どんな汚れに、どんな洗剤を使えばいいのか、よく分かっていない人も多いものです。大掃除はまず洗剤を理解することから♪4つのナチュラル素材の洗剤をどのように使い分ければいいのか、一緒に見ていきましょう。
《ナチュラルクリーニング》って？
環境への負担が少ないナチュラルな素材を使ったお掃除が、ナチュラルクリーニング。微生物などの働きによって、下水に流しても成分を分解してくれるため、地球にやさしいお掃除と言われています。自然由来の素材なので、ペットや小さなお子様がいるご家庭でも悪影響が少なく安心。
お掃除する場所によって洗剤の種類を変えていくと、膨大な量の洗剤を管理することになってしまいますが、ナチュラルなお掃除で基本的に使用するのは後述する「重曹」「セスキ炭酸ソーダ」「過炭酸ナトリウム」「クエン酸」という4つだけ。これなら管理するのも簡単ですね。
ナチュラルなお掃除で使うのは、基本の4つの洗剤と雑巾やスポンジといったベーシックなアイテムだけ。強力な合成洗剤では手袋やマスク、ゴーグルなど自分の体を保護するものも必要になることもありますが、ナチュラルお掃除ならシンプルにお掃除をしていくことができます。
ナチュラルお掃除に不可欠な4つの洗剤
「重曹」、「セスキ炭酸ソーダ」、「過炭酸ナトリウム」がアルカリ性の洗剤で、「クエン酸」が酸性の洗剤となります。汚れも大まかに酸性、中性、アルカリ性と分けることができます。例えば、油汚れや血液、食べこぼしなどは酸性の汚れ、石鹸かすや水あかなどはアルカリ性の汚れです。酸性の汚れにはアルカリ性の洗剤、アルカリ性の汚れには酸性の洗剤を用いて中和すると覚えておきましょう。
重曹
ナチュラルなお掃除といえば、まず思い浮かぶのがこちらの重曹です。重曹は、食用にも使われるほど安全性が高く、小さい子どものいるご家庭などでも安心して使うことができます。研磨作用を生かして、お鍋を磨いたり、茶渋を取ったりするのにおすすめです。消臭効果も高いので、臭い消しとしても使えます。
セスキ炭酸ソーダ
重曹と炭酸ナトリウムの成分がおおよそ半々で混ざっているのがセスキ炭酸ソーダです。重曹よりもアルカリ性が強く、油汚れを落とすパワーを持っています。汗や血液などのタンパク汚れにも強いので、お洗濯にもおすすめです。
過炭酸ナトリウム
炭酸ソーダと過酸化水素が混ざった粉で、水と反応すると炭酸ソーダになるのが、過炭酸ナトリウムです。アルカリの洗浄力が強く、40度以上のお湯で溶かすと色素を分解することができるようになります。食器や衣類などの漂白や、カビなどの除菌にも使うことができます。
クエン酸
粉で保存できる酸性の洗剤として抜群の使い心地を誇るクエン酸。水あかや石鹸かすといったアルカリ性の汚れを落とすのが得意です。水回りのカルシウム分などが固まった白い汚れなどに効果があります。
①様々な汚れに悩みがちな《キッチン》
ふきんを煮沸（重曹）
キッチンのお片付けが終わったら、大きなお鍋にお湯と重曹を入れて、ふきんの煮沸を行いましょう。10分ほど沸騰させることで、さっぱりとした洗いあがりになります。
ぐつぐつ煮立っているお鍋の中にしっかりとふきんが入るように、トングでたまにかき混ぜるといいでしょう。煮沸し終わったら、水ですすいで、干せば完了です。
食器のくすみを撃退（過炭酸ナトリウム）
細かなガラスの模様が入ったグラスなどは、気を付けていてもだんだんとくすんできてしまいますよね。過炭酸ナトリウムを溶かしたお湯につけ置きしてから水ですすげば、すっきりとくすみが取れます。
お鍋の錆び落とし（重曹）
お鍋やフライパンが錆びてしまったら、重曹で磨くとあっという間にきれいになります。重曹の入ったお湯につけておいても効果があります。
染みついてしまった茶渋取り（過炭酸ナトリウム）
白いカップの内側にうっすらと残る茶渋は、過炭酸ナトリウムを洗剤代わりにして洗ってあげるときれいになります。
ステンレス水筒のお手入れ（重曹）
お手入れしづらいステンレス水筒の中も重曹できれいに洗いあげることができます。まずは、柄つきスポンジなどで中を食器用洗剤で洗います。
その後、重曹を小さじ2杯ほど入れてからお湯をボトルの半分ほどまで入れます。
お湯を入れたら蓋をして、ボトルをよく振ります。その後、中を水ですすいで完了です。
IHコンロのすきま掃除（セスキ炭酸ソーダ）
セスキ炭酸ソーダを水に溶かしたものはシュッとスプレーして少し時間を置くだけで、汚れを浮かせることができます。汚れやすいIHコンロのすきまにシュッとひと吹きしたら、歯ブラシで汚れを磨きましょう。
頑固なすきま汚れに（重曹＋食器用洗剤）
落ちにくいキッチン汚れには、重曹と食器用洗剤を混ぜたペーストが威力を発揮します。
小さなうつわに重曹と洗剤を同量程度で混ぜ合わせます。
歯ブラシなどにつけて、キッチンの水栓を磨けばピカピカになります。
排水口をすっきりと（セスキ炭酸ソーダ）
食器を洗い終わったら、排水口もお掃除してあげましょう。セスキ炭酸ソーダをかけて洗うと、生ごみや油汚れなどのぬめる汚れにも効果があります。
シンクの水あか予防（クエン酸）
水道水に含まれるカルシウム分が白く残ってしまうのを予防するために、クエン酸を水に溶かしたものをスプレーして、軽くこすってから流しておけば安心です。
コンロ周りのお手入れ（セスキ炭酸ソーダ）
コンロの周りのお掃除も日常のお掃除に組み込んでしまえば、大掃除の必要がなくなります。コンロ台はセスキ水のスプレーで拭き取りましょう。ひどい汚れがついた五徳は洗い桶などにセスキ水を張って、漬け込んでおくとすっきりします。
先回りして魚焼きグリルをきれいに（重曹）
魚焼きグリルは魚を焼く前に、受け皿の部分に重曹を敷き詰めておくと重曹が魚の油を吸収してくれるため、お手入れが簡単になります。使い終わったら、水を加えて、網や受け皿を洗いましょう。
電子レンジは気づいたら拭き上げて（セスキ炭酸ソーダ）
加熱するときに飛んでしまう汚れには、セスキ水をスプレーしてささっとお掃除していきましょう。加熱した後の余熱を使うと汚れがゆるみ、落ちやすくなります。
②人の集まる《リビング》は、香りもキレイに
すっきり気持ちいい床掃除に（重曹）
カーペットをお掃除する際にまく重曹にハッカ油をほんの少し垂らしておくといい香りがお部屋に漂います。
ハッカ油のいい香りは、カーペットだけではなく、重曹を吸った掃除機の排気口からも。気分まですっきりできそうです。
気になる臭い消し（重曹）
小さなボトルに重曹を入れて、お部屋に置いておけば消臭効果が期待できます。小さな袋に小分けして、靴の中に入れておくのもいいですね。
③《洗濯機周り》でも大活躍
洗濯機のお手入れに（過炭酸ナトリウム）
過炭酸ナトリウムをお湯と一緒に入れて、3、4分洗濯機を動かし、あとは6時間程度放置し、すすげば黒カビを撃退することができます。過炭酸ナトリウムは40度以上のお湯で漂白効果が高まるので、洗濯機の耐熱温度に注意してお湯を使用するようにしましょう。
ひどい汚れの予洗いに（過炭酸ナトリウム）
衣類やスニーカーなど布製の靴は、過炭酸ナトリウムを使ってつけおきをすることで、漂白作用が期待できます。こちらも40度前後のお湯を使うとよいでしょう。
④こまめに掃除したい《お風呂場とトイレ》
ピカピカにしたいカランに（クエン酸）
シャワーの水栓は水あかでくもりがちになるところです。ここがピカピカだとお風呂場がきれいだという印象を作ることができるので、ぜひお掃除を習慣にしてみてください。クエン酸スプレーで磨いたら、シャワーで流しておきましょう。
排水口と排水パイプ（重曹、セスキ炭酸ソーダ、過炭酸ナトリウム）
排水口についた汚れは基本的には、重曹で洗います。受け皿はセスキ水につけておくと、皮脂汚れを浮かすことができるので、軽く洗うだけでもきれいになります。また、排水パイプには過炭酸ナトリウムを大さじ2杯程度ふりかけ、40度前後のお湯を入れて発泡させ時間をおいてから流すとすっきりします。
曇りやすい鏡に（クエン酸、重曹）
クエン酸水をスプレーして拭き取り、仕上げに水拭きをすることで、日常的な汚れはケアできます。重曹の研磨作用を使って、こすり洗いすることもできます。重曹を使うときも、すすいだあとにクエン酸水をスプレーして水拭きしておくと、汚れにくくなります。
トイレのお手入れはしっかりと（セスキ炭酸ソーダ、重曹、クエン酸）
便器の内側の汚れには、粉の重曹をふりかけるか、セスキ水をスプレーしてしっかりとこすり洗いをしましょう。黄ばんでしまったところには、クエン酸を使って1時間ほどパックをしましょう。汚れをとったら水拭きをして仕上げます。
ペーパーホルダーにはセスキ水をスプレーしてから、水拭きをするときれいになります。
保管は使いやすい状態で
重曹やクエン酸などをパッケージで購入するとたいていは、大きな袋に入った状態でおうちにやってきます。そのままでは使いづらいので、小分けにしてボトルなどに保管しておくと良いでしょう。
お揃いの瓶などに小分けにして、まとめて置いておくと、見栄えのいい収納になりますね。
水を足して液状にして、スプレーボトルに入れておくと、気づいたときにささっと使うことができます。特にセスキ炭酸ソーダは水に溶けやすいという性質があるので、セスキ水を作っておくと便利です。
4つのナチュラル洗剤は、パッケージから出してしまうとどれがどれか、わからなくなってしまうことも。使い方を間違えないためにも、ラベルやタグなどで区別できるようにしておくことが大切です。
お手製のラベルで、お揃いのものを作ってみるのも素敵ですね。ラベリングするとわかりやすくなる上、自作ラベルならおうちの雰囲気を考慮して作っていくことができます。
お洒落な保管方法を見せてもらいましょう♪
瓶に入れて
重曹は英語で言うとベーキングソーダです。お菓子作りに使うベーキングパウダーは重曹をベースにしていますが、ほかの素材が混ざっているため、お掃除には使いません。うつわの中に入れられたシルバーのスコップがとてもよく似合っていますね。
お揃いの瓶に入れて、三つ並べたらまるでお店屋さんのディスプレイのようになりました。手書きのラベルが素朴でキュートですね。
OXOのポップアップコンテナを使った美しい収納です。お洒落な雰囲気を壊さずに、トップに小さく種類が書かれているところが素晴らしいです。
プラスチックボトルで
無印の入浴剤用詰替え容器も洗剤を入れるのに、人気の高いパッケージです。さらさらと取り出しやすく、見た目もシンプルでお洒落なので評価が高いんですね。
引き出しにぴったり合うように入れて、同じ場所に名前を入れておくと一目で分かります。洗剤を間違えないようにするために、戻す場所はいつも同じところにするよう、気を付けましょう。
こちらも同じ無印の入浴剤用詰め替え容器を使っていますが、正面にそれぞれの洗剤のイメージカラーを貼り付けて区別しているそうです。面白いアイデアですね。
スプレーで保管
セスキ炭酸ソーダやクエン酸は水に溶かしてスプレーを作っておくと、使いたいときにさっと使うことができて重宝します。
かごにスプレーボトルをまとめて入れておけば、お部屋間を移動していくのも便利。分かりやすいように、トップにラベリングしています。
こちらも持ち手つきのケースにスプレーボトルを集めて保管しています。水や消毒用スプレーも一緒に入れておくことで、いろいろなケースに対応できるようにしています。
こちらは、セスキ水と除菌剤はスプレーボトルに保管し、重曹とクエン酸は粉のまま保管しているというお掃除セットです。シンプルな容器に一文字だけアルファベットが入っているのもお洒落です。
先ほどのカラーリングで洗剤の種類を区別している方は、スプレーボトルにも対応する色を貼り付けています。カラフルで可愛らしい仕上がりです。
ナチュラルな洗剤を使って、地球にやさしい大掃除を
ナチュラルな洗剤を使ってお掃除するときは、洗剤と汚れの性質をしっかりと認識して、もっとも適している洗剤をチョイスすることが大切です。でも、難しく考えなくても大丈夫。大きく酸性とアルカリ性だけ分かっていれば、汚れに合わせてチョイスするのもだんだんと上手になっていきますよ♪今年の大掃除は、ぜひナチュラル素材の洗剤を使って、地球にやさしいお掃除をしてみてくださいね。
重曹をはじめとするナチュラル素材の洗剤を使う人が多くなってきました。でも、年末が近づいてくると、気合をいれてあれもこれもと違った掃除用具を揃えては、結局余らせてしまったり…なんてこと、ありがちですよね。実は、いつも使っているナチュラル洗剤を上手に使いこなせば、家中の汚れをスッキリ落とすことができるんですよ。