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【連載】ふたりのマイルール
vol.5 - 娘が引き継ぐ、
“らしさ”にとらわれない母業

“ルール”と聞くと少し堅苦しさを感じますが、夫婦や仕事のパートナーなどごまかしのきかない距離感では、なにかしら決め事があったほうがスムーズにいくような気もします。それなら「素敵な関係のためのルール」って?毎回さまざまな「ふたり」に登場してもらい、心地よい関係を保つ秘訣を伺う連載。今回は距離感が近いだけについ甘えたり、ぶつかったりと難しい「親子」がテーマ。そこで、お互いに尊敬し合う素敵なお二人、「のみや PAROLE」を営む桜井えみこさんと長女・みおこさんに素敵な親子のルールを伺いました。(2019年12月02日作成)

写真:yansuKIM 取材・文:西岡真実

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“らしさ”にとらわれない母業
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vol.5 - 娘が引き継ぐ、
“らしさ”にとらわれない母業
しみじみ味わいたいおばんざいと居心地の良さで、舌のこえた常連さんが足繁く通う「のみや PAROLE(パロル)」。営むのは71歳のときにお店をはじめて5年、今も現役でお店に立ち続ける桜井莞子(さくらいえみこ)さんです。
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“らしさ”にとらわれない母業
お店のほかに料理本の撮影や講演依頼もこなす活躍ぶりですが、その忙しさもなんのその。取材で伺った際も「えーと、宅配便の荷物まとめて……あら!薬飲んだかしら。もう、忙しくってワケわかんないわね(笑)」と店内を行ったり来たり、どこか楽しげです。
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“らしさ”にとらわれない母業
年齢をものともせずチャレンジする人生の先輩の姿ほど勇気づけられるものはありませんが、さらに桜井さんがすごいのは、そのバイタリティ。76歳にして「この間も朝の7時まで呑んじゃって(笑)」というツワモノでもあります。

パワーの秘訣を伺うと「好きなことをこれだけ毎日やれてて、幸せだからじゃない?」とにっこり。

人を惹きつける生き生きとした語り口と天真爛漫さ。そんな桜井さんを中心に、店では常にあたたかな笑いが絶えません。

母娘をカタチづくるもの

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20代で結婚し2人の子どもを授かるも30代で離婚を経験。それまで専業主婦だったこともあり途方にくれた桜井さんですが、その後、縁あって料理の仕事に。持ち前の明るさで人生の節目を乗り越えてきました。

「もともと楽天的な性格なの。1年くらいは私なりに悲しかったし、一度くらいは子どもを抱っこしながら涙が頬を伝うようなこともあったけど。かといって『辛くて大変で』という感じはあまりなかったのよね」
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“らしさ”にとらわれない母業
子育てのスタイルも明るくさっぱりとした自身の性格そのもの。甘やかされずに育ったという長女の海音子(みおこ)さんは、子ども心に“やさしい母親像”を求めることもあったものの、それが今の自立した付き合い方につながっていると言います。

軽快なお二人の会話を聞いていても、母娘というより古くからの友人のような、対等な印象。そんな様子を見ていたら、現在の素敵な関係に至るまでが知りたくなりました。

親から子へ。受け継がれるエッセンス

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“らしさ”にとらわれない母業
お互いを尊重する素敵な母娘の様子に、さぞやしっかりした子育て方針をお持ちなのでは、と伺ってみれば意外や意外「そういうのはあまりないの」と桜井さん。「だって、子どもなんて親の思い通りには育たないものでしょ?」という言葉に納得です。

「ただ、小さい頃から美味しいお店で食事したりして『本物を知る』のは大事だと思っていて。自分の親がそうしてくれてたからか、気がついたら自然と自分の子どもにもそうしてましたね」

同じように、店で白いお皿を使っている理由も、自身の父が白の器をこよなく愛していたから。昔は色ものや焼締めの器も好きで一通り使ってはみたけれど、結局、たどり着いたのはシンプルな白の器の魅力でした。そんなふうに、知らず知らず染み込んでいた親のエッセンスを感じることがあると言います。

いつの間にか鎮座している「好き」や「こだわり」の源は、幼い頃の何気ない日常に隠れているのかも。そう思うと、母から娘へ、意識せずとも自然と受け継がれているものは、少なくなさそうです。
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vol.5 - 娘が引き継ぐ、
“らしさ”にとらわれない母業
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“らしさ”にとらわれない母業

Rule1:子育てはまず、自分が楽しむ

桜井さんの魅力的な奔放さは筋金入りのようで、「昔からとにかく自由な人だった」と娘のみおこさん。学校を休ませて子どもとあちこちお出かけしたり、友人を自宅に招いては賑やかな席に我が子も同席させたり、楽しいエピソードには事欠きません。
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桜井さん:子育て方針というほどではないけど、いろんなとこに子どもを連れていきましたね。さすがに、思春期になるとちょっと嫌がられたりして(笑)。

みおこさん:中学になると部活とか友達関係もあるのに、平気で一週間とか休ませるから(笑)。面白くて楽しいお母さんだけど、自由すぎてときどき困っちゃって。

桜井さん:よく人を家に呼んで賑やかな家だったけど、それも嫌だったんでしょ?

みおこさん:だって、娘が試験前で部屋にこもって勉強してるのにお構いなしだから(笑)。

桜井さん:しっかりした子だったもんね。あの頃は反抗期もあったし、強かったわよねえ。

みおこさん:当時は家庭環境が複雑で不安定なときもあって。でもお母さんは明るくて淡白な性格だから、自分のはけ口がなくて当たってた。要は甘えてたんだよね。今だからそう思えるけど、当時は無性に腹が立ったりして。

桜井さん:その頃は、反抗してるのを無理に押さえつけたらグレてしまいそうで、静観してる感じだったわね。言葉を交わすとケンカになるし、なにかが嫌で反抗してるんだから、もうしょうがないなと思って。

みおこさん:もう反抗期に出し切ったのか、今はぶつかることもなく平和だね(笑)。

Rule2:店ではアシスタントに徹する

昨年、人手が足りなくなったのを機に、現在は週1~2回のペースで店を手伝うしっかり者の長女・みおこさん。その働きぶりは常連さんに好評で「やっぱり娘が褒めてもらえると嬉しいわよ!」と桜井さんも誇らしげです。「私が叱られることもあるくらい(笑)」という心強い助っ人は、母娘だからこその“あうん”の呼吸で店に立つ桜井さんを支えます。
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“らしさ”にとらわれない母業
桜井さん:お店での仕事のやり方って、調味料ひとつとっても使ったらすぐにしまうタイプとそうでないタイプの人がいるでしょ。今となっては笑い話だけど、前に働いてくれてた人とはそういうことでよくケンカになったりしたのよ(笑)。母娘だと自然とそういう部分も似てて、一緒に働いて楽なところはあるわね。

みおこさん:そこは、私はお店では「あくまでもアシスタント」っていうのを意識していて。呼び方もお母さんではなく「桜井さん」だし、調理場がスムーズに機能するように気をつけてるつもりですね。

桜井さん:娘も家庭を持ってお互い忙しくしてるけど定期的に元気な姿をみられるし、一緒に仕事をすることでまた違う面が見えたりもして、私には嬉しいことだなって。

みおこさん:まだ小学生の子どもがいるのでフルでは手伝えないですけど、顔を合わせられるのは私も安心かな。

Rule3:子どもを所有物にしない

相手への甘えからオブラートに包まない言葉を投げたり、心配だからこそつい相手の問題に踏み込みすぎてしまったり……ということもある家族や親子の関係。そんなこととは無縁に思える桜井さん親子ですが、自立した関係を築くきっかけとなったのは、意外にも離婚前、桜井さんが元ご主人から言われた言葉でした。
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桜井さん:みおちゃんは楽しそうに子育てしてて、「すごいなぁ、よくやってるなぁ」と思って。私は子ども2人だけど、3人なんて大変じゃない?それを見てると自分の子どもを尊敬できるようになってくるのよね。

みおこさん:2人も3人もそんなに違わないと思うけど、どうなんだろう(笑)?

桜井さん:私は、自分の娘だけど割と客観的に一人の人間として見てるところがあって。それがお互いにとっていいのかも。

みおこさん:昔からそうだったよね。例えば、なにかあって私が悲しんでるとき、慰めるよりも正しい答えを導いてくれる。小学校低学年のころからそうだったから「冷たい」と感じたこともあったけど、そのお陰で、自分の力で課題をクリアしていく自立心が作れたなって。だから今は、私も自分の子どもに同じように接してる。
桜井さん:昔、長男が生まれたばかりで可愛くて可愛くてしょうがないってときに、当時の夫が言ったの。「えみちゃん。子どもはね、親の所有物じゃないんだから」って。あぁ、それは「自分のものにしたい」という自己満足だなって気がついて。すごくその言葉が自分のなかに残ったの。

みおこさん:私の子育てのやり方とか夫婦のことにも、あまり口出ししないもんね。

桜井さん:若い頃に言われたその言葉をずっと心に留めてきて、それが今の親子関係につながってるのよね。

親愛なる母へ、娘へ。

桜井さん:感謝したいのは、祖父母への優しさ

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“らしさ”にとらわれない母業
なによりも嬉しかったのは、やっぱり私の両親を大事にしてくれたことかな。母は料理や裁縫も完璧で、おしゃれ好きな人。絵の先生だった父は、孫にアートのことを教えたり、芝居を一緒に見に行ったり、ユーモアもあって「面白いおじいちゃん」っていう感じで。
(「優しいし面白いし、すごく素敵な祖父母で、大好きだったんです」とみおこさん。)


小さい頃から娘は「じいじ」「ばあば」って事あるごとに気にかけて優しくしてくれて。大人になってもずっとそんなふうに接してくれたことは嬉しいし、なかなかできることじゃないなって。

誕生日のお祝いなんかももちろん嬉しいけど、心からありがとうって言いたいのは、やっぱりそういうことですよね。

みおこさん:この母だから。今も鮮やかな子ども時代の思い出

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“らしさ”にとらわれない母業
今思うのは、母に育ててもらって本当によかったなって。当時は大変なこともあっただろうけど、振り返ると、シングル家庭でも寂しさを感じることがないくらい楽しい思い出にあふれていて。

例えば、小学生の頃は特別だった夜のおでかけとか。「明日も学校だけど、少し夜更かししちゃおう!」って、屋台のうどん屋さんに連れて行ってくれたりして。そういうのってワクワクするじゃないですか。

海に行っても、私たちと一緒にバカみたいにはしゃいで遊んでくれたので、もう嬉しくて楽しくて(笑)。当時の高揚した気持ちはずっと忘れられないし、そういうものが私の根底にずっと残ってるんです。

だから私も、子育ては絶対に「楽しく」がモットー。子どもだけじゃなく、自分も楽しむことを大事にしてますね。

どんなときも人を恨まず、前向きに。

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離婚した元ご主人とは、今でもお互い連絡を取り合い、2人で食事にいくこともあるという桜井さん。そんなお二人は、娘のみおこさんから見ても親という枠を超え、一人の人間として魅力的に映ります。

「いまだに父は『僕はえみちゃんのこと、人として好きだよ』って、恥じらいもなく私に話すんです。それは、娘としてすごくありがたいし、ほっこりしますよね」

「私が離婚したときにね、『えみちゃん、許さないとだめだよ』って父に言われたの。相手の責任にして恨んでいても、自分が辛いだけ。前に進めないじゃない。確かに辛いけど、別れたのは縁がなかったってことだから、自分の人生を前向きに生きることにエネルギー使ったほうがいいわよね」
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桜井さん曰く、『その人の心やスタイルは、日々の小さな意識から作られるもの』。それは、長年の積み重ねがあるからこそ、自信をもって発せられる言葉です。

人を恨まず、“楽しい”を大事に。
そうして作られてきたものは今、着実に娘へ、孫へと受け継がれています。
///// PAROLEのメニューがレシピ本になりました /////
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“らしさ”にとらわれない母業
しみじみ美味しいPAROLEのおかずが一冊に。日本のケータリング&フードスタイリストの草分け的存在でもある桜井さんの「ひと手間」が満載。家庭の定番おかずを美味しく仕上げるコツを教えてくれます。

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