ふたりのマイルール
【新連載】ふたりのマイルール 
vol.1 -夫婦も人生も。
すべては「なりゆきまかせのカバー画像

【新連載】ふたりのマイルール
vol.1 -夫婦も人生も。
すべては「なりゆきまかせ」

写真:yansuKIM 取材・文:西岡真実

“ルール”と聞くと少し堅苦しさを感じますが、夫婦や仕事のパートナーなどごまかしのきかない距離感では、なにかしら決め事があったほうがスムーズにいくような気もします。なら「素敵な関係のためのルール」って?毎回さまざまな「ふたり」に登場してもらい、心地よい関係を保つための秘訣を聞いていくこの連載。今回は結婚13年、お互いカメラマンであり、一緒にブランド『nadowa』を営む、ゆうすけさんとりかさんです。公私ともに支え合うパートナーであるお二人の「マイルール」を伺いました。

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2019年06月07日作成
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すべては「なりゆきまかせ」
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すべては「なりゆきまかせ」
仕事とプライベートを長年ともにし、すっかりお互い馴染んでいる様子のゆうすけさんとりかさんは、まさに「おしどり夫婦」。なのにいざお二人のことを伺うと、その口から繰り出されるのは意外なくらい面白いお話ばかりです。

お二人の出逢いは、トイカメラ「LOMO(ロモ)」のイベント。当時、金髪ロン毛にヒゲをたくわえていた強面のゆうすけさんをみて『友達になりたくないタイプ』と、ひと言も言葉を交わさなかったりかさん。

それが6年後の再会から一気に距離が縮まり、わずか半年でまさかのプロポーズ!結婚後7年目にして友人たちが開催してくれた結婚式は、フェスのような賑やかさで面識のない人まで参加してくれたとか。

その他にも、海外での仕事ついでに決行したドタバタ新婚旅行などなど……とにかく話題に事欠かないお二人。多くの友人に囲まれ、笑いがたえないのもうなずけます。
結婚式のイラストを描いてくれたのは、友人である「.fuller」のファッションデザイナー・玉村塔さん。衣装も彼が二人のためにデザインしたもの

結婚式のイラストを描いてくれたのは、友人である「.fuller」のファッションデザイナー・玉村塔さん。衣装も彼が二人のためにデザインしたもの

おっとりしたお二人からは想像もつかないけれど「お互いわがままだからぶつかるし、若い頃はケンカもよくした」といいます。でもよくよくお話を伺っていると、人生を楽しむポイントが似通っている様子。

飾らない自然体な雰囲気で友人が多く、楽しく飲んで食べるのが大好き。
カメラマンになったのも結婚したのも、はたまたカメラバッグのブランド『nadowa(ナドワ)』をはじめたきっかけも……「なりゆき」や「偶然」という言葉が飛び出し、お互いそれにうなずいてみせるお二人はやはり、まぎれもなく素敵な『夫婦』なのです。
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Rule1:うそをつかない

さて、夫婦でのルールについて伺うと「うーん」と首をかしげるお二人。結婚13年、すっかりお互いの空気が馴染んでいるゆうすけさんとりかさんにとっては、改めて聞かれても……といった質問のようです。

しばらく考えて口にした1つ目のルールは「うそをつかないこと、かな? といっても、隠し事ができないくらい一緒にいる時間が多いんですけど(笑)」。
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お二人が勤務するのは、ご自宅から徒歩2分ほどのスタジオ兼事務所。ここで仕事をする以外に、撮影で現場に向かうときには、お互いがアシスタントとして同行することも。

仕事も家もずっと一緒なこと、お互いどう感じているのでしょう。ケンカになることはないのですか?

記憶と経験は、ふたりの共有財産

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りかさん:同じ仕事なので「おまえ、おれより写真うまいと思ってんのか」なんていわれたりすると、「当たり前じゃない」って(笑)。

ゆうすけさん:いまだにイラッとすることはあるけど、だいぶ慣れちゃったね。年齢的にも落ち着いてきて、ケンカは少なくなったかな。
逆に、なんでもいえる関係で仕事するメリットは、2人の間で基本的な品質が確保できること。手を抜く場所がお互い違うので、気がついたら指摘し合います。「え、これでいいの!?」って。

りかさん:撮影中でもハッキリものをいうから、周りの方から「けんかはしないで」ってびっくりされちゃうんだけど(笑)。

ゆうすけさん:でもそれは、「夫婦にとって」というよりも、夫婦で仕事するうえでのメリットかもね。

りかさん:夫婦としていいこと……は、公私ともに一緒だから「記憶が共有できる」こと?

ゆうすけさん:でもさ。普通の夫婦は記憶と経験が違うからこそお互い補い合えるんだと思うと、共有してるのはデメリットになる気もするけど……どっちだろう?(笑)。
突然の来客に驚いて隠れてしまった愛猫2匹。クローゼットに身を隠しながらもチラリと様子をうかがっているのは、好奇心旺盛なイリー

突然の来客に驚いて隠れてしまった愛猫2匹。クローゼットに身を隠しながらもチラリと様子をうかがっているのは、好奇心旺盛なイリー

Rule2:家出をしない

もともと結婚願望がなかったりかさんは「一生独身でいよう」と、20代にしてマンションを購入していました。それが、ゆうすけさんと再会してから半年、プロポーズをうけて予定外の結婚!

さて、どんなに気が合う相手でも、いざ一緒に暮らしてみると価値観や生活習慣の違いで衝突することも少なくありません。そんなときに「ルール」が有効なこともありますが……その時期のお二人のルールは?
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りかさん:うーん……なんだろう。あ、「家出をしないこと」!?

ゆうすけさん:あ、そう!そうだったね!

りかさん:何回も家出をしてしまって。というのも、1人になれないのがストレスだったんです。独身で広々したマンション暮らしだったのが2人になり、さらに彼の友達がよく遊びに来るようになって。入れ代わり立ち代わり、みんな1週間くらいいるんですよ。「帰らないな、あの人」みたいな……。

ゆうすけさん:「男塾」みたいになってたね(笑)。仕事から帰ってきたら友達がパンツ一丁でゲームしてて、寝て起きたらまだ同じ格好でゲームやってて……こいつ、いつ帰るんだろう?って。

りかさん:みんなのお母さんみたいに食パンにバターぬってあげたりしてね(笑)。
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Rule3:「ルールがない」のがルール?

どんなに気が合う相手でも、結婚していざ生活をともにしてみたら、価値観や生活習慣の違いがみえてくることもあります。ですがお二人の場合は、「家事やお金でも特にもめた経験がないので、夫婦での決め事はないんです」という羨ましいご回答。

「しいていうなら、“ルールがないことがルール”かな?」

家事分担は?と伺うと「男が多めにやるのがいいんじゃないですか」と、ゆうすけさん。
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りかさん:実は私、昨年に身体を壊して2回も入院したんです。そのときは、ゆうすけさんが家事をできるのでとても助かりました。
もともと子宮筋腫で手術の予定だったのが、その直前に転倒して手首を骨折してしまって。なんと、1ヶ月の間に2回も手術したんです。

ゆうすけさん:退院後はもう右手は使えないしお腹に力は入らないしで、なにもできない状態だったから。あさ顔洗うところからはじまって、色々と身の回りの世話もしたよね。

りかさん:1人だったらどうしてたんでしょうね。でも入院中に病室で「退院したら大きな案件が待ってるから」って仕事の話をされたとき、それはそれで不安になりましたけど(笑)。
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妻と夫。お互いからみた「ふたりの歴史」

最後に、13年の夫婦生活のなかでお互い印象的だったエピソードを伺ってみました。夫婦の歴史をたどると、思い出を共有していても、感じること思うことはそれぞれ違うようです。
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りかさん ― “他人の距離感”に助けられることも

結婚してすぐの頃、生後5ヶ月の姪っ子が亡くなってしまったんです。子どもを亡くした妹が嫁ぎ先でどんな気持ちでいるか考えたら……もう動揺してしまって。親戚にも私から伝えなきゃだし、すぐに実家に向かわなきゃだし、どうしようって。

なのに、おたおたしている私に「おれ、寝るね」って言い残して、ゆうすけさんは寝室にいっちゃった。

「え!?」って思ったけど、起きたらすぐ実家に向かうために夜通し運転してくれて。とっさに運転要員だと悟って準備してくれていたんですね。そのときは、動転してしまった私の横に「他人」という距離感の人がいてくれて、心底ありがたいと思いました。


今、父親の介護をしているんですけど、それも実の親子だと距離が近すぎてケンカになってしまうところを、間にゆうすけさんがいることで緩和されるというか。ほどよい距離感が助かってます。
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ゆうすけさん ―13年一緒にいても「毎日が驚き」

結婚13年でも日々、相手の言動に驚きですよ(笑)。やっぱりお互いの感覚は、もともとまったく違うものなので。

前に、撮影後あまりに疲れて車で仮眠とってたら、おまわりさんに職務質問されたことがあって。(りかさん曰く、「職質されすぎ(笑)」)

終わり際に「なにか変なもの持ってないよね?」って聞かれたとき、りかさんが急に怒りだしたんです……おまわりさんに向かって「失礼じゃないですか!」って。

職質はそんなものだと思ってたけど、「あぁ、そういう感覚のほうが正しいのかもな」と新鮮でした。いまだに「この人はこう感じるんだな」と驚きや発見がありますね。
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ふたりの関係も人生も、「なりゆきまかせ」が心地よい

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旅行が好きなお二人は、海外にいくときでもあまり予定を決めないといいます。興味のおもむくまま、気まぐれで変更もあり。「予定を決めてもその通りにはいかないものだし、それもよし」なのだそう。

「スイスでの仕事ついでに」と至急(1日で!)計画した新婚旅行でのトラブルだって、2人の手にかかればユニークな思い出話に変わってしまいます。


旅行の楽しみ方ひとつとっても、「ルールがないのがルール」という夫婦の関係に通ずる気がします。
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カメラバッグを作ることになったのも、実は巡り合わせ。
雑誌の編集さんと「かわいいカメラバッグがない」という話になり、「それなら自分たちで作っちゃおう」というのがスタートだったといいます。

その後、遠く離れた香港に暮らす叔父が、世界トップシェアを誇るカメラバッグ工場を営んでいることが判明。トントン拍子に話が進んだのだとか!それから試行錯誤や苦労はあったものの、そんな「たまたま」や「偶然」が重なり今の『nadowa』があります。
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夫婦で歩む旅路は長いから、2人の関係も人生も、肩のチカラを抜いてなりゆきまかせ。

――その時々を自由な気持ちで楽しんでいれば、やがて「なりゆき」が“すてきな偶然”を連れてきてくれるのかもしれない。

ルールがいらないお二人をみて、そんな風に思いました。
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nadowa(ナドワ)
カメラマンである2人が作った「自分たちがほしいと思っていたカメラバッグ」。利便性とデザインを兼ね備え、洗濯も可能なことから、カメラ用だけでなくママバッグや通常のバッグとしても使い勝手がよいと評判です。ラインナップや全国の取扱店リストなどが掲載されています。

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