初めて出会ったのは、たまに行く洋服屋さんで、とても素敵な竹のおたまと、お箸と、菜箸。一目惚れし、まとめ買いしました。そのお店のオリジナルかと思っていたのですが、後に、また別の雑貨屋さんでスプーンや子ども用のカトラリーなども発見し、とても嬉しくなり、聞くと高知県の竹細工の作家さん、下本一歩（しももと かずほ）さんの作品ということで、普段は作家さんの名前はあまり覚えられないのに、この方だけはしっかりと記憶しました。子ども用に小さなスプーンとフォークも買い足し、アーガイル柄のような彫刻仕上げのスプーンも自分用に買い足しました。大切にしすぎて全然使えていないのですが、台所で目にするたび、なんて可愛いんだ、、とうっとりとしあわせな気持ちになります。

物事を、自分なりに根本から考え直していくことが好きで、物思いに耽ることが多いのですが、いつもだんだんとプリミティブなところにゆきつきます。そんな自分の思考にとてもフィットするのがムツゴロウさんこと畑正憲さんの言葉たち。世間では動物好きのおじさんというイメージが強いのかもしれませんが、動物たちと深く関わるムツさんだからこそ説得力のある、生命の本質を捉えた目線から繰り出される言葉たちが自分に突き刺さって、もう一生抜けそうにありません。ものすごく面白いです。今までこんなに人におすすめしてきた本はありません。

お風呂アイスは至福です。とってもお行儀が悪いのですが、お風呂で何かを食べるのが結構好きです。というのも、あまりにも忙しくて、とてもお腹がすいているけど、体が冷えすぎて寒いから温まりたい、でも早く寝ないと、、という、時間がなさすぎて食事をお風呂に浸かりながらしたときに、ちょっと味をしめてしまったのです。でも食事はさすがにお行儀が悪すぎるので、アイスならまぁいいか、というわけで、アイスはお風呂で。内臓を冷やしている罪悪感も減るし、何より体は熱いのに体内にひんやりとしたものが送り込まれる快感はたまりません。
口の周りをベタベタにして食べても溶けるのを気にして急いで食べなくても、だらだら垂れてもすぐ洗い流せるし大丈夫というのも素晴らしい。なんならちょっと溶け落ちて首をつたうくらいでもいい。背徳感も相まって、最高に癒されるお風呂タイムになります。

いくらハイテクスニーカーが流行ろうとも、絶対にローテクなスニーカーを履きます。とくに、ボリュームのない細めのスニーカーが好きです。なぜかは自分でもよくわかりませんが、デッキシューズや体育館シューズや上履きのような、頼りない靴が好きなんです。足が短く見えようが、バランスが悪く見えようが、とにかく足元はボリューム少なめが好きです。なんででしょうね。コッペパンみたいで可愛い、と思っちゃいます。

明治神宮の中の林の道を歩いて行くと、開けた芝生の広場があります。あまり多くの人には知られていないのか、参拝者で賑わう明治神宮の社殿前とは打って変わり、渋谷と新宿のど真ん中にあるとは思えない、静かな時間が広がっています。昼寝をしている人が多く、私もそこに寝転がって太陽を浴びるのがとても好きです。深呼吸しながら森林浴できるそこへの道すがらも大好きです。

イラストレーター／漫画家
1978年生まれ。
著書に『ものするひと』（KADOKAWA）、『いのまま』（芳文社）、『おあとがよろしいようで』（文藝春秋）など。

オカヤさんの近況：「カドブンノベル」(KADOKAWA)にて漫画『いいとしを』、女性セブンにて漫画『白木蓮はきれいに散らない』連載中です。小説を執筆した『kaze no tanbun 特別ではない一日』（柏書房）も発売中。