『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」
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『霽れと褻』代表・田中さんに教わる 「花ごよみ」vol.7-クリスマスローズ

協力:霽れと褻 文:キナリノ編集部

気温、風、街行く人々の装い…。みなさんは、季節の移り変わりをどんなときに感じますか?「花ごよみ」とは、季節の移ろいを花によって表現した暦のこと。連載第7回目は、花が少ない冬時季にもバラのように美しい花をつける「クリスマスローズ」のお話です。ドイツやイギリスではその名の通り、クリスマスのお祝いに欠かせない人気の花。でも、すっかり年も明けた新年に季節はずれのクリスマスのお話…!? いえいえ、これにはきちんとした理由があるんです。

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2018年01月19日作成
【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる 「花ごよみ」vol.7-クリスマスローズ
新しい年のはじまり。
空高く昇ったお日様が部屋に日差しをたっぷり注ぎ込む冬のある朝。
でも、何か物足りない…。そうだ、お花を飾るのを忘れてたんだった!
今年一年も季節の花を絶やさないように、暮らしたいな。
お花屋さんの帰りに花を持って街を歩くのも、好きだよ。
そんな素敵なあなたの、豊かな花のある暮らしの傍らに、今年もこの「花ごよみ」を是非どうぞ―― 。

「冬の貴婦人」は、バラのように美しい花を咲かせる。

【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる 「花ごよみ」vol.7-クリスマスローズ
大寒を過ぎ、寒さもいよいよ本格化。春の訪れが待たれる今日この頃です。
そんな、緑も少ない冬場に私たちを楽しませてくれる花が今回ご紹介する「クリスマスローズ」。
とっくにお祝いして終わったのに、今さらクリスマス…!? と思われる方も少なくないかもしれませんね。ヨーロッパ原産のクリスマスローズは、「冬の貴婦人」と呼ばれ、12月~3月にかけて咲く代表的な冬の花。寒さに強く、時には雪を持ち上げて花を咲かせることもあるのだとか。春咲きのものも中にはありますが、クリスマスシーズンにバラのようにきれいな花を咲かせることからクリスマスローズと呼ばれるようになりました。
伝説から生まれた“優しい花言葉”
【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる 「花ごよみ」vol.7-クリスマスローズ
一重咲きのシンプルな佇まいが美しいクリスマスローズの原種「ニゲル」には、イエス・キリストにまつわるこのような伝説があるといいます。

キリスト誕生のお祝いに駆けつけたマデロンという少女。
しかし、貧困のため贈り物が何もありません。悲しみに暮れる少女、その瞳からは涙が溢れ出します。しかし、その涙が流れ落ちた場所からは真っ白な美しいニゲルが咲き乱れ―― 。

そして少女は、その花をキリストに無事捧げられたというお話。
このような伝説からクリスマスローズは、イエス・キリスト降誕の象徴とされ、「私の不安をやわらげて」「慰め」などの優しい花言葉が生まれたきっかけともなったそうです。
日本人の美意識に通じる慎ましやかな花姿
【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる 「花ごよみ」vol.7-クリスマスローズ
国内では長年、鉢植えとして庭に植えるなどして親しまれてきたクリスマスローズ。日本には自生しておらず、明治頃に薬用として移入されたのが始まりだとか。また、クリスマスローズは根などに毒を持ち、ヨーロッパではその毒を矢に塗りこみ狩りに使用することもあったそうです。一方、日本では下向きに花を付ける慎ましい花姿から茶花として愛でられてきた側面もあり、「寒芍薬(かんしゃくやく)」という寒い時季に咲く芍薬を意味する愛称でも慣れ親しまれています。

日本有数のクリスマスローズ農園「童仙房 NURSERY&GARDEN」

【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる 「花ごよみ」vol.7-クリスマスローズ
今回、ハレとケ定期便でお世話になったのは、クリスマスローズの生産で国内トップクラスの「童仙房 NURSERY&GARDEN (ナーセリー&ガーデン ※以下、童仙房)」さん。
大阪の都心部から少し離れた八尾市に、その農園と出荷場があります。美しく整備された立派なハウスには、クリスマスローズの鉢が見渡す限りずらり。国内では一般的に流通数も少なく、珍しい部類に入るクリスマスローズがこれだけ並んでいるのは圧巻の一言!
ある特別な一輪との出合い
【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる 「花ごよみ」vol.7-クリスマスローズ
「ドイツのホイガー社の真っ白なクリスマスローズ・ニゲルと出合ったのが生産のきっかけ。」と語るのは、童仙房の二代目・藤田 義敬(ふじた よしのり)さん。ホイガー社は、ドイツで約40年間クリスマスローズの育種を続けてきた、業界では権威のある農園です。決定打となったこの一輪の魅力に惚れ込み、ノウハウを本場で学び、現在はホイガー社と提携して日本の気候や市場に適した品種を選抜し生産されています。
【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる 「花ごよみ」vol.7-クリスマスローズ
良い苗を選ぶだけでなく、そこから良い花を咲かせるのも藤田さんの仕事。春に苗を植え、12月に花が咲き始めるクリスマスローズは夏場の管理がとても大切。暑さに特に弱いため、ハウス内の気温が高くなる夏はそのコントロールが大変なのだとか。

クリスマスローズはすぐにダメになってしまうと思われることもあるようですが、きちんとケアすれば長く楽しめる花。藤田さんが日本人の感性に合っていると信じ、生産を始めたクリスマスローズは、それから20年経つ今もなお、年々人気が上がる一方です。

国境を越えた探究心と、徹底した品質管理がなせる日本人の職人技。そこには、藤田さんだからこそ育てられたクリスマスローズがありました。

『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「クリスマスローズ」の愛で方

花が少なくて寂しい冬の時季にも私たちに癒しを与えてくれる「クリスマスローズ」。お家での飾り方や楽しみ方について、『霽れと褻(はれとけ)』代表・田中さんに教えていただきました。
BOTANIC代表・田中彰さん。1983年、高知市出身。大学卒業後、素材メーカーに勤務。花と植物の魅力に惹かれ、転身。東京・南青山の花屋で修行を経て、株式会社BOTANICを設立。

BOTANIC代表・田中彰さん。1983年、高知市出身。大学卒業後、素材メーカーに勤務。花と植物の魅力に惹かれ、転身。東京・南青山の花屋で修行を経て、株式会社BOTANICを設立。

Q:水揚げのポイントってあるの?

平均的な切り花の長さに比べて少し丈が短いクリスマスローズは、飾りやすい長さを残すため、下準備で茎先を切る場合は出来るだけ短く、約1cm弱くらいを目安に切りましょう。きれいな水を張った容器の中でよく切れるハサミを使って行いましょう。

平均的な切り花の長さに比べて少し丈が短いクリスマスローズは、飾りやすい長さを残すため、下準備で茎先を切る場合は出来るだけ短く、約1cm弱くらいを目安に切りましょう。きれいな水を張った容器の中でよく切れるハサミを使って行いましょう。

万が一、水下がりが生じた場合は「湯あげ」が有功です。茎先を切った後に40度のお湯に茎全体を浸け、そのまま水が冷めるまで置いておくと、シャキッと上がります。一般的な方法とは異なる、ぬるま湯につけて湯あげする方法はクリスマスローズ独自のもの。

万が一、水下がりが生じた場合は「湯あげ」が有功です。茎先を切った後に40度のお湯に茎全体を浸け、そのまま水が冷めるまで置いておくと、シャキッと上がります。一般的な方法とは異なる、ぬるま湯につけて湯あげする方法はクリスマスローズ独自のもの。

Q:どんな活け方が合うの?教えて!

様々な活け方が楽しめるクリスマスローズ。まずは、ラフにざっくりと活けてみて。花瓶の高さと花瓶から出る花の長さは1:1が基本ですが、クリスマスローズは顔の美しさが際立つ2:1もおすすめ。花瓶の上にこんもりと花を盛り付けるイメージで。

様々な活け方が楽しめるクリスマスローズ。まずは、ラフにざっくりと活けてみて。花瓶の高さと花瓶から出る花の長さは1:1が基本ですが、クリスマスローズは顔の美しさが際立つ2:1もおすすめ。花瓶の上にこんもりと花を盛り付けるイメージで。

お部屋の雰囲気に合わせながら器を変えて、いろんな飾り方を楽しめるのもクリスマスローズの魅力。水滴を思わせる丸くて透明な花瓶に活けると、なんだか心が静まるよう。アシンメトリーを意識して活けるのも素敵。

お部屋の雰囲気に合わせながら器を変えて、いろんな飾り方を楽しめるのもクリスマスローズの魅力。水滴を思わせる丸くて透明な花瓶に活けると、なんだか心が静まるよう。アシンメトリーを意識して活けるのも素敵。

ピッチャーに活けると、キッチンやテーブルの上によく馴染みます。清潔感のある白い陶器やガラス素材がおすすめ。

ピッチャーに活けると、キッチンやテーブルの上によく馴染みます。清潔感のある白い陶器やガラス素材がおすすめ。

お気に入りのマグカップに活けて、カフェ風にも。

お気に入りのマグカップに活けて、カフェ風にも。

他の花と合わせて、小さな花瓶に一輪挿したものをいくつかランダムに並べれば、まるでギャラリーのような美しい空間に。

他の花と合わせて、小さな花瓶に一輪挿したものをいくつかランダムに並べれば、まるでギャラリーのような美しい空間に。

実は…、押し花にしても素敵なお花なんですよ。

【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる 「花ごよみ」vol.7-クリスマスローズ
クリスマスローズの花びらの様に見える部分は花ではなく萼(がく)のため、水分が抜けても散りません。押し花にしてもしっかりと形が残りきれいに仕上がるので試してみる価値あり!美しい姿を永遠に閉じ込めて…。

クリスマスローズの花びらの様に見える部分は花ではなく萼(がく)のため、水分が抜けても散りません。押し花にしてもしっかりと形が残りきれいに仕上がるので試してみる価値あり!美しい姿を永遠に閉じ込めて…。

アンティークな雰囲気で、お部屋をぐっとスタイリッシュに。

【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる 「花ごよみ」vol.7-クリスマスローズ
アンティークな雰囲気を放つしゃれた色合いは、クリスマスローズの最も大きな魅力のひとつ。柔らかみのある白色のものや、スモーキーなピンクのものなど、飾るとお部屋をぐっとスタイリッシュにしてくれます。同じ中間色のグリーンとの相性もぴったりなので、それぞれの飾り方でクリスマスローズのある暮らしを楽しんでみてくださいね。

来月のお花は…

【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる 「花ごよみ」vol.7-クリスマスローズ
次回ご紹介するのは、「アルストロメリア」というお花です。長野県・信州片桐農園さんのハウス内で伸び伸びと育ったその花は、とても力強くてこちらまで元気になるよう。ご予約は、今月末までです。気になった方は、1ヶ月からでも花屋が厳選した素敵な花の定期便生活を始めてみませんか?下記のリンクからお申し込みくださいね。
霽れと褻|毎月届く、花のある暮らし。季節の花と、花屋が編集する新聞の定期便。
霽れと褻(ハレとケ)は、暮らしを豊かにるす四季折々の花と、その花に関する新聞を毎月セットで届けします。花に触れ、花を知ることを通して、四季の移ろいを感じさせてくれる、花のある暮らしをお楽しみください。
ハレとケ定期便のお申し込みはこちらから

\ 今月の「#霽れと褻」発表! /

こちらのコーナーでは、毎月インスタグラム内のハッシュタグ「#霽れと褻」の中から素敵な一枚をピックアップ!
ハッシュタグを付けて投稿してくださった方の中から、こちらのコーナーに採用された方には、キナリノモールでも販売中の『霽れと褻ギフトチケット一ヶ月分』をプレゼントします♪
※対象画像は「ハレとケ定期便」で届いたお花や新聞、「霽れと褻DAY」で購入したお花、当日の店頭ディスプレイ写真となります。
こちらの連載が先月お休みだったため、今月は先月分もピックアップ!11月にお送りしたのは、オンシジウムシャーリーベイビーという蘭の仲間。部屋中に香るバニラの匂いが、心からリラックスさせてくれるようです。

こちらの連載が先月お休みだったため、今月は先月分もピックアップ!11月にお送りしたのは、オンシジウムシャーリーベイビーという蘭の仲間。部屋中に香るバニラの匂いが、心からリラックスさせてくれるようです。

Instagram(@mii_renka)
12月には、クリスマスのディスプレイにもぴったりな国産サンキライをお届け。ニュアンスのある枝ぶりが、とってもいい雰囲気です。

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Instagram(@mutsuko222)
#霽れと褻
みなさんも、「#霽れと褻」を付けてどんどん投稿してくださいね!

霽れと褻(ハレとケ)

中目黒と蔵前に店舗を持つex. flower shopが新しく立ち上げたブランド。
毎月、旬のお花が届く「ハレとケ定期便」や大切な方へお花を贈るサービス「ギフトチケット」、SUEKI CERAMICSとのオリジナルの花瓶を販売する。

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