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女性のためのバイブル「暮しの手帖」。戦後日本の暮らしを変えた花森安治さんの仕事

女性のためのバイブル「暮しの手帖」。戦後日本の暮らしを変えた花森安治さんの仕事

NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」でも注目されている、『美しい暮しの手帖』初代編集長・花森安治さん。彼が手掛けた雑誌『美しい暮しの手帖』は、“主婦のバイブル”として戦後多くの女性達から支持されました。そんな国民的な雑誌を世に送り出した花森安治さんとは、いったいどのような人物だったのでしょう?今回は花森安治さんの雑誌創刊までのストーリーや、伝説的なエピソードなどたっぷりご紹介します♪2017年07月10日更新

カテゴリ:
アート・カルチャー
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女性のためのバイブル「暮しの手帖」。戦後日本の暮らしを変えた花森安治さんの仕事
出典:www.instagram.com(@lisa__sasaki)

「とと姉ちゃん」のモデルになった2人の人物とは?

戦前・戦後の昭和をたくましく生きるヒロイン・小橋常子(こはし つねこ)の生涯を描いたNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」。劇中でヒロインと天才編集者・花山伊佐次(はなやま いさじ)は、女性のための実用雑誌「あなたの暮らし」を創刊します。この二人は架空の人物ですが、実はある有名な2人の人物がモデルになっているのをご存知ですか?
それは…『美しい暮しの手帖』(現在『暮しの手帖』)の創刊者、大橋鎭子(おおはし しずこ)さんと花森安治(はなもり やすじ)さんです。
「とと姉ちゃん」の物語と同じく、大橋さんと花森さんの出会いによって雑誌『美しい暮しの手帖』は生まれました。初代編集長として、雑誌作り全般を手掛けていた花森安治さん。彼の斬新なアイディアと持ち前の行動力は、戦後の日本で『美しい暮しの手帖』の人気を不動のものにしました。
今回はカリスマ編集者としても知られる、花森安治さんについてご紹介します。まずは、雑誌創刊に至るまでの軌跡をたどっていきましょう。

「とと姉ちゃん」の物語と同じく、大橋さんと花森さんの出会いによって雑誌『美しい暮しの手帖』は生まれました。初代編集長として、雑誌作り全般を手掛けていた花森安治さん。彼の斬新なアイディアと持ち前の行動力は、戦後の日本で『美しい暮しの手帖』の人気を不動のものにしました。
今回はカリスマ編集者としても知られる、花森安治さんについてご紹介します。まずは、雑誌創刊に至るまでの軌跡をたどっていきましょう。

戦争体験から生まれた『美しい暮しの手帖』

花森安治さんは1911年10月25日、神戸市須磨区に誕生しました。旧制松江高校卒業後、東京帝国大学(現在の東京大学)文学部美学美術史学科に入学し、大学の学生新聞「帝国大学新聞」の編集に参加。1935年に松江の呉服問屋の娘・山内ももよさんと学生結婚し、1937年に長女・蒼生(あおい)さんが誕生しました。
出典:

花森安治さんは1911年10月25日、神戸市須磨区に誕生しました。旧制松江高校卒業後、東京帝国大学(現在の東京大学)文学部美学美術史学科に入学し、大学の学生新聞「帝国大学新聞」の編集に参加。1935年に松江の呉服問屋の娘・山内ももよさんと学生結婚し、1937年に長女・蒼生(あおい)さんが誕生しました。

大学卒業後は化粧品メーカー・伊藤胡蝶園(のちのパピリオ)に入社し、宣伝部にて広告デザインを担当します。その後、太平洋戦争で召集され満州へ赴きますが、病気により除隊。除隊後は大政翼賛会の外郭団体に籍を置き、宣伝の国策広告の業務に携わりました。軍部の戦争遂行に関わったことを悔いる花森さんの気持ちは、のちに創刊する雑誌の理念に大きく影響しています。

大学卒業後は化粧品メーカー・伊藤胡蝶園(のちのパピリオ)に入社し、宣伝部にて広告デザインを担当します。その後、太平洋戦争で召集され満州へ赴きますが、病気により除隊。除隊後は大政翼賛会の外郭団体に籍を置き、宣伝の国策広告の業務に携わりました。軍部の戦争遂行に関わったことを悔いる花森さんの気持ちは、のちに創刊する雑誌の理念に大きく影響しています。

花森さんは戦後、日本読売新聞でカットを描く仕事に携わりました。この時、編集部に在籍していた大橋鎭子さん(当時25歳)を紹介され、花森さんは彼女の志に強く心を打たれたそうです。そして戦時中の体験から、花森さんは“戦争のない世の中を作るための雑誌”にすることを条件に、大橋さんと東京・銀座に衣装研究所を設立します。そこで『暮しの手帖』の前身となる、服飾提案雑誌「スタイルブック」を創刊しました。
その後1948年に『美しい暮しの手帳』を創刊。初代編集長として30年間指揮を執った花森さんは、1972年に心筋梗塞で亡くなる直前まで、まさに全身全霊を傾けて雑誌作りに携わりました。カリスマ編集者であり、文筆家であり、イラストレーターであった花森安治さん。その類まれなる才能は、現在も多くの人々に影響を与えています。

その後1948年に『美しい暮しの手帳』を創刊。初代編集長として30年間指揮を執った花森さんは、1972年に心筋梗塞で亡くなる直前まで、まさに全身全霊を傾けて雑誌作りに携わりました。カリスマ編集者であり、文筆家であり、イラストレーターであった花森安治さん。その類まれなる才能は、現在も多くの人々に影響を与えています。

戦後多くの女性から愛され、“主婦のバイブル”と言われた国民的雑誌『美しい暮しの手帖』。
そこには「多くの女性の暮らしを良くしたい」、「一人一人が暮らしを大切にすることによって平和な世の中にしたい」、という大橋さんと花森さんの願いが込められていました。ここからはそんなお二人の強い信念と、読者への愛情が詰まった『美しい暮しの手帖』についてご紹介します。

『美しい暮しの手帳』を覗いてみよう♪

創刊以来60年以上も続く<暮しの手帖宣言>

1948年に創刊された雑誌『美しい暮しの手帖』。画像の第一号は、2016年の夏号に付いていた、創刊号の復刻版です。
こん創刊号から共通しているのは、表紙を開くと最初に目に飛び込んでくる、花森安治さんによる次の一文です。
出典:www.instagram.com(@accot1108)

1948年に創刊された雑誌『美しい暮しの手帖』。画像の第一号は、2016年の夏号に付いていた、創刊号の復刻版です。
こん創刊号から共通しているのは、表紙を開くと最初に目に飛び込んでくる、花森安治さんによる次の一文です。

これは あなたの手帖です
いろいろのことが ここには書きつけてある
この中の どれか 一つ二つは
すぐ今日 あなたの暮しに役立ち
せめて どれか もう一つ二つは
すぐには役に立たないように見えても
やがて こころの底ふかく沈んで
いつか あなたの暮し方を変えてしまう
そんなふうな
これは あなたの暮しの手帖です
これは花森さんが創刊号に寄せた一文です。大橋鎭子さんはこの一文を<暮しの手帖宣言>と呼び、現在も創刊当時と変わらず掲載されています。「これはあなたの手帖です」の言葉から、一人一人が日々の暮らしを大切にして欲しい、という読者への思いが伝わってきます。

これは花森さんが創刊号に寄せた一文です。大橋鎭子さんはこの一文を<暮しの手帖宣言>と呼び、現在も創刊当時と変わらず掲載されています。「これはあなたの手帖です」の言葉から、一人一人が日々の暮らしを大切にして欲しい、という読者への思いが伝わってきます。

表紙を飾る花森安治さんのイラスト

創刊号から30年間にわたり、花森さんは表紙の絵を描き続けてました。色彩感覚に優れた花森さんのイラストは、どれも芸術性豊かな作品ばかり。こちらは今なお人気の花森さんのイラストを2017年のカレンダーにしたもの。手前のお花と相まって、お部屋を素敵にしてくれます。
出典:www.instagram.com(@mhsaikou78)

創刊号から30年間にわたり、花森さんは表紙の絵を描き続けてました。色彩感覚に優れた花森さんのイラストは、どれも芸術性豊かな作品ばかり。こちらは今なお人気の花森さんのイラストを2017年のカレンダーにしたもの。手前のお花と相まって、お部屋を素敵にしてくれます。

こちらはまるで絵本の世界のような可愛い作品。表紙を飾る花森さんの素敵なイラストも、雑誌が長年多くの女性達から支持される人気の要因でした。いつまでも眺めていたくなる花森さんのイラストは、現在もなお、世代を超えて愛され続けています。
出典:www.instagram.com(@vavoom015)

こちらはまるで絵本の世界のような可愛い作品。表紙を飾る花森さんの素敵なイラストも、雑誌が長年多くの女性達から支持される人気の要因でした。いつまでも眺めていたくなる花森さんのイラストは、現在もなお、世代を超えて愛され続けています。

雑誌の中も手作り感満載!!

表紙のイラストだけでなく、雑誌の中からも手仕事の温かさが感じられます。例えばこちらの記事では、なんと大橋さん自らモデルを担当。「読者の目線で、分かりやすい記事を作る」という考えから、誌面のほとんどはスタッフがモデルを務めていたそうです。

表紙のイラストだけでなく、雑誌の中からも手仕事の温かさが感じられます。例えばこちらの記事では、なんと大橋さん自らモデルを担当。「読者の目線で、分かりやすい記事を作る」という考えから、誌面のほとんどはスタッフがモデルを務めていたそうです。

この、暮しの手帖フォントとも言っていいほどの手書きの題字も、素敵です。

この、暮しの手帖フォントとも言っていいほどの手書きの題字も、素敵です。

そして、誌面のイラストも花森さんが手掛けています。現在は写真での商品紹介が主流ですが、イラストだと温かみがあって、何だか新鮮な感じがします。誌面に掲載されている以下の一文も、花森さんならではの心に残る奥深い言葉です。

そして、誌面のイラストも花森さんが手掛けています。現在は写真での商品紹介が主流ですが、イラストだと温かみがあって、何だか新鮮な感じがします。誌面に掲載されている以下の一文も、花森さんならではの心に残る奥深い言葉です。

美しいものは、いつの世でも
お金やヒマとは関係がない
みがかれた感覚と、
まいにちの暮しへの、しっかりとした眼と、そして絶えず努力する手だけが、
一番うつくしいものを、いつも作り上げる
(イラストと文:花森安治)
出典:『暮しの手帖』の表紙 創刊号〜第10号まで - 昭和の「暮しの手帖」から
『美しい暮しの手帖』編集長として、まさに全身全霊で雑誌を作り続けた花森安治さん。強い信念を貫くカリスマ編集者としてだけでなく、数々の伝説を残した人物としても知られています。その独特の編集スタイルから生まれたエピソードを、最後に少しだけご紹介します。

カリスマ編集者・花森安治さんのエピソード

その① 「女性の気持ち」を理解するために…

女性のためのバイブル「暮しの手帖」。戦後日本の暮らしを変えた花森安治さんの仕事
出典:www.instagram.com(@mori.hana)
花森安治さんといえば、“スカート姿におかっぱ頭”がトレードマーク。男性なのになぜ??と不思議に思いますよね?実はそこには、花森さんならではの強い信念がありました。「女性雑誌を作るには、女性の気持ちを理解する事が大切」という考えから、女性の服装や髪形を日常のスタイルにしていたそうです。

その② 徹底した「商品テスト」

雑誌で特に人気を集めたのが、「商品テスト」という企画でした。戦後の高度経済成長とともに、電化製品など次々と新しい商品が普及した1960~70年代。様々な生活用品が出回る中、花森さんは“どれが本当に良い商品か”を読者に伝えるため、耐久性や使い勝手を比較する「商品テスト」を実施しました。

雑誌で特に人気を集めたのが、「商品テスト」という企画でした。戦後の高度経済成長とともに、電化製品など次々と新しい商品が普及した1960~70年代。様々な生活用品が出回る中、花森さんは“どれが本当に良い商品か”を読者に伝えるため、耐久性や使い勝手を比較する「商品テスト」を実施しました。

使う商品は企業からの提供商品ではなく、編集部員が買ってきた物でテストを行いました。出版社には台所や洗濯室などが備えられ、編集部員が実際に商品を使い、徹底的に分析して記事にしたそうです。花森さんが企画した「商品テスト」は大人気となり、高度経済成長期に生きる多くの女性達から支持されました。

使う商品は企業からの提供商品ではなく、編集部員が買ってきた物でテストを行いました。出版社には台所や洗濯室などが備えられ、編集部員が実際に商品を使い、徹底的に分析して記事にしたそうです。花森さんが企画した「商品テスト」は大人気となり、高度経済成長期に生きる多くの女性達から支持されました。

当時掲載されていた「商品テスト」などの記事はなくなりましたが、現在も花森さん・大橋さんお二人の志は受け継がれています。時代が変わっても、多くの女性から愛され続ける『暮しの手帖』。そこには日々の生活を豊かにする、素敵なヒントがたくさん詰まっています♪

おわりに

戦後間もない昭和23年に創刊された『美しい暮しの手帖』。
大橋さんと花森さんの「一人一人が自分の暮らしを大切にしてほしい」という思いから生まれた雑誌は、戦後の女性達にとって欠かせない存在となりました。
終戦から70年経過し、豊かな時代に生きる私たち。
花森さんの言葉やイラストはそんな私たちに、本当の意味での“豊かさ”というものを思い出させてくれます。
花森安治さんが最後まで丁寧な雑誌作りにこだわったのは、丁寧な暮らしを大事にしてほしい、というメッセージなのかもしれません。

戦後間もない昭和23年に創刊された『美しい暮しの手帖』。
大橋さんと花森さんの「一人一人が自分の暮らしを大切にしてほしい」という思いから生まれた雑誌は、戦後の女性達にとって欠かせない存在となりました。
終戦から70年経過し、豊かな時代に生きる私たち。
花森さんの言葉やイラストはそんな私たちに、本当の意味での“豊かさ”というものを思い出させてくれます。
花森安治さんが最後まで丁寧な雑誌作りにこだわったのは、丁寧な暮らしを大事にしてほしい、というメッセージなのかもしれません。

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