記憶に刻まれる美しきホラー映画

映像・風景に圧倒されるホラー映画
ネオン・デーモン(2016年)

しかしジェシーもまた、うちに秘めた激しい野心が目覚め、邪悪なファッション業界の闇へと染まっていく…
イットフォローズ(2014年)

「それ」に捕まると助からない。「それ」はゆっくりと歩き、呪いをうつされたものにだけに見える。「それ」は人にうつすことができる。うつした相手が死んでしまうと「それ」は自分に戻ってくる。そして、ヒューに「それに殺される前に誰かにうつせ」と命令される。
いつ、どこで現れるかわからない味わったことのない恐怖から逃げ切ることができるのか…
「それ」は人のようで、様々な姿形で現れる。ゆっくり歩いてくる「それ」の怖さ。廃墟や廃屋は、「それ」の怪しい不気味さを一層引き立たせます。甘酸っぱい青春映画の側面もあり、全体的に明るめの映像が印象的。海やプールなど水のシーンが多く、爽やかな色彩と斬新な恐怖のコントラストを楽しめます。
ミッドサマー(2019年)

しかし、祝祭が進むにつれて不穏な空気が漂い、やがて想像を絶する絶望を目の当たりにしていく。
可愛らしい装飾品と爽やかな白装束。スウェーデンの雄大な草原と極彩色の花々。そんなゾッとするほど美しい風景に心を掴まれます。
白夜のホルガ村は映像が終始明るく、白昼堂々繰り広げられる衝撃的な出来事をすべて目の当たりにしてしまう恐怖がたまりません。
ぼくのエリ 200歳の少女(2008年)

真っ白なスウェーデンの雪景色と、建物が整然と立ち並ぶ美しさ。息を飲むほど綺麗な街で、残忍な事件が次々と起こります。北欧のモノクロの景色に映る鮮やかな赤が、脳裏に焼き付いて離れません。エリの秘密とオスカーの心の動きが切なくも美しい物語です。
鬼談百景(2015年)

「こんな手紙が届いた―」というナレーション。淡々と語られる温度のない語り口調が、これからいざなわれる奇妙な世界を暗示しているかのよう。不気味な家屋、不穏なカメラワーク、居心地の悪いノスタルジックな映像…"これぞジャパニーズホラー"の演出が美しく、じっとりとした恐怖を味わえます。
建物・インテリアに魅了されるホラー映画
クリムゾンピーク(2015年)

しかしその屋敷は、冬になると赤粘土の影響で雪が赤く染まることから「クリムゾン・ピーク(深紅の山頂)」と呼ばれる山頂にそびえ建っていた。
雪の大地にそびえ建つゴシック建築の屋敷はまさに圧巻!絢爛さと秘密を隠した屋敷の不気味さが絶妙に調和しています。
重苦しい屋敷の中で、特に目を惹くのが衣装や食器の数々。キャラクターの意思が感じられる色彩の強いドレスは雪の中で一層映え、壮絶なクライマックスシーンを更に盛り立てます。
シャイニング(1980年)

「シャイニング」という特殊な能力を持つ息子のダニーはホテルで様々な心霊現象を目撃し、ジャックもまた、徐々に狂気に染まりつつあった…
シャイニングはホテルのインテリアが見どころのひとつ。赤を基調としたトイレやパステルグリーンのバスルーム、オレンジの六角形柄カーペットなど、インパクトの強い配色が美しく印象的で、ホテルで起こる超常現象や狂気が迫る恐怖を駆り立てます。
タイプライターや無線機などレトロな小物もかわいく、妻ウェンディ―のファッションがとにかくオシャレで細部まで楽しめる映画です。
透明人間(2020年)

深夜、目覚めて同棲しているエイドリアンの家から脱出するセシリア。その豪邸がとにかく綺麗で冒頭から圧倒されます。豪邸はガラス張りで、すぐ傍に一面に広がる海。広大なロケーションと、窮屈で息苦しい生活を強いられていたセシリアとの対比が印象的。見えないものに振り回され続ける人間の恐怖と緊迫感に引き込まれます。
永遠のこどもたち(2007年)

絵画のようなゴシック調の屋敷と、突き抜けるようなロケーション。建物・衣装・風景どれをとっても美しく、屋敷の中で起こる苦しみやもの悲しさが画面から伝わり、じっくり見入ってしまう作品です。
サスペリア(1977年)

開始から目が覚めるようなビビットな赤。終始極彩色の映像。強烈なインパクトが不安と緊張感を煽ります。建物や内装、洋服や小物はずっと見ていたいほどレトロでおしゃれ。おぞましい音楽とたたみかけるようなショッキングなシーンは、強い色彩も相まって、衝撃が頭から離れません。
ホラー映画で美を堪能しよう

「色彩の強さと鮮やかな色遣い」「ネオンとストロボ」「衣装とメイク」どれをとっても圧倒的な美しさ。他のホラー映画とは一線を画す、まさに芸術的な作品です。絢爛な色遣いは、激しい人間模様と主人公が邪悪な世界に染まっていく様子を引き立たせ、更に怖さを演出しています。