アオモリトドマツの葉に水滴が付いて凍り付き、そこに雪が降り積もることの繰り返しによって作られる「樹氷」。
まるで大きな彫刻作品のようです。風の向きや雪の量によって形が変わるため、同じものは2つとありません。

樹氷が出来るのに必要な、一定方向に吹く風と低い気温、アオモリトドマツの木という3つの条件を満たしている山形蔵王は、日本でも珍しい”樹氷が美しい場所”となっています。

山形県にある蔵王温泉スキー場では、ロープウェイに乗って樹氷を見に行くことができるんです。もちろん、スキーやボードをしない方でも大丈夫！コートやマフラーでしっかり防寒して乗り込みましょう。

ロープウェイからは蔵王連峰の山々と、樹氷の姿をきれいに見ることができます。麓近くの樹氷は小さめで、上に登っていくほど樹氷が大きく育っています。樹氷が作られていく過程を見るようで興味深いです。

終点の蔵王山頂駅で降りると、高さ2.34メートルの大きな坐像が出迎えてくれます。夏には全体を見ることのできるこのお地蔵様ですが、樹氷ができる季節には雪に埋もれ、また違う姿を見せてくれます。「災難よけ地蔵」と呼ばれており、特に不慮の災難を逃れられると、多くの人が訪れるお地蔵様です。

そして、目の前には短い期間だけ見られる特別な景色が広がっており、そのスケールの大きさに圧倒されます。樹氷は別名「スノーモンスター」や「アイスモンスター」とも呼ばれますが、その名の通り多くのモンスターが立っているかのようです。

日中の明るい太陽のもとで見る樹氷はまぶしいほど白く、輝かしいものですが夕暮れにみる樹氷も雰囲気があってとてもきれいです。2017年は3月5日まで樹氷のライトアップも行われます。日中とは全く違う樹氷、どちらも見て比べてみるのもおすすめです。

遠くからの眺めだけでなく樹氷のすぐ近くまで行きたいという方には、暖房付き雪上車に乗り込んで樹氷を間近で見ることのできるツアーがおすすめです。夕暮れを背に浮かびがる樹氷や夜の闇に光る樹氷はとても幻想的です。

樹氷を見に行って冷え切った体は蔵王温泉スキー場の麓にある蔵王温泉で温めましょう。蔵王温泉には共同浴場が3か所あり、質の良いお湯が絶えず湧き出しています。朝6時から夜10時までと、時間に縛られず気軽に立ち寄れるのでお勧めです。

冬は雪が多く寒さも厳しい山形ですが、夏になるとかなり暑い日が続く土地でもあります。そんな山形では「冷やしラーメン」も人気です。山形市の「栄屋本店」では通年で冷やしラーメンがいただけます。寒いのになぜか食べたくなるほどクセになる美味しさです。温泉でしっかり温まってから食べましょう。

自然の力の大きさと繊細さを間近に感じることのできる山形蔵王の樹氷は今まさに見ごろです。人工では作り得ない多くの樹氷が目の前いっぱいに広がる景色は他にありません。温泉や美味しいものと合わせて冬の山形を満喫しに出かけてみてはいかがでしょうか。