キナリノ駆け込み寺 お悩みNo.3
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なんとなく我慢している生理痛やPMS。自分の身体について考えてみよう【前編】

文:キナリノ編集部

皆さんの日頃抱えているお悩みをキナリノ的に解決する「キナリノ駆け込み寺」。毎回その道に詳しい方に解決法を伺います。日々の暮らしのヒントにしてください。

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2022年04月06日作成
読者の皆さんの日々のお悩みをキナリノ的に解決し、毎日を少しでも健やかに過ごしていただく企画「キナリノ駆け込み寺」。第三回目のお悩みはこちらです。

【お悩みNO.3】生理期間を快適に過ごしたい

なんとなく我慢している生理痛やPMS。自分の身体について考えてみよう【前編】
毎月やってくる生理に伴う痛みやPMS(月経前症候群)。
心身ともにつらくて、仕事や家事、育児が思うように進まない…なんて方も多いかもしれません。人それぞれ違う痛みや不調だからと、何となく我慢してしまっていませんか?
今回、女性の身体について調べている一般社団法人ラブテリ代表理事の細川モモさんに、生理にまつわる疑問や快適に過ごす方法を伺いました。

教えてくれた人

細川モモ
予防医療・栄養コンサルタント
細川モモ
一般社団法人ラブテリ代表理事。2014年に三菱地所と働く女性のための「まるのうち保健室」を立ち上げ、「働き女子1,000名白書」を発表。以後、女性のヘルスリテラシー向上と大規模調査を行っている。著書に「生理で知っておくべきこと(日経BP)」。また、生理痛やPMSの悩みを24タイプ別の体調改善アドバイスでサポートする生理管理アプリ『ソフィ 生理日管理&生理不調ケア』の協力等も行う。
App StoreGoogle Play ※対応OS:iOS13.0/Android6.0以上

目次

もしかすると、生理異常かも?

なんとなく我慢している生理痛やPMS。自分の身体について考えてみよう【前編】
自分の生理の状態が正常か異常か、改めて考えることはありますか?もしかすると、しんどいのが「普通」になっている方もいるかもしれません。
実は、現代の日本女性の生理にはデータがほとんどなく、クリアになっていないことが多いそうです。病院でも、生理痛やPMSなど生理の原因はまだ解明されていないことも多く、漢方やピル、痛み止めなどを出すところがほとんど。
細川さんは、これまで6年ほどかけて約2万人以上の女性に生理に関する調査を行い、そのデータに基づいて、生理に関することを研究しています。前編では、自分の生理が正常かどうか判断する基準や、生理痛・PMSの原因についてお話します。

正常かどうか判断する基準は2つ

皆さんは、自分の生理が正常かどうか改めて考えることはありますか?「正常な生理」の定義は決まっているそうです。
・出血日数  : 3日以上7日以内
・生理周期*  : 25日以上38日以内
* 生理が始まった日から次に始まる前日までの日数
「この2つに当てはまらない生理が2~3ヵ月続くようであれば『月経異常』を疑い、一度病院に行くことをおすすめします。私たちの調査によると、正常な出血量の方は約96%。一方で、周期異常や無月経を経験している方は5人に1人いる結果となりました。日本女性には周期の異常を感じる方が多いようです」

生理は年齢により変化する

年齢を重ねるにつれて出血量が減ってきたり、周期が短くなってきたりしている、と感じる方もいるのではないでしょうか。歳をとって生理が変化するのは自然なことだそうです。

「生理周期でいうと、25歳が最も長く、45歳にかけて3日短くなる傾向にあることが分かっています。早い人は30代前半から、多くの人は30代半ばから周期の間隔が徐々に短くなり、閉経に向かいます。また、経血量は年齢に伴い減っていく傾向にありました*。35歳すぎからナプキンの使用回数が減ったり、タンポンが要らなくなったりすることは多くの女性が経験することのようです。一方で、加齢に伴い出血量が増えている方は、子宮内膜症などの恐れがあるので一度病院に行くことをおすすめします」
* ソフィアプリ調べ(株式会社ユニ・チャーム)

生理痛・PMSはなぜ起こるの?

日本女性のうち、生理痛は約7割、PMSは約9割の方に自覚症状があるそうです。そもそも、この2つはどのような仕組みで起こるのでしょうか。

生理痛は子宮の収縮が原因

なんとなく我慢している生理痛やPMS。自分の身体について考えてみよう【前編】
女性の身体は毎月妊娠のために排卵し、同時に受精したときのために場所を用意します。それが子宮内膜です。受精しなかった場合、使われなかった子宮内膜が排出されて「生理の血」になります。これがそのまま子宮の下についている子宮頸管(しきゅうけいかん)に押し出されます。管は細く、多くの経血を押し出すために子宮を強く収縮しなければなりません。この時の痛みが、生理痛の要因のひとつだそうです。また、押し出す指令をする「プロスタグランジン」という痛みの物質が多いほど、痛みが増すのだとか。

「10代は子宮がしっかり育っていないので、出口が狭く、痛みが生じやすいと考えられています。生理周期が安定せず、20代になると子宮の成熟とともに安定しますが、10代~20代は経血量が多く生理痛が重たいと答えている割合が、その他の年代より多いです(「ソフィアプリ調べ(株式会社ユニ・チャーム)」)。出産経験の有無や子宮の位置、遺伝によって人それぞれですが、統計的には加齢とともに、生理痛は緩和されていくことが私たちの調査では示唆されています。加齢とともに、生理痛が増していると感じる方は、婦人科の病気が隠れている可能性があるので注意が必要です」

PMS(月経前症候群)はホルモンのせい

なんとなく我慢している生理痛やPMS。自分の身体について考えてみよう【前編】
生理痛は加齢とともに軽減されることが調査によって示されていますが、PMSについてはそうではなさそうです。

「PMSの症状、冷えや頭痛、精神的な落ち込み、睡眠の変化、イライラは、『女性ホルモン』と『セロトニン』が影響しています。セロトニンは鎮痛効果やメンタルを安定する脳内物質で、精神安定剤と似た構造をしているので、別名『ハッピー・ホルモン』とも呼ばれています。生理前は、妊娠にも重要な役割を果たしており、“女性らしさ”をつくるホルモンでもある『エストロゲン』が低下することで、このセロトニンが減ってしまいます」

さらに、女性は女性ホルモンにより体内時計が影響を受け、排卵前に早寝になり、排卵後に遅寝になる睡眠障害をともなうケースが日本女性で紹介されています。

セロトニンは午前中の日の光を浴びることで分泌されるため、日照時間が短くなる冬に最も低下します。冬は落ち込みやすかったり、塞ぎがちになったりするだけでなく、満腹感を感じにくくなり、過食や過眠になったりすることがあります。こうした冬季鬱の現象が、女性は毎月生理前に起きてしまいます。

「生理前の不調は、ストレスや生活習慣、環境により人それぞれです。自身のせいではなく、『ホルモンの大暴走』ととらえましょう。ただ、食生活や生活の見直しにより改善できるケースもあります」と細川さん。
海外の研究では、生理痛やPMS症状が特定の食べ物や栄養素などにより改善するという研究報告もあるそうです。後編では、改善方法について詳しくご紹介します。

人生を豊かにするために、ヘルスリテラシーを高めよう

なんとなく我慢している生理痛やPMS。自分の身体について考えてみよう【前編】
「生理が遅れている、早くきた」「経血量が多い、少ない」「この痛みや不調は病院に行くべき?」など、不安に思ったり悩んだりすることはないでしょうか?また、忙しいから、そこまでじゃないから病院に行かなくていいや…という方も多いかもしれません。
ヘルスリテラシー(=健康に関する情報の中から、正しい情報を得て理解する力、即座に行動に移す力)を身に付けることは、仕事や家事、育児、そして人生の生産性や充実度に繋がるということを細川さんは教えてくれました。

「健康の不安は、生活の不安につながります。生理痛やPMSなど女性特有の不調をどのように乗り越えるかによって、人生の生産性が大きく変わります。望んだ時期に妊娠できたり、不妊治療も結果が出やすかったりすることも。健康であることは、根本的な生きている自信にも繋がるので、ぜひヘルスリテラシーを高めてみてください」

自分の生理について、一度考えてみよう

なんとなく我慢している生理痛やPMS。自分の身体について考えてみよう【前編】
不快感や痛みなど、少し嫌厭してしまう生理ですが、改めて見つめ直すことで自分の身体を知るきかっけになったり、別の病気の発見に繋がったりすることもあるかもしれません。
今一度、ご自身の生理の状態について考える機会をつくってみるといいですね。

後編では、生理痛・PMSの改善方法や快適に過ごすアイテムをご紹介します。ぜひチェックしてみてください。
illustration/Shinco Uematsu

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