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本が好きなあなたに贈る「誠実な仕事」の本

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2022年03月23日作成
本好きだった祖父が数年前に他界したとき、たくさんの本を譲り受けました。SFや冒険小説、幻想小説が好きだった祖父。特に大切にしていた海野十三や小栗虫太郎、香山滋といった作家の本には祖父の手で丁寧にグラシン紙のカバーが掛けられていて、本人亡き今でも「愛された本だったんだろうな」というのが伝わってきます。
本の多くはおそらく神田の古書店街などで買い集めた古本であるはずです。それなのにどれもまだまだ綺麗な状態なのは、祖父の扱い方だけによるものではなく、前の持ち主、古書店の方、そして後世に残したいと思えるような本を作ってくれた出版社があったからこそだと思います。
本が好きなあなたに贈る「誠実な仕事」の本
「本の寿命は、ぼくが考えているよりもずっと長いもの」――たったひとりで出版社を立ち上げた島田潤一郎さんの著書『古くてあたらしい仕事』(新潮社)のなかの言葉です。

島田さんは、息子を事故で亡くした叔父と叔母の支えになればと一冊の詩集を作ったことがきっかけで、「夏葉社」という小さな出版社を創業。装丁にもこだわりながら「何度も読み返される、定番といわれるような本」をテーマに、絶版となって埋もれてしまった過去作品の復刊などに取り組んでいます。

出版不況と言われて久しい現代。そんな状況においても、誠実に、まじめに自分の信じる仕事をすることで、それを求めていた読者の手に本が渡る。島田さんも、家族が生きていくためのお金を手にすることができる。島田さんが目指しているのは会社を大企業にすることではなく、この「誠実な仕事」を続けていくこと。『古くてあたらしい仕事』には島田さんの本や書店に対する思いや仕事への取り組み方が温かく綴られていて、一人の読書好きとしてとても勇気づけられる思いでした。

祖父が何十年も前に古書店で手に入れた本が2022年に私のもとにあるように、「夏葉社」の本も人間の寿命を軽く飛び越えてこの先もずっと読み継がれていく本になっていくのでしょう。本が好き、本という「物」が好き。そう感じている人にぜひ読んでもらいたい一冊です。

この記事を書いた人

編集 ナツ
キナリノ編集部
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グルメ、雑貨、インテリアなどのライフスタイル全般を担当。宝塚と辛いもの、台湾旅行が心の糧。服でも物でも、「かわいい!」と思ったらついつい買ってしまいます。

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