キナリノ駆け込み寺 お悩みNo.6
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人間関係のもやもや…。気持ちが楽になるヒント【前編】

文:キナリノ編集部

皆さんの日頃抱えているお悩みをキナリノ的に解決する「キナリノ駆け込み寺」。毎回その道に詳しい方に解決法を伺います。日々の暮らしのヒントにしてください。

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2022年07月01日作成
※本コンテンツはキナリノが制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。
読者の皆さんの日々のお悩みをキナリノ的に解決し、毎日を少しでも健やかに過ごしていただく企画「キナリノ駆け込み寺」。第6回目のお悩みはこちらです。

【お悩みNO.6】人間関係に疲れてしまう。気持ちが楽になる方法やコツは?

人間関係のもやもや…。気持ちが楽になるヒント【前編】
相手のささいな表情や言動が気になったり、人と長時間いると疲れてしまったり…。
「どうして上手くできないんだろう」「気にしすぎなのかな?」と落ち込んでしまうことも。日々過ごしていく中で、そんなモヤモヤを少しでも晴らしたいものです。

今回は、相手の感情やその場の雰囲気など小さな変化に気がつきすぎて疲れてしまう方に向けて、人間関係をちょっと楽にする考え方のコツを紹介します。HSP専門カウンセラーの武田友紀さんにお話を伺いました。

教えてくれた人

武田友紀さん
HSP専門カウンセラー・公認心理師
武田友紀さん
大手メーカーで研究開発に従事後、カウンセラーとして独立。HSPの心の仕組みを大切にしたカウンセリングやHSP向け適職診断が評判を呼び、全国から相談者が訪れる。著書に50万部を超えるベストセラー「『繊細さん』の本」(飛鳥新社)、「『繊細さん』の幸せリスト」(ダイヤモンド社)などの“繊細さんシリーズ”がある。
HP:https://sensaisan.jp/

目次

HSPって何だろう?

人間関係のもやもや…。気持ちが楽になるヒント【前編】
皆さんは、「HSP」という言葉を耳にしたことがありますか?
アメリカの心理学者であるエレイン・アーロン博士が提唱した「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の略称で、日本では「敏感すぎる人」「とても敏感な人」と訳されています。
HSPは、生まれつき感受性が強く、敏感な気質の人たちのことです。人が気づかないささいなことにもよく気づき、深く考える性質を持っています。この気質の根底には4つの性質があるそうです。

1つめ:深く考える(深く処理する)

表面的なことよりも本質的なことに目を向け、自然体で過ごしていても、他の人が通常考えるよりも深く考える傾向にある。

2つめ:過剰に刺激を受けやすい

光や音、暑さや寒さ、痛みなど、刺激に敏感。人一倍刺激を受けとり処理するため、他の人よりも早く疲労を感じる傾向にある。

3つめ:感情反応が強く、共感力が高い

共感力が強く、他者の意思や気持ちを察しやすい。HSPは非HSPよりもミラーニューロン(共感を生む働きをするといわれている神経細胞)の活動が活発だといわれている。舞台や芸術をひといちばい深く味わう一方で、事故や事件のニュース、暴力的な映画などが苦手な傾向にある。

4つめ:小さなことにもよく気づく

書類をぱっと見て誤字脱字に気づく、相手の声のトーンの微妙な変化に気づくなど、他の人が見逃してしまうような小さなことにもよく気づく。気づく対象は人によって様々である。
エレイン・N・アーロン著『ひといちばい敏感な子』、明橋大二著『HSCの子育てハッピーアドバイス』ともに1万年堂出版をもとに武田友紀作成。一部追記。
当てはまるものはありましたか? HSPはこの4つの性質をすべて持っているとされます。ひとつでも当てはまらない場合には、おそらくHSPではありません。
自分がHSPかどうかを知りたい方は、アーロン博士のホームページに無料のHSPセルフチェックが掲載されているので、ぜひご覧になってみてください。
こちら

あなたも「繊細さん」かも?

武田さんはHSPを、親しみを込めて「繊細さん」と呼んでいます。

「誤解されやすいのですが、『繊細さん=人間関係に疲れてしまう』というわけではありません。人と接するのが好きな繊細さんも、もちろんいます。繊細さんは “感じる力”が強い分、まわりからのいい影響も悪い影響も、どちらも受けやすいということです」

繊細さんは共感力が強く、
相手の感情を察したり、その場の雰囲気を感じるといったことが得意な傾向にあるそうです。
相手の気持ちを考えて細やかに配慮したり、深く共感しながら話を聞けたりするなどいい面がある一方で、気を遣うことが多かったり、相手の状況を考えるがゆえに自分の意見を言いづらいといった人間関係の悩みを抱えることもあるそうです。

自分を変えるのではなく、本音を少しずつ出してみよう

人間関係は、「表に出している自分」に合う人が集まってくる、というのが基本構造だそうです。つまり、「本当の自分」を抑えて殻をかぶっていると、その「殻」に合う人が集まってきてしまいます。

「繊細さんは、相手の気持ちに気づきやすいため、どうしても相手を優先しやすい傾向にあります。愚痴を聞いてあげたり、仕事が大変そうな人を手伝ってあげたり。まわりを助けるのは素敵なことです。ですが、キャパオーバーなのに相手を優先し続けると体調を崩してしまいますし、なにより、いつも相手を優先していると、“優先してもらうのが好きな人”がまわりに集まってきてしまいます。
そうすると、『私はこうしたい』『あなたにも手伝ってほしい』といった自分の意見を言いにくくなるんですね。ですから、相手を手伝う前に『今の自分には余裕があるのかな?』『私はこれを本当にやりたいんだっけ?』と本音を確かめてみてください。

本音を大事にし始めると、人間関係の入れ替わりが起こります。素の自分を出せば出すほど、自分に合う人が集まり、合わない人たちが去ります。これまで関係のあった人、全員が去ってしまうわけではなく、気持ちや意志を尊重してくれる人が残ります。自分の意見や気持ちを伝えることは、慣れないうちは大変かもしれません。でも、やればやるほど上手になりますし、ぐんと生きやすくなりますから、勇気を出して少しずつ取り組んでみてくださいね」

人といると疲れてしまう方へ

人間関係のもやもや…。気持ちが楽になるヒント【前編】
職場や学校、親しい友人でさえ、人と一定時間過ごすとなんだか疲れてしまい、そんな自分に嫌気が差す…。相手が嫌いなわけではないのに、どうしてこのようなことになるのでしょうか。
「繊細さんの神経システムは、他の方よりもささいなもの・ことに反応するようにできています。相手の表情、仕草、声のトーン、話の内容…。感じる量が多いため、刺激が許容量を超えて、どうしても疲れやすい面があります」

繊細さんには、ひとりでゆっくりと心を休める時間が必要
なのだと、武田さんは教えてくれました。
「繊細さんは、感じすぎた刺激量を流すことで、自分らしい穏やかさや明るさを取り戻すことができます。例えば、友達と遊びに行く際に『今日は2時間で帰るね』など、自分が元気でいられる範囲を探してみてください。時間を短くしたり、途中で休憩をとったりして、刺激量を調節するんです。充分にひとりの時間をとることで、また人と一緒に過ごしたい、話したいという気持ちが湧いてきますよ。

なお、『人といると疲れる』という悩みには、気質だけではなく、育った環境など後天的な要因も影響している場合があります。しんどいときは、カウンセラーに相談してみてくださいね」

他人をつい優先してしまう

人間関係のもやもや…。気持ちが楽になるヒント【前編】
聞き役にまわったり、仕事を率先して手伝ったりと、「つい相手を優先して、自分を後回ししてしまう」ことはありませんか?
繊細さんは、相手が何を望んでいるか、どうしたいのかを敏感に察知します。ちょっとした希望であれば、「そのくらいなら…」と叶えてあげたくなってしまうのです。

「より多くのことに気づくからこそ、相手に譲る回数が多くなり、自分を後回しにしてしまうのです。繊細さんが元気に生きるためには、『こんなにわがままでいいのかな』と思うぐらい積極的に自分を優先していく必要があります」

相手のことを思いやることはとても素敵なことですが、自分が疲れたり、辛くなってしまったりする前に、自分を優先させてあげてみてくださいね。

疲れたときのリフレッシュ法

人間関係のもやもや…。気持ちが楽になるヒント【前編】
実際に人間関係の壁にぶつかって疲れてしまったとき、すぐ取り入れられるリフレッシュ法を伺いました。
繊細さんは、いいものを細かに、豊かに感じる力を持っています。できれば、毎日『これ好きだな』というものに触れられるといいそうです。

「成果は客観的なものですが、幸せは主観で感じるものです。嬉しい、楽しい、おいしいなどの喜びって、胸のあたりに弾むような感覚があったり、じんわり味わったりと、身体で感じていますよね。気分が落ち込んだとき、You Tubeなどネットの世界に触れるのもいいのですが、ヨガをしたり陽の光を浴びたりと、身体の感覚を取り戻すのもおすすめです」

また、動画やSNSを見るのであれば、心が明るくなるものを選んでみるといいそうです。繊細さんは、辛いニュースも自分事のように感じやすいので、ニュースをみて落ち込んでしまう場合には、情報から離れたり、明るいニュースを選んで見るようにしてみましょう。

自分の「こうしたい」を大切に生きよう

人間関係のもやもや…。気持ちが楽になるヒント【前編】
相手の感情や、場の雰囲気を感じる力の強い繊細さん。
繊細な気質を克服するべき課題と捉えるのではなく、“いいもの”として捉えることが、自分らしく生きる第一歩であると、武田さんは教えてくれました。「こうしたい」という自分の本音をキャッチして、大切にしてみてください。



次回は、苦手な人や機嫌が悪い人への対処法、言いたいことが言えない人への解決法を中心にご紹介します。ぜひチェックしてみてくださいね。

*後編はこちら

もっと詳しく知りたい方へ

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出典:sensaisan.jp

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illustration/Shinco Uematsu

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