺界隈」からの観光コースは様々です。
今記事では、「南禅寺」界隈から、「青蓮院門跡」・「知恩院」を拝観し、「円山公園」から「八坂神社」と地続きの名所を歩み進んで、京都の中心街「祇園」へと向かいます。
知恩院界隈は、寺域も道幅も広く、視界が開けています。散策すれば、自然豊かな東山連峰を遠景に、大樹が連なるこの界隈ならではの景観と閑雅な風情を楽しめます。
5-1.風雅でしっとり。「青蓮院門跡」

見所の一つである、「相阿弥の庭」は、「小御所」から茶室「好文亭」にかけて広がる、龍心池を中心に配した築山泉水庭です。室町時代に活躍した同朋衆の一人、相阿弥による意匠と伝わり、「相阿弥の庭」と呼ばれています。
【紅葉の頃の「相阿弥の庭」。築山の奥の建物は、茶室「好文亭」。池には、龍が沐浴しているかのような大石(画面中央)や半円形の反りの石橋(画面手前)、滝や築山が配置され、細やかな意匠が凝らされています。この庭は、池泉回遊式ですので、気の向くままに周り歩いてみましょう。】
5-2.浄土宗の総本山 「華頂山 知恩教院 大谷寺」
「青蓮院」の南側、円山公園の北部一帯を占める浄土宗の総本山「知恩院」。日本最大を誇る荘厳な木造門が印象的な大寺院です。
「知恩院」は、浄土宗の元祖・法然上人が布教し、入滅した地。境内は、3つのエリアからなり、三門と塔頭がある下段、御影堂などの伽藍がある中段、勢至堂や御廟がある上段に分けられます。上段は、開創当初の寺域で、中下段の伽藍の数々は江戸期に幕府の援助によって造営されたものです。
「知恩院」の見所は、何と言っても“京都三大門”に数えられる国宝の「三門」と、上人の御影を祀る国宝の「御影堂」です。
(★「御影堂」は、平成30年度末まで大規模修繕工事中です)
他に「大鐘楼」や、境内上方にある知恩院最古の建物「勢至堂」も時間があったら、ぜひ訪れて欲しいスポットです。
【1月末頃の「知恩院」三門】
5-3.「知恩院」から「祇園」へ。
5-3-1.京都市民憩いの場「円山公園」
5-3-2.祇園のランドマーク「八坂神社」
6.「祇園」界隈をそぞろ歩いて。
6-1.祇園(北側)で、リーズナブルに美味しい一時。
以下で紹介するのは、四条通の北側のお店です。
いづ重 ★いなり寿司 ★上箱寿司
ぎをん常磐 ★ハイカラうどん
- 住所
- 京都市東山区新橋通大和大路東入2丁目橋本町412
- 営業時間
- [昼]
12:00~15:00(L.O.14:30)
[夜]
18:00~22:00(L.O.21:30)
※日により21:00前後で終了する場合もございます。
- 定休日
- 日曜日 ※加えて臨時休業あります(主に水曜日か祝日)
- 平均予算
- ~¥999 /~¥999
おかる ★カレーチーズ肉うどん
- 住所
- 京都市東山区八坂新地富永町132
- 営業時間
- [月~木]
11:00~15:00 17:00~翌2:30
[金・土]
11:00~15:00 17:00~翌3:00
[日]
11:00~15:00
- 定休日
- 無休
- 平均予算
- ¥1,000~¥1,999 /~¥999
かね正 ★きんし丼
- 住所
- 京都市東山区大和大路通四条上ル2丁目常盤町155-2
- 営業時間
- 11:30~14:00
17:30~21:30
- 定休日
- 木曜日、日曜日
- 平均予算
- ¥2,000~¥2,999 /¥2,000~¥2,999
6-2.懐かしの喫茶店で。モーニング&ランチ&ブレイクタイム
2016年度の調査によると、京都府は、喫茶店数が全国8位、パンの消費量が日本一。
店舗数や消費量が多いということは、それだけ珈琲やパンが根付く京都独特の文化的な土壌があり、歴史があるという証。京都市内には、今もなお昔ながらのスタイルを貫き、繁盛している喫茶店が数多くあります。せっかく京都を来たのなら、地元の人々に愛される喫茶店を訪ね、モーニングやランチ、ブレイクタイムを楽しんでみましょう。
以下で紹介するのは、地元で愛される昔ながらのスタイルの喫茶店です。
気ままに気軽に入店でき、珈琲も軽食も美味しく、名物の逸品も楽しめるお店。ふらりと京都を訪れた方にぴったりの居心地の良いお店です。全て四条河原町から徒歩圏内。旅行でも、出張時でも活用できるので、覚えておくと便利なお店ばかりです。
喫茶六花 ★モーニングセット
やまもと喫茶 ★焼き玉子サンドセット
コーヒーショップ ナカタニ ★玉子サンド
切通し進々堂 ★玉子サンド
喫茶カトレア ★古珈琲
旅のInformation
旅のおわりに
古色を帯びた三門。苔に振り積む落葉。
参道に続く大伽藍。水路閣の光と陰。
白砂の波。飛び石の意匠。池泉に泳ぐ錦鯉。
紅葉の晩秋が、取り分けて素晴らしいですが、冬の頃も凛とした空気に包まれ、この界隈ならではの閑雅な風情を味わえます。
琵琶湖疏水を辿って、蹴上から水路閣、無鄰菴、七宝記念館を周り、白川をつたって祇園へと進んでも良いですし、また南禅寺の名勝庭園、青蓮院門跡の華頂殿を訪れ、雅な雰囲気を満喫するのもお勧めです。
南禅寺界隈から祇園方向に歩み進めば、ノスタルジックな雰囲気も、洗練された風情も、しっとりした趣きも、思い思いに楽しむことができます。
【南禅寺参道】