ふんわり上がる蒸気に、ほんのり漂う木の良い香り。そして、蒸してからそのまま食卓に出せる手軽さ。「せいろ」を使ったお料理を想像するとどれも美味しく幸せなイメージがありますが、実際に取り入れてみようと思うとなかなか手が出ない…という方も多いのでは？いったいせいろにはどんな特徴があるのでしょうか。

手軽に食材を温められるのは電子レンジですが、あえてせいろを使うことには電子レンジにはないメリットがあります。せいろならではの良さといえば、野菜を蒸すと味・甘みが増し、栄養価が溶け出さないのでヘルシーなこと、お肉は余分な脂が落ちて、脂っぽさやカロリーが抑えられることが挙げられます。

使いこなすのが難しそうなせいろですが、使いだすと意外と簡単で、お料理の際なにかと重宝します。食材を入れて蒸している間は他のおかずを作れますし、時間さえタイマーでセットしておけば火加減を気にする必要もありません。蒸している間に漂う良い香りは、キッチンでの時間をより充実したものにしてくれそう。お料理するときに便利で幸せな気分になれる、日本製のしっかりとしたせいろをご紹介します。

せいろのサイズは、六寸半、七寸、八寸、九寸の4種類。大きいほうの八寸と九寸は浅いタイプもあります。家族のサイズや用途に合わせて、ぴったりなサイズを選びたいですね。

新潟県唯一の老舗曲げ物工房「足立茂久商店」のわっぱセイロ。昔ながらの作り方をかたくなに守り、常に本物だけを作り続けています。研究を重ねた末に作られた、鉄釘を使わない電子レンジで使えるわっぱは、平成3年に科学技術庁長官賞を受賞しました。

岐阜県付知（つけち）町でつくられている「木曽ヒノキのせいろ」は、節のない細やかな木目が美しく、漂うヒノキの香りが清々しい。厳しい管理のもとに育ち、節がない良質な高級建材として人気がある付知のヒノキを、手仕事により曲げ木の技術でせいろに仕上げました。

サイズは、24cmと27cmの2種類。1～2人前の肉まんやシュウマイをあたためるのにちょうど良い24cm。家族が多い方は27cmを。電子レンジで温めるのとは違い、せいろで蒸すと食材に均一に熱が入るだけでなく、水分も補われるのでふっくらしっとり仕上がります。焼き立てのふんわりもっちり感が蘇るから、パンの温めにもおすすめ。

せいろの直径にぴったり合う鍋を探すのは、意外と大変なもの。また、鍋に直接せいろを置くと、火力によってはせいろが焦げてしまうことも。そんなときに便利なのが、「蒸し板」です。横浜中華街にあるせいろや中華鍋など調理器具の専門店「照宝」の「むし板」は、アルミ製の丸板の中央をくり抜いたドーナツ型。中央の穴より大きければ、せいろよりも直径が小さい鍋でも組み合わせが可能です。

鍋にお湯を沸かしたあと、蒸し板、せいろの順に重ねて使います。間に蒸し板を挟むことで、せいろと鍋の組み合わせがぐんと広がり、せいろの焦げ付きも防げます。安定して置くこともできるため、せいろを複数重ねたいときにも安心。26cm、29cm、32cmの3サイズから選べます。