網走を代表する湖、網走湖の面積は約33平方キロメートルに及びます。豊かな緑に囲まれた静かな湖畔は心地よく、鏡のような水面が、周囲の風光明媚な景色を映し出しています。

冬になると網走湖の湖面は全面結氷し、まるでスケートリンクのようになります。古くからワカサギ漁が盛んな網走湖では、ワカサギ釣りを楽しむ人々のテントで賑わいます。

網走国定公園の一部になっている能取岬からは、雄大なオホーツク海を一望することができます。

能取岬は、夕陽の名所としても知られています。沈みゆく太陽、夕陽に照らされて赤く染まった雲、夜の色をしたオホーツク海が織りなし、能取岬の夕暮れ時はまるで絵画のような景色が広がります。

能取岬では夜になると満天の星空となります。藍色のベルベットに宝石を散りばめたような夜空と、灯台が放つ一筋の光が調和し、幻想的な雰囲気を醸し出しています。

能取岬に隣接し、網走国定公園の一部となっている能取湖は、オホーツク海の海水が流れ込む海跡湖です。

能取湖は、サンゴ草の群生地としても知られています。北海道に秋が訪れる9月頃に、一面に真っ赤なサンゴ草が生い茂り、赤色の絨毯を敷き詰めたような姿となります。

四季折々で美しい景色を見せてくれる能取湖では、晩秋になるとススキが見ごろを迎えます。風が吹き抜ける度にふさふさと揺れススキの穂は、まるで動物の毛並のようです。

冬になると、オホーツク海から流れ着いた流氷が、能取湖を一面に覆います。抜けるような青空の下、果てしなく広がる流氷原を眺めていると、北国の冬の厳しさだけでなく、大自然の畏怖さえも感じ取ることができます。

四季折々で美しい姿を見せてくれる能取湖は野鳥の宝庫です。広大な湖面を鳥たちが一斉にはばたく様は圧巻で、迫力満点です。

国の名称に指定されている天都山の頂には、オホーツク海と流氷に関連する展示を行っているオホーツク流氷館があります。

館内には、「流氷の天使」と異名を持つ海洋生物、クリオネが飼育されています。流氷原を歩いていても、なかなか野生のクリオネに逢える機会はありませんが、ここでは「流氷の天使」に会うことができます。

オホーツク流氷館がある天都山からは素晴らしい眺望が待っています。眼下に広がる景色の素晴らしさから、天都山が国の名称である理由がよく分かることでしょう。

「網走」と聞けば、流氷を思い描く人も多いのではないでしょうか。毎年冬になると、オホーツク海から流れてきた流氷が海岸に押し寄せ、網走の海岸は一面の流氷原と化します。流氷が完全に固まっているときには、流氷原で遊ぶ人の姿を見かけることもできます。

広大な土地、豊かな土壌、四季折々で美しい景色を見せてくれる豊かな自然……。日本を代表する観光地でもある北海道の歴史は意外にも浅く、江戸時代までは「蝦夷」と呼ばれる未開の地でした。明治時代になり、外交、防衛における重要な拠点となった「北海道」を開拓すべく、廉価な労働力として全国から受刑者たちが集められました。その囚人たちの棲み家となったのが、博物館網走監獄です。

館内では、北海道開拓の布石として貴重な労働力を提供した囚人たちの様子が緻密に再現されています。囚人として北の地に送られ、歴史のうねりに飲まれながら、北海道開拓の先駆けとして功績を残した無名の受刑者たち。厳しい生活を強いられながらも、後世に残る偉業を成し遂げた人々へ思いを馳せてみてはいかがでしょうか。