落ちつきのある秋のお花たち
秋のお花は落ちつきのある色味のものが多く、さまざまなテイストのお部屋としっくりきます。一種類で飾るのはもちろん、たっぷりのグリーンと共に生けてみたり、同じ種類のお花を色違いでまとめてみるのも素敵です。
色味が落ち着いている分、量感を盛り込んでも大げさになりません。一輪でも、ブーケでもその日の気分そのままに、秋のお花を楽しんでみましょう。
季節の移ろいを、お部屋でも楽しんでみませんか？
お庭のお花をほんのすこし、カップに飾るだけでもインテリアのお洒落なアクセントになります。お花の部分だけを見せることで、立体感がより際立っていますね。
食卓の中央にさりげなくお花を飾ると、ぱっと場が華やぎます。丁寧な暮らしにお花は欠かせないということを実感する瞬間です。
一輪だけでも、飾り方次第で存在感抜群のインテリアに。お花を生ける花器も慎重にチョイスしたくなりますね。
花言葉を考えて選びたい、素敵な秋のお花10種
香り豊かな気品あふれる「バラ」
バラは様々な品種があり、一年を通してみられるお花になりました。秋にみられるバラは、四季咲きのもので、11月終わりごろまで楽しめます。春に咲くものよりも、ぐっと落ち着きのある雰囲気で、シックなインテリアにもよく合います。
白いバラ：純潔、深い尊敬
黄色いバラ：友情、ジェラシー、薄らぐ愛
ピンクのバラ：上品、感銘
バラは多様な色味を楽しめるお花のひとつですが、それぞれの色味によって花言葉が異なります。ひとつの色の中にも、いろいろな意味があるので自分が気に入ったものを感じとるといいですね。
秋のバラは香りも豊かで、一輪をじっくりと堪能するのに向いているといわれています。ガラスの花瓶に飾ってしばらく楽しんだら、花びらだけにして、平らなプレートに飾ってみるのも素敵。落ち着きのある色味の心惹かれるインテリアになりますよ。
カラフルな鶏のとさか「ケイトウ」
鶏のとさかのような形からこの名がついたとされるケイトウ。赤やピンク、黄色にオレンジ、淡いグリーンなどその色合いも多く、洋風にも和風にもアレンジすることができるお花のひとつです。
ケイトウの花言葉である「オシャレ」、「気取り屋」というのは、ぴんととさかを立てた鶏が胸を張って歩く様子からつけられたといわれています。穂先がぴんと立ったケイトウのほか、たっぷりのひだが寄せられたようなかたちのケイトウも人気があります。
花言葉からも分かるように、ケイトウはドライフラワーにしてもその深みのある色味をキープしやすいお花です。フレッシュな状態を楽しんだら、お部屋の隅に吊るしてドライに挑戦してみるのもいいですね。
日本の秋を代表するお花「コスモス」
秋の桜と書いてコスモス。ピンクのやわらかな花弁を持つコスモスは、まさに秋に咲く桜のようなお花です。日本の秋を代表するお花のひとつですよね。でも、実はコスモスにもいろいろなカラーがあり、花言葉もそれぞれ違います。
赤いコスモス：乙女の愛情、調和
黄色いコスモス：自然美、幼い恋心
白いコスモス：優美、純潔
チョコレート色のコスモス：恋の思い出、移り変わらぬ気持ち
秋の季語としても使われるコスモスは、繊細で儚いイメージのお花です。花言葉の意味を考えながら、いくつかの色を合わせてみるのも面白いですね。
同じ種類の花器を集めてリズミカルに並べたら、空間がきゅっと引き締まりました。ふんわりとしたお花なので、ゆったりと生けてみると安定感が生まれます。
甘く漂う香りに心惹かれる「金木犀（キンモクセイ）」
金木犀はその甘い独特な香りに惹かれる人も多い、秋らしさを体感できるお花のひとつです。香りの良さから香水やお香にもよく使われています。クチナシや沈丁花と並び、三代香木とも呼ばれています。
オレンジ色の小さな可愛らしいお花にぴったりの花言葉は、どれも思わずうなずいてしまいますね。すっと伸びるグリーンの葉っぱとたっぷりとついた小さなお花の対比もとてもお洒落です。
金木犀は一気に散ってしまうお花ですが、落ちたお花が通りをオレンジ色に染めている姿もまた風情がありますよね。おうちでそんな光景を楽しむなら、水を張ったボウルに金木犀を浮かべてみて。ほのかに香る甘い香りとともに、美しいオレンジ色の揺らめきを眺めることができますよ。
日本の国を代表する優美なお花「菊」
菊は日本では平安時代から観賞用として親しまれてきたお花で、昔は薬草としても使われていたそうです。非常に種類が多く、品評会なども頻繁に行われています。お花の直径が20cm以上ある大菊から愛らしいスプレー菊のような小菊まで、お花の大きさも様々です。
赤い菊：愛情
白い菊：真実
黄色い菊：破れた恋
後鳥羽上皇が菊の花の意匠を好んだことから、皇室の家紋となったとされています。そこから、菊全般に対する、高貴、高潔といった花言葉がうまれたのかもしれませんね。
いわゆる和菊だけではなく、ピンポンマムやアナスタシアといった豪華な洋菊も人気があります。いろいろなかたちの菊を集めてまとめてみるのもいいですね。豪華ですが、シックな色味のものが多いので、ほかのお花との相性も抜群です。
曼殊沙華の別名を持つ目を惹くお花「彼岸花」
お彼岸の頃に咲く、彼岸花は曼殊沙華という美しい名を持つ秋を代表するお花のひとつです。非常に繊細な雰囲気でありながら、真っ赤な色味が目を惹く雅なお花ですよね。でも、実は、白や黄色といった彼岸花もあるのをご存知ですか？花言葉も色によって異なります。
白い彼岸花：また会う日を楽しみに、思うはあなたひとり
黄色い彼岸花：追想、元気な心、深い思いやり
白い彼岸花は、とても幻想的。くるりと巻いた花びらが一段と優雅な雰囲気を醸し出しています。赤い彼岸花よりもちょっぴり特別な印象を受けますね。
短くカットした彼岸花は、普段と面持ちが変わって面白いですね。松ぼっくりを一緒にアレンジして、秋らしさを一段と深めています。
大人っぽい深みのある色合いが素敵「リンドウ」
美しい寒色が特徴的なリンドウは実は日本原産のお花で、日本のほぼ全域でみられます。古くから漢方としても使われ、親しまれてきました。深みのある青や水色、紫などの色が一般的ですが、ピンクや白といった明るい色味のお花もあります。
リンドウの花言葉のひとつにある、勝利。リンドウが漢方薬として使われることから、病に打ち勝つとして使われるようになったそうです。可憐なお花が持つ力づよい花言葉に心が励まされます。
すっきりとしたリンドウのお花のシルエットを生かすには、ぎゅっと小さめのグラスに集めて先端のフォルムを際立たせるといいですね。緑の葉っぱをすこしだけプラスして、バランスを調整しています。
道端に咲く生命力あふれる力強いお花「オキザリス」
生命力が強く、世界ではなんと850種類以上あるといわれるオキザリス。カタバミという雑草の一種ですが、整った花弁の美しさは思わずじっと見つめてしまうほどですね。
あまり関係のない言葉のように思えるふたつの花言葉ですね。けっしてあなたを捨てません、という言葉からは雑草の持つ力強い生命力を感じます。輝く心というのは、真鍮の仏具を昔はカタバミで磨いていたことから考えられた花言葉だそうですよ。実用面からも花言葉が生まれるというのは面白いですね。
美しいオキザリスは、そのままハンギングするだけでもこんなに素敵です。玄関に飾ったら、通るたびに笑顔になれそうですね。
優美なかたちと上品な色合いが人気「萩」
秋の七草のひとつでもある萩のお花。細くしだれる枝先に、小さな特徴的なかたちの紫のお花をたっぷりとつけます。中秋の名月には萩のお花をお供えし、美しいお月さまを愛でれば、秋の雰囲気もばっちり味わえますね。
紫のお花が印象的な萩ですが、実は白萩といい白い品種のものもあります。花言葉はどちらも同じものを使って大丈夫。紫も白も気品あふれる色味なので、上手にインテリアに取り入れていきたくなりますね。
大きめの籠に、萩の長さを生かした美しいアレンジメントを作り上げています。萩のお花だけでは寂しくなってしまいがちですが、大きさやかたちの違うグリーンを混ぜることで、シックなのに賑やかな印象のお花に仕上がりました。
独特のフォルムが愛らしい「ワレモコウ」
ワレモコウは実はバラ科の植物というのをご存知ですか？あまりバラらしさは感じられませんが、古くから日本で愛され続けてきたお花のひとつです。なんと源氏物語にも登場しているんですよ。
ワレモコウは上から下に向けて順番に穂のような花が咲いていきます。ここから、変化、うつろいといった花言葉がついたと考えられています。どこか寂し気な印象ですが、物思いにふけりたい秋をあらわすにはぴったりのお花ですね。
ワレモコウはもともと水分が少ないお花なので、ドライフラワーに向いています。初心者さんでもきれいにドライにすることができるので、フレッシュな状態で楽しんだあとは、ドライにしてインテリアにしてみるのがおすすめです。
秋を感じるお花たちをもっと身近に
春や夏のカラフルさとはまたひと味違った深みのある色あいが楽しめる秋のお花たち。お花の持つ花言葉を考えながら、ゆっくり丁寧に生けてみると、おうちで過ごす時間が一段と優雅な時間になりそうです。短い秋の季節を存分に味わうために、お花屋さんの軒先で気になったお花たちを連れて帰ってみてくださいね。
可憐なものや、シックな味わいを感じるものが多い秋のお花たち。涼しい風が吹き始めると、途端に季節は冬へと進んでいきますよね。短い秋を存分に楽しむために、季節感いっぱいの秋のお花を飾ってみませんか？お部屋の中にちいさな秋を招き入れれば、気持ちもふんわりと上向きになりそうです。