高速道路の脇やオフィスの庭などに装飾的に置かれているオリーブの樹に、「どうしてここに？」と違和感を感じていた、脚本家のポール・ラヴァーティ。彼はバレンシア州のカステリョン県やカタルーニャ地方で2000年頃から不況の煽りで、オリーブの伐採がさかんに行われていることを新聞で読んで知り、ショックを受けました。

また、主演のアンナ・カスティーリョはこの作品でゴヤ賞新人女優賞に輝いた新星。さらに、祖父役のマヌエル・クカラは地元でオリーブ農園を実際に営んでいるそう。その演技も注目です。

この物語の主人公、アルマはスペインに住む20歳の女の子。自身は養鶏場で働き、気が強くてちょっと扱いにくい一面も。でも、オリーブ農園を営んでいる祖父とは幼いころから深い絆で結ばれていました。そんな大好きな祖父が、数年前から話しもせず、ついには食べることさえやめてしまい、アルマは心を痛めます。

その理由は、祖父がずっと大切にしていた樹齢2000年のオリーブの樹を、父親が先祖代々の土地から引き抜き、外国の企業に売り払ってしまったから。アルマにとってもその樹はとても神聖なもので、心の傷になっていました。

「祖父を救えるのは、あの樹を取り戻すこと」。そう考えたアルマは変わり者の叔父アーティチョークと同僚のラファと一緒にヨーロッパのどこかにあるオリーブの樹を取り戻す旅に出ることを計画します。

しかし、アルマのその計画は無謀で無計画でほぼ無一文。この事実を知る由もなくアーティチョークとラファは一緒にオリーブの樹を探す旅に出ます。それはまるでドン・キホーテのよう。

そして、彼女とその友人たちはオリーブの樹がドイツのデュッセルドルフの企業にあることを突き止め、そこへ向かいますが、やがてアルマが嘘をついていたことを知ります。オリーブの樹を返すために待ってくれている人など誰もいないことを…

果たして、オリーブの樹を取り返すことはできるのでしょうか。思いもよらない展開が待っています。

情熱的で無鉄砲ながらも、大好きな祖父のためにオリーブの樹を取り返そうと旅に出るアルマと仲間たち。未来に希望を感じさせる温かなストーリーは必見です。ぜひご覧になって、キャンペーンにも参加してくださいね。