写真家・石田真澄の『花屋図鑑』 vol.5
工場をリノベしたノスタルジックな花屋。
東京・神楽坂の〈小路苑〉のカバー画像

工場をリノベしたノスタルジックな花屋。
東京・神楽坂の〈小路苑〉へ

花屋は店主のセンスが詰まった、季節の移り変わりを感じられる場所──人気写真家・石田真澄さんと巡る連載『花屋図鑑』。第5回目は情緒溢れる坂の街・神楽坂にある<小路苑(コウジエン)>へ。暑さの気配を感じる今日この頃、初夏に咲く花々を石田さんがフィルムに焼き付けます。

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2022年06月07日作成
工場をリノベしたノスタルジックな花屋。
東京・神楽坂の〈小路苑〉へ
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東京・神楽坂の〈小路苑〉へ
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東京・神楽坂の〈小路苑〉へ
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東京・神楽坂の〈小路苑〉へ
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東京・神楽坂の〈小路苑〉へ
“店主の目利きが光る”小さな雑貨屋やアトリエ、本屋などが集う東京・神楽坂。休日になると、お洒落な大人たちが足を運ぶこの街で、2000年からお店を構えているのが<小路苑(コウジエン)>。

オーナーの吉田耕治さんはファッションスタイリストのアシスタントを経て、雑貨屋で働いた後、花の世界に足を踏み入れました。お店には地域の人はもちろん、ファッションの仕事をする人たちが吉田さんの選ぶ花を求めに来ることもしばしば。神楽坂に根付いて22年。お店の変わらない魅力を吉田さんに伺ってみると、少し照れ臭そうに話してくれました。

「変わらないこと……自分の好きな街・神楽坂で、好きな花や植物を仕入れて、愛犬と一緒に続けてきただけなんです。“好き”ばっかり(笑)。お店の花瓶に飾りたい花を探して、それをお客様に届ける。その繰り返しが、変わらないことなのかな」

今日は吉田さんオススメの雑貨店<ラ・ロンダジル>でお気に入りの花瓶を探して、<小路苑>でとっておきの花を探す──情緒あふれる坂の街で、のんびりとお散歩してみませんか。
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工場をリノベーション

工場をリノベしたノスタルジックな花屋。
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坂の途中に佇む、年季の入った建物。グリーンに囲まれた扉を開くと、懐かしさを感じさせる空間が広がります。
「この場所はもともと紙の断裁工場でした。神楽坂は製紙業が盛んなので、工場跡地の物件も多いんです。内見したとき、がらんとした何もない感じが気に入りました。今では植物と物で埋め尽くされています(苦笑)」
少し色あせた空間に並べられた生き生きとした花々。そのコントラストで、花の生命力がより際立って見えるのもこの店の魅力です。
工場をリノベしたノスタルジックな花屋。
東京・神楽坂の〈小路苑〉へ
工場をリノベしたノスタルジックな花屋。
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店内では月に一回ほど花の教室を開催。個性的な空間を生かした雑貨や洋服のポップアップも度々行われている。

店内では月に一回ほど花の教室を開催。個性的な空間を生かした雑貨や洋服のポップアップも度々行われている。

お店にはガラス製の花瓶だけでなく、陶器作家の花瓶も並ぶ。一部は購入することも可能。

お店にはガラス製の花瓶だけでなく、陶器作家の花瓶も並ぶ。一部は購入することも可能。

花、蕾、実がずらり

工場をリノベしたノスタルジックな花屋。
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店頭に並ぶ花は立派に咲き誇る状態もあれば、成長前の蕾や咲いた後の実まで、バリエーションが豊富。
「仕入れでは色とか、形状で惹かれたものを買っています。特に緑色の花とか蕾や実に惹かれて、ついつい仕入れちゃいます。あと、好きなのが紫陽花。最近では西洋紫陽花も多くて、一年中手に入れることができるんですよ。水揚げもうまくやれば長持ちもしますし、一輪でも存在感がありますよね」
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(写真上)ヘリクリサムの蕾。(写真左)フリチラリアが咲いた後にできる実。(写真右)独特な色と形をした八重咲きのクレマチス。

(写真上)ヘリクリサムの蕾。(写真左)フリチラリアが咲いた後にできる実。(写真右)独特な色と形をした八重咲きのクレマチス。

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店の壁には青々とした葉を付けた枝ものがぎっしりと並ぶ。

店の壁には青々とした葉を付けた枝ものがぎっしりと並ぶ。

ドライフラワーと愛犬

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「残った花を使ってドライにできるものはドライにして販売しています。フレッシュな状態とはまた形が違って魅力的だったりもするので奥が深い……」
吉田さんが語っていると、「ワン!ワン!ワン!」と看板犬のカブちゃん(ミニチュアブルテリアの生後9ヶ月の男の子)が何やら言いたげな様子。お店にはカブちゃんのファンも多いのだと吉田さんが代弁してくれました。
「カブは人懐っこくてお客さんからも可愛がられているんですよ。特に近くに住んでいる子どもがカブのこと大好きで、よくお店を覗きに来て賑やかなときもあるんです(笑)」
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(写真左)ドライにしたユーカリの実。(写真右)しっぽを振る姿が愛らしい看板犬のカブちゃん。

(写真左)ドライにしたユーカリの実。(写真右)しっぽを振る姿が愛らしい看板犬のカブちゃん。

工場をリノベしたノスタルジックな花屋。
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ラフに編むブーケの魅力

工場をリノベしたノスタルジックな花屋。
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今回は初夏の花を使ったブーケを吉田さんに編んでもらいました。個性的な花や蕾など、手際よく選んでいきます。
「個人的にはあんまりガチッと作り込まない感じが好きなんです。もちろん、用途やオーダーによりますが、花を見ながらその場でラフに決めていくことが多いですね」
工場をリノベしたノスタルジックな花屋。
東京・神楽坂の〈小路苑〉へ
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吉田さんが手に取ったのは大きな西洋紫陽花とクリスマスローズ、実がついたユーカリトランペットなど。

吉田さんが手に取ったのは大きな西洋紫陽花とクリスマスローズ、実がついたユーカリトランペットなど。

青が引き立つ紫陽花を主役にした、初夏のブーケが完成。季節や仕入れの状況で変動はありますが、こちらのブーケで8,000円+税。

青が引き立つ紫陽花を主役にした、初夏のブーケが完成。季節や仕入れの状況で変動はありますが、こちらのブーケで8,000円+税。

SHOP DATA

小路苑│コウジエン
東京都新宿区赤城元町3-4
☎︎03-5261-0229
営業時間:15時~19時/日曜・祝日休
店内ではブーケはもちろん、花を1本から購入可能。ブーケは店頭オーダー、電話、メール(kojien@tkk.att.ne.jp)での注文ができ、全国配送も対応している(季節によって一部地域には送れない可能性があります)。毎月開催している花の教室の情報はホームページにて。
<小路苑>公式HP

<小路苑>を訪ねて

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小さなベンチやソファー、鏡、積み重なったCD、いたるところに置かれた花々。<小路苑>にいると、まるで誰かの部屋の中にいるような気分になります。お店のお花は売っているというよりも部屋の中に飾られているみたいで、一輪ずつ、じっくり鑑賞してしまいました。花束を渡したい人と一緒にまた神楽坂に来たいと思います。
石田真澄
写真家
石田真澄
1998年生まれ。埼玉県出身。個展『GINGER ALE』(2017年)が話題に。その後、5冊の写真集を刊行。また、雑誌や広告のフィールドでも活躍。POCARI SWEAT『ポカリ甲子園』や横浜DeNAベイスターズ『サマータイム ベイスターズ』などのCMを撮影。近著に夏帆の写真集『おとととい』、八木莉可子の写真集『Pitter-Patter』がある。
公式ホームページ
Instagram
写真:石田真澄
編集・文:恩田栄佑

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