秋の夜長のお供には、本とドリンクを

PART1:何気ない毎日にひそむ謎!日常ミステリー
女性バリスタが解き明かす日常ミステリー
【おすすめレシピ】カフェオレ
本好きなら読み逃せない!元書店員によるミステリー
■『配達あかずきん―成風堂書店事件メモ』大崎梢(東京創元社)
杏子は、駅ビルの六階に入っている書店・成風堂に努める書店員。バイトの多絵とともに働きながら、訪れる人が持ち込む謎を二人で解決していくという物語です。書店が舞台というだけあって、さまざまな本が登場するのが魅力で、知っている本が登場したときには思わずにやにやしてしまうかも。書店員という仕事も身近に感じられ、お仕事小説としても楽しめます。
【おすすめレシピ】紅茶ジュレソーダ
PART2:涙なしには終われない。心温まる感動ミステリー
家族の切なくも温かい愛を感じる物語
■『重力ピエロ』伊坂幸太郎(新潮社)
優しい両親と、兄の泉水、二つ年下の弟・春は四人家族。彼らにはつらい過去があり、大人になってもその出来事が影響を及ぼしていました。ある時、仙台市内で連続放火事件が起こります。火事現場にはグラフィティアートが必ず描かれているという奇妙な事件でしたが、そこには兄弟二人にも関わる謎が隠れていて…。結末は、賛否両論を呼ぶかもしれません。しかしそこには確実に家族を想う温かい気持ちがあふれており、きっと心を動かされてしまうはずです。
【おすすめレシピ】カフェ・クレーム
鉄道員が仕事中に謎を解決!お仕事ミステリー
■『一番線に謎が到着します 若き鉄道員・夏目壮太の日常』二宮敦人(幻冬舎)
主人公は、蛍川鉄道の藤乃沢駅で働く鉄道員の夏目壮太。個性豊かな同僚たちとともに、毎日鉄道員としての仕事に明け暮れていました。忘れ物探しや幽霊の噂など、駅で生まれるさまざまな謎を解決していく夏目。しかし大雪が降ったある日、車両が孤立してしまい…。当たり前の毎日のありがたさを噛みしめられる1冊です。
【おすすめレシピ】マシュマロココア
PART3:非日常の世界で繰り広げられる、奇妙なミステリー
ファンタジー世界で繰り広げられるミステリー
■『折れた竜骨』米澤穂信(東京創元社)
ファンタジーもミステリーも好き!という方にぜひおすすめしたい1冊です。舞台は魔法や怪物が登場する十二世紀末、ロンドンから船で三日ほどのところにあるソロン諸島。主人公のアミーナは、その諸島を治めるエイルウィン家の娘でした。ある時、島を訪れた騎士ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年ニコラと出会うのですが…。ファンタジーの世界で繰り広げられるミステリー?と驚いた方は、緻密に構成された世界観と謎に、さらに驚かされるはずです。
【おすすめレシピ】ホットワイン
閉鎖的な島が抱える、”邪教”を巡るミステリー
■『黒祠の島』小野不由美(新潮社)
調査事務所で働く式部剛は、突然失踪した知人・葛木志保を追って、九州北西部にある夜叉島を訪れます。出会った島民に葛木志保を知らないか、と尋ねる式部でしたが、どの島民も多くを語ってはくれません。それどころか調査を邪魔するような動きも見えてきて、そのうち島に伝わる”邪教”の存在に行き着くのですが…。式部が次々と島民に話を聞いていくストーリーですが、次々と新たな事実が判明し、ページをめくる手がとまらなくなります。
【おすすめレシピ】黒ごまラテ
PART4:全てが伏線に見えてくる!謎が謎を呼ぶ本格ミステリー
雪で隔離された山荘で起こる事件を解き明かす
■『星降り山荘の殺人』倉知淳(講談社)
仕事上の失策で別の部署へ左遷され、スターウォッチャーの星園詩郎の付き人になることになった、杉下和夫。星野に連れられて訪れたキャンプ場で、UFO研究家や会社の社長、作家、女子大生などと一緒になります。その夜は会話に花が咲き盛り上がったのですが、翌日社長が殺されているのが見つかり…天候の悪化により、外部との連絡ができない極限状態で繰り広げられるミステリーです。
【おすすめレシピ】カフェコンテ
密室殺人の謎に立ち向かう
■『すべてがFになる』森博嗣(講談社)
十歳から天才プログラマとして名をはせていたにもかかわらず、十四歳の時に両親を自らの手で殺害した疑いで逮捕された、工学博士の真賀田四季。工学部の助教授である犀川創平と、その恩師の娘であり大学一年生の西之園萌絵は、ゼミ旅行で四季がいるという孤島の私立研究所を訪れます。ところがその研究室で恐ろしいことが起こって…。隔離された空間で、なぜ、なんのためにそんなことが起こったのか。創平と萌絵が謎を解き明かしていく物語です。
【おすすめレシピ】梨サイダー
PART5:一生に一度は読んでみたい!名作ミステリー
鮮やかに騙される!今も色あせない名作
■『十角館の殺人』綾辻行人(講談社)
舞台は、角島という孤島にそびえる、十角形の奇妙な館「十角館」。かつて角島には青屋敷と呼ばれる建物もあり、中村青司という人が家族とともに暮らしていましたが、火事により亡くなってしまったことで、現在は無人島になっています。大学で推理小説研究会に所属する7人は、そんな島に残る「十角館」を訪れ、火事の真相を明らかにしようとするのですが…。1987年に出版されており、現代とは少し違った点も多数ですが、結末には驚くこと間違いなし!ミステリーに挑戦する時には必読の1冊です。
【おすすめレシピ】アイスコーヒー
「推理小説の原点」と呼ばれる短編を含む1冊
■『モルグ街の殺人・黄金虫 ポー短編集II ミステリ編』エドガー・アラン・ポー(新潮社)
主人公の「私」は、モンマルトルの図書館でC・オーギュスト・デュパン氏という人物と出会います。彼は没落した貴族の出でしたが、素晴らしい推理力を持っていて、人の考えや気持ちなどいろいろなことを言い当てました。そんなある時、「モルグ街」のアパートメントから猟奇殺人があったというニュースが入ってきて…。有名な「モルグ街の殺人」以外にも、今の推理小説に大きな影響を与えたとされる短編ばかりを集めた短編集です。
【おすすめレシピ】スパークリングティー
ドリンクを用意して、もっと楽しい読書時間を

■『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』岡崎琢磨(宝島社)
京都の街中にたたずむ、「純喫茶 タレーラン」。主人公のアオヤマは、喧嘩した彼女を追いかけて、偶然この喫茶店を見つけます。店内には女性バリスタ・切間美星がおり、彼女の淹れるコーヒーに魅入られたアオヤマは足しげく通うようになるのですが…。物語の途中にはコーヒーに関する知識が織り込まれており、読んでいると香ばしいかおりが漂ってくるよう。自然とコーヒーを飲みたくなります。