『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」
【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.4-グロリオサ・ヴィレッセンのカバー画像

『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.4-グロリオサ・ヴィレッセンス

協力:霽れと褻 文:キナリノ編集部

気温、風、街行く人々の装い…。みなさんは、季節の移り変わりをどんなときに感じますか?「花ごよみ」とは、季節の移ろいを花によって表現した暦のこと。連載第4回目は、今若い人の間でフラワーアレンジメントやブーケに人気の「グロリオサ」についてのお話。燃えるような赤色で華やかに咲き乱れるその花は、今やお花屋さんにとっても欠かせない存在だとか。でも、今回ご紹介するのはそんな一般的に出回っているものの素の姿。その自然の生まれたままの美しさが、私たちに忘れかけていた何かを思い出させてくれました。

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2017年09月27日作成

唯一無二の花。美しい原種『グロリオサ』の魅力

【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.4-グロリオサ・ヴィレッセンス
自然のまま、生まれたままの姿で――。
私たちは、いつから世間の目を気にして自らを着飾ったり、より良く見せたいと願うようになったのでしょう。
山や海、手つかずの雄大な自然を前にして涙したり、生まれたばかりの赤ん坊に気高く圧倒されるようなパワーを感じるのはなぜでしょうか。

今回ご紹介する『グロリオサ・ヴィレッセンス』は、「原種」と呼ばれる、改良や交配が一切施されていない、いわば生まれたままの自然の姿。

何にも染まらずにありのままの自分でい続けることは、それだけで尊く美しい唯一無二の存在である――ということを、このお花が教えてくれたようでした。
【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.4-グロリオサ・ヴィレッセンス
グロリオサとは、ギリシャ語で「見事な」という意味の「gloriosus」に由来し、元々は熱帯アフリカ地方のような暑くジメっとしたモンスーン気候の地に咲くお花。葉をくるくるとカールさせて周りに巻きつきながら、花を太陽に近づけるように上へ上へと伸びるツル性の植物です。

その中でも、今回「ハレとケ定期便」で編集部に届いた『グロリオサ・ヴィレッセンス』という品種は、一般にお花屋さんで見かけることがほとんど無いという希少価値の高いもの。オランダで10年に1度開催される花のオリンピックと呼ばれる「フロリアード」という園芸博覧会で金賞を獲得するほか、権威のある賞をいくつも受賞している世界的にも認められた「三宅花卉園」さんが栽培されたものです。

華道界で活躍した歴史

【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.4-グロリオサ・ヴィレッセンス
グロリオサが日本に輸入され始めたのが20世紀初頭。しかし、その時に持ち込まれたのは球根の状態でした。それを切り花として紹介したのが、今回ご紹介する「三宅花卉園」の創始者・三宅勇さん。その後、日本でも徐々にその自然の面影残る美しさに魅了される人が増えましたが、元々輸入できる本数も少なかったために、はじめの内は華道界での独占状態が続いたそうです。くねっとした茎の先に顔立ちの良い花を咲かせる姿に、人間の立ち姿を重ねやすかったのかもしれませんね。

まだまだ日本では馴染みがうすく謎めいた部分が多いこの花ですが、今回ご紹介する「三宅花卉園」で作られる花たちは、今や「世界のミヤケ」と呼ばれ、唯一無二の花として多くのファンの心を掴んで離さない存在です。一体、世界が認めるその良質な花づくりには、どんなこだわりがあるのでしょうか。

カジュアルに、暮らしにも取り入れやすい“爽やかなオレンジ色”

左が通常のグロリオサ。右が三宅花卉園の原種グロリオサ「ヴィレッセンス」

左が通常のグロリオサ。右が三宅花卉園の原種グロリオサ「ヴィレッセンス」

【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.4-グロリオサ・ヴィレッセンス
燃えるような赤色と緑色のコントラストが艶やかな通常のグロリオサに比べて、「三宅花卉園」のグロリオサ・ヴィレッセンスは爽やかなオレンジ色。品種改良されていない生まれたままの姿には、洗練され過ぎていない無垢さと、独特の風情すら感じます。小さくて繊細な佇まいで、気取らずに普段の暮らしに取り入れられるそのカジュアルさも魅力です。

人にも地球にも。花にも優しい「有機無農薬栽培」ということ

【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.4-グロリオサ・ヴィレッセンス
【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.4-グロリオサ・ヴィレッセンス
千葉県にある「三宅花卉園」は、花卉業界ではめずらしい有機無農薬での栽培を行なう花農家さんです。「有機無農薬栽培」とは、「有機栽培」と「無農薬栽培」の2つを同時に行なうこと。環境にも、そして花を扱う全ての人に優しい栽培をするために真摯に花栽培と向き合っています。

健全な花は健全な環境づくりから

【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.4-グロリオサ・ヴィレッセンス
自分たちが安心できる環境で良い花づくりをするために必要だったから――それが、有機無農薬栽培を始めたきっかけと話すのは二代目の三宅泰行さん。
花の交配作業には、花にかなりの至近距離まで近づく必要がありその時にハウスの中の花のトンネルを掻き分けながら作業を行なっていると体中が痒くなったご経験があるのだとか。まずは、農薬の使用をやめてみること。そして、そのためには花に害虫のつきにくい有機栽培を始めなければいけない。そんな必要に迫られてはじめた栽培方法が、結果的に世界が認めるほどの高い品質と美しさを兼ね備えた素晴らしい花を作り出すことになったという事実。

健全な花は健全な環境づくりから――慎ましやかに生まれたままの姿で咲き乱れる花たちが教えてくれたシンプルな答え。今もなお、これをモットーに有機無農薬栽培を貫かれています。

『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「グロリオサ」の愛で方

自然のまま、四方八方に伸びる葉や茎。
「グロリオサ」のお家での楽しみ方について、『霽れと褻(はれとけ)』代表・田中さんに教えていただきました。

Q:グロリオサの花同士が絡まりやすいのはどうしてですか?

【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.4-グロリオサ・ヴィレッセンス
グロリオサはツル性の植物のため、周りのものに巻きつきながら成長していきます。切り花になってもその能力は衰えないので、どうしても草花同士が絡まりあってしまいます。一本一本やさしく解いてあげてから、花瓶に活けてあげてください。

Q:なぜ、花粉を落とす作業が必要なんですか?

【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.4-グロリオサ・ヴィレッセンス
グロリオサは、切り花の状態になっても受粉して種を残そうとします。受粉してしまうと、種を作るためにエネルギーを消耗し花の老化が早まってしまうので、早い段階で花粉を取り除き受粉を防ぐ必要があります。花粉をまとう葯(やく)は、ピンセットやティッシュでつまむと簡単に取れますよ。
※葯(やく)… 花粉を入れる袋状のもの

Q:花瓶に活けるときのコツはありますか?

【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.4-グロリオサ・ヴィレッセンス
自然のままの魅力を引き出しながらバランスを見て美しく活けてあげましょう。ざっくりと活けるだけで雰囲気が出ますが、最後に花瓶を置いて少し離れた場所から全体のバランスを見て、花の向きを変えたり、長さを調整すると◎です。

Q:花を長く楽しむためのポイントは?

【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.4-グロリオサ・ヴィレッセンス
新しく花が咲いたら、早い段階で花粉をもつ葯(やく)を取り除きましょう。そうすることで受粉を防ぐことができます。花は種を作る準備を止め、次の花を咲かせる体力を温存することができるのです。あと、こまめな水替えも忘れずに。

「美こそが全て。」神様が育種した花

【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.4-グロリオサ・ヴィレッセンス
「三宅花卉園」の創始者である初代は、自然のまま人の手が入っていない原種の花のことを「神様が育種した花」と呼び、日本の美意識にも通づるようなその自然の美を、栽培する花の理想としています。彼は、周りからも「美的育種家」と呼ばれ「美こそが全ての基準だ」とよく言っているのだとか。
【連載】『霽れと褻』代表・田中さんに教わる「花ごよみ」vol.4-グロリオサ・ヴィレッセンス
「もっと大きく、華やかに」と。
生まれた時には、誰しもが自然のままの姿であったにも関わらず、いつしか社会に適応するように華美な鎧を付けることを覚えてしまった私たち。
でも、この花はいつまでも生まれたままの姿で、それでも凛とした表情で私たちに語りかけます。「美しい」とは、一体どういうことなのかと。

今回ご紹介したお花のストーリーを少しでも多くの方が知り、私たちが生きるこの地球のことにまで思いを馳せることができたなら。そんな素敵なことはありません。

来月のお花は、「ベラドンナリリー」

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次回も、今回と同じく三宅花卉園から「ベラドンナリリー」をご紹介します。「本来のアマリリス」という意味で、「ホンアマリリス」と呼ばれる花だとか。三宅さんもお気に入りの花ということなので、一層期待も高まりますね。

\ 今月の「#霽れと褻」発表! /

こちらのコーナーでは、毎月インスタグラム内のハッシュタグ「#霽れと褻」の中から素敵な一枚をピックアップ!
ハッシュタグを付けて投稿してくださった方の中から、こちらのコーナーに採用された方には、キナリノモールでも販売中の『霽れと褻ギフトチケット一ヶ月分』をプレゼントします♪
※対象画像は「ハレとケ定期便」で届いたお花や新聞、「霽れと褻DAY」で購入したお花、当日の店頭ディスプレイ写真となります。

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𓅪 朝ごはんとお弁当の支度の前に
花たちの水換え。
向日葵 は 先日 届きました

向日葵にたくさん種類があるなんてはじめて知った
小ぶりで繊細な向日葵たちです
霽れと褻 のお花には新聞がついてきて
飾る時の下準備の方法、届いた花をドライにする方法、ヒマワリについてのこと 生産者のこと 、パナッシェという品種がゴッホのヒマワリと言われていること、、
読んでいて記事のすべてに細胞からわくわくする◎
生産者が愛でて大切にそだてたお花を飾る者までが大切にできるように、お花の一生を愛せるように工夫がされています 𓇢

霽れと褻はただ花を部屋に飾るたのしみ だけじゃなくて 花を愛するたのしみや方法を 日常に添えてくれてるんだと思う 𓇬𓂩
出典:Instagram
Instagram@4no_・Instagram
9月の始まりに、ヒマワリで始まる花のある暮らし。@4no_さんの素敵な暮らしが覗けるようなコメントも一緒に掲載してみました。細胞からワクワクするように花を愛することを教えてくれる定期便のある暮らし、あなたも始めてみませんか?
#霽れと褻
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霽れと褻(ハレとケ)

中目黒と蔵前に店舗を持つex. flower shopが新しく立ち上げたブランド。
毎月、旬のお花が届く「ハレとケ定期便」や大切な方へお花を贈るサービス「ギフトチケット」、SUEKI CERAMICSとのオリジナルの花瓶を販売する。

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霽れと褻|毎月届く、花のある暮らし。季節の花と、花屋が編集する新聞の定期便。
霽れと褻(ハレとケ)は、暮らしを豊かにるす四季折々の花と、その花に関する新聞を毎月セットで届けします。花に触れ、花を知ることを通して、四季の移ろいを感じさせてくれる、花のある暮らしをお楽しみください。

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