「日本ワイン」は世界的にも高評価
「日本ワイン」とは
かつて日本のワインというと、海外から輸入した濃縮果汁に水などを足して製造したものや、輸入ワインに国内のブドウを混ぜて造られたものも“国産”と呼ばれていました。しかしそれでは消費者が混乱してしまうため、原料の産地を明確にしようと、国際規定に準じた「ワイン法」が制定されることになりました。現在、日本のワインは大きく2つに分けられます。
日本で栽培・収穫されたブドウのみを使い、国内で醸造されたワイン
『国内製造ワイン(国産ワイン)』
海外から輸入した濃縮果汁やブドウを使って、国内で製造されたワイン
「日本ワイン」の四大主要産地①【日本でNo.1の生産量:山梨】
ワイン造りの歴史
明治時代には固有種である「甲州」種を使用しワイン造りが始まりました。その後、勝沼で日本初のワイン会社が設立され、日本のワイン造りは本格化。昭和初期には日本の気候に合ったぶどうの品種改良に成功し、「マスカット・ベーリーA」種が誕生します。戦後、日本人の口に合う甘味料を添加した果実酒が人気を呼ぶなど、ワインがより広く知られるように。そして80年代以降、「ボージョレ・ヌーヴォー」ブームも追い風となり、ワインはお洒落でポピュラーなお酒として全国に定着します。山梨県内にも次々とワイナリーが誕生し、今では「地理的表示」(※)に指定されるほど品質の高いワインとして認められています。
山梨の代表品種
『甲州』
繊細な和食に合わせると、さらにおいしさが引き立つのも日本の固有種ならでは。焼き魚や野菜の天ぷら、鯛のお刺身など家庭の味にもマッチしますよ。
日本ワイナリーアワードで4つ星を受賞したこともあるシャトーの白ワイン。香りは柑橘やアプリコットのような甘い香りで、口当たりはすっきりドライ。甘さは控えめなので、繊細な味付けの和食に良く合います。天ぷらや和風ベースの鍋、煮物など家庭の味にぴったり。
国際的にも評価されるワイナリーの甲州です。レモンやリンゴ、スダチを彷彿とさせる爽やかな香りと、しっかりした果実味感じる味わいで、これぞ甲州!という辛口の一本。サラダやパエリア、刺身、シロイカのソテーにぴったりです。
『マスカット・ベーリーA』
マスカット・ベーリーA特有のイチゴやベリーのような甘い香りが特徴。すっきりした飲み口でどんな料理とも好相性です。山梨の土壌の良さを存分に感じられる地元の人も好んで飲むワイン。焼き鳥や肉じゃが、豚肉の生姜焼きなど日常の食事に合わせられるのがうれしいですね。
香りは花やベリー系果実、プラムが感じられ、口に含むとフレッシュな酸味が広がります。あとには穏やかなタンニンが感じられ、赤ワイン好きの人にも高評価。クセがなく飲みやすいので、食事にも合わせやすいですよ。
山梨県韮崎市穂坂地区は、凝縮度の高いワイン造りで有名な地です。ここで収穫されたマスカット・ベリーA種を発酵前のタンク内で低温浸漬し、その後発酵させたのがこちらのワイン。力強い味わいの中に繊細さも感じられ、イタリアンやカレーにも◎。
「日本ワイン」の四大主要産地②【ブドウ栽培に適した気候:長野】
千曲川ワインバレー
北信州の丘の上に、醸造所やレストラン、小さなチャペルなどが点在するワイナリー「サンクゼール」。そのワイナリーで造られ、フェミナリーズ世界ワインコンクール2021でゴールドを受賞したワインがこちらです。樽熟成による香ばしさとまろやかな口当たりが特徴の辛口。シャルドネ100%の豊かな味わいをお楽しみください。
日本アルプスワインバレー
昔から塩尻市周辺で栽培されているブドウ「コンコード」を使用。コンコードは、「赤玉ポートワイン」に使われていることでも有名です。独特の赤い鮮やかな色合いと、黒砂糖のような甘い香りが特徴。タンニンの渋みをほとんど感じないので、赤ワインの渋みが苦手、という人にもおすすめです。アルコール度数が10.5%と、赤にしては低めなのも飲みやすいですよ。
日本アルプスワインバレーの安曇野で栽培される、「シラー」種を使った濃厚辛口ワイン。ハーブのニュアンスが感じられ、黒コショウのようなスパイシーさもあります。タンニンの重さと果実味もしっかりしており、ジビエやジンギスカンなどとぴったりの相性。
桔梗ケ原ワインバレー
桔梗が原ワインバレーにある有名ワイナリーの代表ワイン。日本各地で栽培される、アメリカ・ナイアガラ州原産の糖度の高いブドウ「ナイアガラ」種を使った甘口の飲みやすい白ワインです。クセがなく芳醇でフルーティー、ワインが苦手な人にも飲んでもらえそうな親しみやすさが特長。お手頃なのでお土産にもいいですね。
天竜川ワインバレー
信州まし野ワインの前身は、りんご加工組合。リンゴジュースやシードルも美味しいこちらのワイナリーの人気白ワインです。美しいレモンイエローに、樽由来のバニラ香と柑橘系の香り。あとからナッツの香りも加わって複雑さも持つ味わいです。比較的リーズナブルなのも◎。
「日本ワイン」の四大主要産地③【良質なワインが続々:北海道】
小樽市:北海道ワイン株式会社 小樽醸造所
濃厚な赤でありながら、たっぷりの果実味を感じるジューシーさがあり、甘口ならではのコクがあります。加熱殺菌を行わず、精密ろ過によって酵母の影響を取り除く「生ワイン製法」を取り入れているので、瓶熟成も楽しむことができます。
余市町:余市ワイナリー(日本清酒株式会社)
余市産の「ミュラー トゥルガウ」種を100%使った白ワイン。花や果実のようにみずみずしく甘い香りが特長。クセがなく、さらっとしてやや甘口の口当たりです。幅広い食材と合うので日常的にストックしておきたくなる一本です。
池田町:池田町ブドウ・ブドウ酒研究所
池田町産の「山幸種」を発酵終了後、フレンチオーク樽で一定期間じっくり熟成させてビン詰めした、コクのあるワイン。野趣あふれる独特の花のような香りが特徴です。冷やしすぎずに、肉料理などと合わせて味わってください。
「日本ワイン」の四大主要産地④【人気のワイナリーがある:山形】
近年、山形観光ではワイナリー巡りも人気。その火付け役ともなったのは、東北一の規模を誇る『高畠ワイナリー』です。代表種の「シャルドネ」を使用したワインは国際コンクールでも受賞するほどの高評価。
高畠ワイナリー
毎年秋に行われる収穫祭では、全国からたくさんのワインファンが訪れます。山形の味覚とともに、高畠ワイナリーでしか飲むことができない希少ワインの試飲ができますよ。
高畠ワイナリーのベーシックブランド。「マスカット・ベーリーA」種を主体とし、高畠町産の「メルロー」種を加え、より深い味わいに仕上がっています。豊かな樽香と、凝縮した果実とタンニンを感じる味わいは、ワイン好きも納得の出来です。
山形県内で栽培された「ナイアガラ」種を低温発酵・低温熟成させた辛口白ワインです。マスカットやパイナップル、ハーブの香りが広がり、軽やかな酸が爽やかな印象。普段の食事に合わせたくなるカジュアルさも魅力です。
その他の注目ワイン産地
新オープンのワイナリー続々『新潟』
「マスカット・ベーリーA」種から造った辛口ロゼワインです。独特の甘い香りとしっかりとした酸味、美しく繊細なロゼ色は、これぞ日本のロゼワインといった面持ち。ラベルは、陶芸家・齋藤三郎氏による雪椿が描かれています。本格的な日本のロゼが飲んでみたいと思ったら、ぜひ一度味わってみてください。
日本最南端の産地『宮崎』
良質な果汁のみを使用し低温発酵させ、熱処理せずに仕上げたフルーティーなロゼワイン。鮮やかな薔薇色が美しいですね。甘口なので、食前酒やデザートワインとして楽しんでください。
格付けの日本版?日本ワイナリーアワード
ワインの産地、山梨は最多のランクイン。他にも意外な産地のワイナリーが星を獲得しているので、ぜひチェックしてみてください。
登って美しい登美の丘の自園産ぶどう100%を使用したワイン。柑橘系の爽やかさと白桃のような甘い果実を思わせるふくよかな香りが特徴です。フレッシュな酸味とほどよい渋みが感じられ、穏やかなのにしっかりとした飲みごたえも感じます。