最後に絵本を開いたのは、いつですか？
自分のために読む絵本
では、「自分のために」絵本を手に取る機会は？大人のよみものとして絵本を選ぶことは、意外と少ないのではないでしょうか。今回は、大人にこそ読んでほしい「美しい」絵本を紹介したいと思います。
「美しい」アートと一緒に楽しむ絵本
「銀河鉄道の夜」宮沢賢治
宮沢賢治の代表作ともいえる「銀河鉄道の夜」。イラストレーター・作家の東逸子さんの絵と共に楽しめます。
しっとりとした空気感は、銀河鉄道の夜のイメージにぴったり。
幻想的な世界が広がります。想像力がかきたてられますね。
不思議の国のアリス×シュヴァンクマイエル
有名な絵本「不思議の国のアリス」に、チェコの映像作家ヤン・シュヴァンクマイエルが挿絵を手がけた絵本です。
シュヴァンクマイエルは「インスピレーションの源泉」として、不思議の国のアリスに生涯に渡り向き合ってきました。シュヴァンクマイエルの独特の世界観で、アリスが表現されています。
これまでのイメージを超越した挿絵で、新たな不思議の国のアリスの世界を楽しんでみませんか。
少し立ち止まって、考えたい時は
「つくることば いきることば」永井一正
創作と生命。いのちの詩として編んだ画集に、より生活に力を与える「生きること」と「つくること」を主題においた言葉を加えた詩画集。 創ることに真摯に向き合ってきたクリエイターの身体と魂から生まれた絵と言葉のハーモニー。
絵と、そして言葉が示してくれるのは、「生きる」ということや「命」について。永井さんが隣に座って語りかけてくれているようにも感じられます。(筆者撮影）
自分がたまたま人間に生まれてきたという不思議。
奥に隠された命に触るようなもの、それがない限りは「ときめき」は絶対に起こり得ない。
中には言葉がない空白のページもあり、ゆったりとした時間の流れを感じながら読み進められます。忙しい毎日を過ごしている方にこそ、おすすめしたい一冊です。（筆者撮影）
絵本という枠をこえて
「夜の木」第六刷
「夜の木」は、南インドのチェンナイの出版社タラブックスから刊行されている絵本です。編集、印刷、製本、発行まで全てをまかなっているため、発行部数はごくわずか。手漉きシルクスクリーンで一つ一つ作られています。増刷するたびに表紙のデザインが変わるので、とても貴重な絵本です。
THE CLOTH OF THE MOTHER GODDESS
「THE CLOTH OF THE MOTHER GODDESS」も、タラブックスから出版されています。布張りに、木のブロックを使った印刷方法のブロックプリントで一つ一つプリントされています。
中身は観音開きになっていて、めくるたびにハッとするような絵が現れます。
絵本の概念を超えた、芸術作品ともいえる一冊です。
絵本美術館に行こう
ただ絵本を読むのに飽きてしまったという方は、美術展を見に行くように、絵本を鑑賞してみてはいかがですか？
絵本美術館「ちひろ美術館」東京
東京の練馬区下石神井にあるちひろ美術館・東京。絵本作家いわさきちひろが22年間過ごした自宅兼アトリエ跡に建てられました。
ちひろ愛用のソファに座って絵を観ることができる展示室、より忠実に復元されたアトリエ、ちひろが愛し育てた草花や樹木が植えられた「ちひろの庭」など、ちひろを身近に感じながら、ちひろの作品や世界の絵本画家の作品を楽しむことができます。
いわさきちひろの作品が展示されている展示室のほか、図書室や絵本カフェ、ミュージアムショップがあります。いわさきちひろが作り出した数々の絵や絵本をじっくりと味わうことができます。
いかがでしたか？
色彩豊かで魅力あふれる作品の数々は、見ているだけでリラックスできますよね。大人になった今だからこそ、アートとしても楽しめる「美しい絵本」の世界をのぞいてみてはいかがでしょうか。
最後に絵本を手にしたのは、いつだったか覚えていますか？
小さなお子さんがいらっしゃる方は、毎日読まれているかもしれません。親戚や友人のお子様に、プレゼントとして贈られた経験があるという方もいるかもしれないですね。