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vol.31 点と線模様製作所・岡理恵子さん -北で見つけた
「土地」と「ものづくり」が繋がる場所

北海道は小樽市。日本海側に面し、北海道の中でも雪が多いこの場所で、小さな物語のような模様が作られていることをご存知ですか? 「点と線模様製作所」は、北海道の風景や生き物を題材にしたテキスタイルブランドです。ずっと大事にしたい絵本のような、懐かしくて愛おしい模様たちは、どんなふうに「土地」と結びついているのでしょうか。今回は、デザイナーの岡理恵子さんにお話をお伺いしました。(2016年02月12日作成)

写真:松木宏祐文:キナリノ編集部

「七年目にして『北海道』に意味があったんだなって、やっと振り返るようになりました」

しんしんと降る細雪のように、ぽつり、ぽつりと。でも確かに、積み重ねるように話してくれたのは、「点と線模様製作所」テキスタイルデザイナー、岡理恵子さん。動物や植物、自然をモチーフにしたテキスタイルを中心に展開する「点と線模様製作所」は、2008年のスタート以降、「PARCO」や「倉敷意匠計画室」など、様々なショップやブランドとコラボし、雑貨、ファッション小物、雑誌の挿絵、ショーウィンドウの壁面など、活動の幅を広げてきました。
すべて長さで量り売りされているテキスタイル。プリントと、刺繍が施されたもの

すべて長さで量り売りされているテキスタイル。プリントと、刺繍が施されたもの

ころんとした形が愛らしい「紫陽花」。こちらは2013年に作られたテキスタイルです

ころんとした形が愛らしい「紫陽花」。こちらは2013年に作られたテキスタイルです

きつねたちが楽しそうに駆け回っている情景が浮かぶ「キツネノ小道」

きつねたちが楽しそうに駆け回っている情景が浮かぶ「キツネノ小道」

人気のテキスタイルで作ったトートバッグ

人気のテキスタイルで作ったトートバッグ

繊細な模様の中には、いつかどこかで見たような風景、懐かしいひかりの色が見え隠れ。見る人の心を温かくする「点と線」のテキスタイルたちは、岡さんが生まれ育った北海道の風景が強く影響しています。何を見て、聴いて、感じることで、あの美しく、のびやかな線が生まれていくのか。岡さんが日常で集めてきた「点」と「線」が繋がるまでの、少し前のお話を聞いてみました。

「点と線模様製作所 デザイナー・岡理恵子」ができるまで。

「小さいころは、本当に普通の子でしたよ。友達と遊ぶこともあるんですけど、学校帰りにはおばあちゃんの家に寄って、横でテレビを見たり本を読んだりしていました。両親が共働きで、姉とも5つ歳が離れていることもあり、割と一人で遊ぶことに抵抗がない子どもでした」

手先がとても器用だったという、岡さんのおばあさま。新しい手芸にチャレンジしては、どんどん極めていったのだそう。岡さんの描く精工なテキスタイルは、おばあさまの血を受け継いだものだったのでしょうか。

「それが、そんなこともなかったんです。マフラーの編み方を教えてもらっても、私が昼寝している間に完成していたり(笑)。祖母はお洋服を作るのも得意だったので、本を見て『素敵だな』と思ったセーターやワンピースをリクエストしたり、私は作ってもらうことの方が多かったですね」
vol.31 点と線模様製作所・岡理恵子さん -北で見つけた
「土地」と「ものづくり」が繋がる場所
岡さんのご自宅から見える一面の銀世界。取材当日に出迎えてくれた岡さんのお母様が、「これでも今年は(雪が)少ない方なんですよ」と、笑顔で話してくれました

岡さんのご自宅から見える一面の銀世界。取材当日に出迎えてくれた岡さんのお母様が、「これでも今年は(雪が)少ない方なんですよ」と、笑顔で話してくれました

「ものづくり」の扉を開けたのは大学生のとき
中学・高校時代には吹奏楽部に入るなど、ものづくりとは関係のない道を歩んでいた、と岡さんは話します。ですが、高校卒業後は、様々なデザインや建築など、芸術分野の制作・研究を行う旧北海道東海大学大学院(※現東海大学)の芸術工学研究科の芸術工学研究科に入学し、インテリアデザインを専攻します。

「きっかけは些細なことだったんですよ。『試験を受けるための勉強』は高校受験で嫌になってしまって(笑)。推薦入試ができるところというのと、職人さんが何かを作っている姿を見るのが好きだったのもあり、ものづくりが出来る場所を探したんです。実はそれまでほとんど絵も描いたことがなくて、入試の三ヶ月前くらいから美術の先生にデッサンを教えてもらったんです」
アトリエの本棚には、デザインの教科書から図鑑や絵本などがぎっしり並んでいました

アトリエの本棚には、デザインの教科書から図鑑や絵本などがぎっしり並んでいました

そこから絵を描くことにのめりこんで行った……のではなく、岡さんの感覚はそれと少し違っているそう。

「そんなに絵を描くのが楽しいとは思ってなくて。『用途性のある模様を描く』という感じで作っていて、今も『絵を描いている』っていう感覚ではないからこそ、描けるんですよね」

うまく言えないんですけど、と、自分の中の感覚を丁寧に言葉にしながら教えてくれた岡さん。そんな彼女は、大学在学中に、モダンデザインの父と呼ばれる19世紀イギリスのデザイナー、「ウィリアム・モリス」の壁紙を木版で再現します。
本棚の中にも「ウィリアム・モリス」のデザイン集が

本棚の中にも「ウィリアム・モリス」のデザイン集が

きっかけは先生の一言
壁紙作りのきっかけは、大学の先生。空間デザインを勉強していた岡さんに、「空間の印象を決める壁紙を作ったら、 “基本のキ”が勉強できると思う。カーテンみたいに開閉するものではなく、常にそこにあるものの模様を勉強するべきだ」というアドバイスをくれたそうです。

「それがすごく腑に落ちたんですよね。元々モリスの模様が好きだったっていうこともありますし、今まで大学で学んだことも活かしながらできるなあって。それまでは、漠然と「模様作りをしたい」という想いだけだったんです。先生が壁紙を薦めてくれたときに、『モリスも、暮らしの中にある美しいものを目指して色々なものをデザインしていたんだよ』って教えてくれて。それを聞いて、『あ、自分が目指したいのはそういうものだな』って気付いたんです。モリスのやってきたことが、自分にとってもしっくり来て。先生の一言は大きかったですね」

日々のきらめきが「模様」として生み出される瞬間

点と線模様製作所のオリジナル生地シリーズ「北の模様帖」。そのデザイン解説を読んでみると、岡さんが「何気ない瞬間」に遠くまで耳を澄ませていることがわかります。普通なら見落としてしまいそうな日常や風景のかけら。どのようにして、テキスタイルに昇華させているのでしょうか。
「雪かきのあとで」
「雪かきをした後に残るのは、どんな模様でしょうか。透き通るような冬の青空、汗をかきながらかいた雪跡。太陽の光に反射する強い光のコントラストに夏を思い出して作った模様です。」(北の模様帖・雪かきのあとで)

画像提供:点と線模様製作所

「雪かきをした後に残るのは、どんな模様でしょうか。透き通るような冬の青空、汗をかきながらかいた雪跡。太陽の光に反射する強い光のコントラストに夏を思い出して作った模様です。」(北の模様帖・雪かきのあとで)

画像提供:点と線模様製作所

「bird garden」
「夜中に鳥の鳴き声が聞こえました。一見、暗く静まりかえった森から聞こえてくると、何とも不思議な気持ちになります。鳴き声の主達はどんな詩を歌っているのでしょうか。枝や葉はどんな風にとりまいているのでしょうか。そんな不思議の気持ちを題材に鳥の庭と題して作った模様です。」(北の模様帖・bird garden)

画像提供:点と線模様製作所

「夜中に鳥の鳴き声が聞こえました。一見、暗く静まりかえった森から聞こえてくると、何とも不思議な気持ちになります。鳴き声の主達はどんな詩を歌っているのでしょうか。枝や葉はどんな風にとりまいているのでしょうか。そんな不思議の気持ちを題材に鳥の庭と題して作った模様です。」(北の模様帖・bird garden)

画像提供:点と線模様製作所

tanpopo/dandelion
「広い大地に一面に咲くタンポポ。風が吹くとさわさわと揺れ、黄色と緑の波がたつようです。春、一瞬の風景を模様にしました。」(北の模様帖・tanpopo/dandelion)

画像提供:点と線模様製作所

「広い大地に一面に咲くタンポポ。風が吹くとさわさわと揺れ、黄色と緑の波がたつようです。春、一瞬の風景を模様にしました。」(北の模様帖・tanpopo/dandelion)

画像提供:点と線模様製作所

「自分がいない」視点で自然を見つめる
ご自宅の一室にある岡さんのアトリエ。部屋に入ってすぐに、テーブル傍の大きな窓に目がいきます

ご自宅の一室にある岡さんのアトリエ。部屋に入ってすぐに、テーブル傍の大きな窓に目がいきます

木のある場所が好きで、「針葉樹の風景を見ると落ち着く」と言う岡さん。冬に一枚も葉がない木が、春になると何日もしないうちに緑になり、その移り変わりの勢いに圧倒されるとか。アトリエにしている部屋には、大きな窓があり、四季を見つめることができます。

「冬は木に葉っぱがないけど、だからこそ、違う季節に思いを馳せる。今じゃないどこか、今じゃない季節を想像するのが好きなんですよね」
vol.31 点と線模様製作所・岡理恵子さん -北で見つけた
「土地」と「ものづくり」が繋がる場所
「風景や自然の中で起こったことを模様にするときは、無になれるんです。自分が、自分が、ではなく『自分がいない視点』で、じーっとそれを観察することで、気持ちを切り変えられると言うか」

「幼いときから一人の時間が多かったことも影響しているかもしれない」と話す岡さん。「自分がいない視点」とは、客観的に、自分と他者を切り離して考えること。一見、冷たい印象を受けかねますが、それこそが岡さんの「あたたかなものづくり」に強く影響を与えていました。

お客さん・職人さんと接する中で模様の作り方も変化が

大学を卒業後は、各地で展示販売を行うことで、少しずつ“点”と“線”を繋げていきます。どこかの会社に就職した経験がない代わりに自分の足で会いに行くこと、それ自体が下積みのようなものだったと話す岡さん。お客さんや職人さんなど、ものづくりをする上で欠かせない他者との繋がりでたくさんの気付きがあったと言います。

「お客さんは方向性を教えてくれる感覚も持っている方々なので、話している中で次はこういう生地作ろうかな、とひらめくことも多いです。『これを見て、ポーチじゃなくてお洋服作りたくなっちゃった! 』という風に、生地を見て何を作るか思い付く方もいらっしゃるので、それはとてもうれしいなあと思いますね」
2014年に行われた静岡での展示で、立て看板を描く岡さん
画像提供:点と線模様製作所

2014年に行われた静岡での展示で、立て看板を描く岡さん
画像提供:点と線模様製作所

お客さんと接するうちに、当初の模様づくりから変化した部分もある、と岡さんは続けます。

「空間デザインを勉強していたので、テーブルクロスやクッションカバー、カーテンの模様を想像しながら作っていたんですけど、お客さんは圧倒的に、小物やお洋服を作る方が多いんですよね。なので、それに合わせて、オリジナルの模様は最近どんどん小さくなってます。こんなに小さくなるとは思わなかったです(笑)」
小さなブローチにしても映える岡さんのテキスタイル

小さなブローチにしても映える岡さんのテキスタイル

お客さんや職人さんと接するうちに、できるようになったこと、気を付けるようになったこともあります。

「小さい模様を作るようになって、断然動物などが描けるようになって来ましたね(笑)。学生のころは、絵が描けなかったので線だけで構成していました。線を引いて、上に丸をつけて花に見せる……という風に、どちらかというと図のような形で作っていたのが、今はだんだん手を動かして、挑戦して描くようになりました。最初は動物の模様に苦労していたんですけど、色々勉強しながら、クレヨンや絵の具、ペン、色々な画材の力を借りて描いています」
初めは苦手だったという動物の模様。そんな風に思えないほど、躍動感に溢れた生き生きとした姿が描かれています

初めは苦手だったという動物の模様。そんな風に思えないほど、躍動感に溢れた生き生きとした姿が描かれています

机の上には、カラーペン、色鉛筆、絵の具など、様々な画材が並びます

机の上には、カラーペン、色鉛筆、絵の具など、様々な画材が並びます

机の横にちょこん、と寄りそう引き出しと、よく使い込まれた道具たち。どちらも味があります

机の横にちょこん、と寄りそう引き出しと、よく使い込まれた道具たち。どちらも味があります

また、模様づくりで欠かせないのが職人さんとのやり取り。特に気をつけているのは、職人さんに渡す図案を不完全なまま渡さないことだそう。基本的なことなんですけど、と岡さんは続けます。

「最初は意識していなかったんですけど、刺繍工場の方に図案を見てもらったときに、『良くなる模様だというのがこの図案を見て分かる』と言ってもらえたんです。良くなっていく模様は迷いがなく、最初からまとまって出てくるものだって。視覚で交換し合うものだから、頭の中のイメージを言葉で伝えてもわからないので、ちゃんと作った物を渡すのはやっぱり間違いじゃないんだな、と思って。それを聞いてから、より、中途半端なものを渡さず一回一回完結している模様を出すようにしています」
「北の模様帖・bird garden」(左)と、「QUARTER REPORT・Risu no Shigusa」(右)の原画。何枚も紙を切り貼りして作られていることがわかります

「北の模様帖・bird garden」(左)と、「QUARTER REPORT・Risu no Shigusa」(右)の原画。何枚も紙を切り貼りして作られていることがわかります

テキスタイルの原画を見せてもらうと、絵の描かれた紙をいくつも貼り合わせて模様が出来上がっていることに気付きます。刺繍であれば、加工に必要なリピート(※絵柄を繰り返す間隔)サイズにしたもの、プリントであれば完全に完成したものを職人さんに渡すのだそう。

「原画は一枚絵で仕上げるのではなく、一つの部品として仕上げ、そこからはパソコンで切り貼りしていきます。一枚で全部描きあげようとすると、その時の『こんな模様にしたい』っていう勢いが薄れてしまう気がして。パソコンで作業できるところまで完成したら描くのをやめるんです。早く模様にしたい、という気持ちがあるんですよね」
原画を描き終えたら、レイアウトはパソコンで行います

原画を描き終えたら、レイアウトはパソコンで行います

目指すのは人を安心させる「健康的」な模様

岡さんがデザインした「QUARTER REPORT」で作られたカーテン

岡さんがデザインした「QUARTER REPORT」で作られたカーテン

ずっと使えるものを届けたい。岡さんの模様作りは、いつも「誰か」――使う人を想うところから生まれています。卒業後、岡さんは母校である東海大学北方生活研究所が発行する所報に寄稿しているのですが、そこにはこんな一文が綴られていました。

「生活の場で使われる模様は『落ち着いた』『大胆な』など様々な種類がありますが、全てにおいて健康的で使う人や空間を最もよく表現し支えることが大切な要素だと思います」(点と線模様製作所 blog・2010年9月3日)

岡さんにとっての<健康的な>模様とは、いったいどんなものなのでしょうか。
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「土地」と「ものづくり」が繋がる場所
岡さんは、「模様の基本は、場所や時に応じそこに馴染むものを作ること」だと言います。奇抜な柄などは、その変化形で生まれるものだ、と。

「もちろん健康的でない模様があっても良いんですよ(笑)。それはTPOで。何かのパーティーのときに、少し人に刺激を与えるくらい挑戦的な色や模様であっても、ハレの場であればその模様はちゃんと成立すると思うんですよね」

私の場合は、と、岡さんは続けます。

「一つ模様ができあがると、なるべく、ずっと販売し続けられるような『定番』になってほしいと思っていて。そこを目指すとなると、人に害を与えない、視覚的に疲れない、邪魔にならない……、その模様を見ていると怖い感じにならないものをイメージするというか。やっぱり、昔々の人たちにとっての『模様』は、自分の身を守るため、子どもを守るため、自分がどこの人かわかるようにするためのものであったように、その人や空間にとって『意味がある模様』であって欲しいなと思っていて。自分の場合は、それにプラスして今の世の中に向けたものなので、『健康的な模様』っていう表現をしたんです(笑)」
様々な色がのせられているのに、どの色もパレットの上でケンカせず、なんだか馴染んでいるよう。このやさしい色使いもまた、「健康的な模様」に欠かせないものなのです

様々な色がのせられているのに、どの色もパレットの上でケンカせず、なんだか馴染んでいるよう。このやさしい色使いもまた、「健康的な模様」に欠かせないものなのです

「誰かのためのものづくり」に場所は関係ない

おばあさまが家族のために、と色々なものを作ってくれた「好意」が、ものづくりの原点だと話す岡さん。

「そこが何かを作る本当に最初のかけらだなって。自分の何かを見せたくてスタートした訳ではなく、『誰かのために』と始めたものなので、今でもそれは変わらないですね。なので、ほかの場所に行ったからといって、何かが変わるもんでもないなあって思っています。どこでやってても『どこかの誰かのため』になるだろうし、自分が体験していることは、誰かも体験しているって思うと場所はあまり関係なくって」
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「土地」と「ものづくり」が繋がる場所
時折、窓の外を見つめながら、もう一度確認するように、岡さんは続けます。

「ここにいると、良いことばかりでもないですけどね。東京と比べて、早い流れに乗ることはできないですし。すごくマイペースに進めている状況なんですけど、『誰かのため』の模様作りなので、購入してくれる人のために作るのであれば、そのことを考えながら作らなきゃいけないなと思うんです。だから、少し流行と距離があることで、『誰かのため』に集中できる気がしていて。これが正解かはわからないですけど、本質の、本当のところの模様を作るっていうことになってくるのかなって」
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「ここ」でしかできないこと
「生涯を通して続けていきたいことに場所は関係ない」。
しかし反対に、無意識の内で自分を形成していくのは、「自分が心地良いと思う場所」だということもまた事実です。
矛盾しているようですが、まっすぐな岡さんのお話を伺っていると、そのどちらにも頷けるような気がします。そして、どちらもきっと、岡さんの「ものづくり」のために必要なこと。ひょっとすると、それを両立することが、岡さんにとっての「北海道でしかできないこと」に繋がっていくのかもしれません。

「そうかな、って思いながら今は続けています。最初は気後れしていた部分もあったんです。テキスタイルの学科を卒業しているわけでもないので、自分はどこに向かえば良いのかがわからなかった。でも、競争の中でやっていくより、『対お客さん』との関係をこつこつと積み上げて行くのが自分のものづくりの形だという気持ちがあったから、今改めて振り返ってみると、北海道に意味があったんだなって。そう思える7年目になりました」

残したいのは「岡理恵子」ではなく、「ずっと愛されていく模様」

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「土地」と「ものづくり」が繋がる場所
「暮らしが線でつながり年月となって引き継がれていくように」という願いをこめてスタートした点と線模様製作所。7年目を迎え、今までは考えもしなかった「作った生地をどうやって残していくか」ということを少し、考えるようになったといいます。
vol.31 点と線模様製作所・岡理恵子さん -北で見つけた
「土地」と「ものづくり」が繋がる場所
作者のものではなく、それを手にした人の風景に馴染んでいくようなものを作っていくことが、岡さんの目指す模様作り。

「私の模様作りは、自分ではなく『それを使う人が主役』だと思って作っていて。<岡理恵子が作った模様>ではあるんですけど、時を重ねていくうちに、私が作ったものじゃなくなればいいのにって思うんです。長い間かけて、『これ、誰がデザインした柄か分からないけど家にずっとあるよね』って感じで、模様だけがずっと残っていけばいいなあって。60歳まではこういう仕事を続けて、そのくらいになったら、モリスが仲間たちと建設設計した自宅『レッド・ハウス』のように、今度は自分の作りたいものに囲まれたそんな空間を作りたいです。今度は『誰かのために』ではなく、すごく個人的なことをしていきたいなぁ、ということは思ったりします」

もう少し先の未来の話を、はにかみながら、笑顔でそう答えてくれました。
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「土地」と「ものづくり」が繋がる場所
どこかの日常、誰かの手の中で……。これから先、どんな場所で、点と線が繋がって行くのでしょうか。
どんな場所にいても、そこには必ず、ほかの誰かへの「気持ちあるものづくり」が存在します。そんな想いを紡ぐように、編み上げるように。「点と線模様製作所」はこれからも、いつか誰かが見たような、だけどまだ誰も見たことのない景色を、「どこかのあなた」のために生み出していきます。

アトリエの窓から見える真っ白な雪は、もう次の景色を待っているかのようです。

(取材・文/長谷川詩織)
点と線模様製作所 | てんとせんもようせいさくじょ点と線模様製作所 | てんとせんもようせいさくじょ

点と線模様製作所 | てんとせんもようせいさくじょ

デザイナー・岡理恵子さんが2008年にスタートさせたテキスタイルブランド。岡さんの出身地である北海道を拠点に、様々な自然の風景や動物をモチーフにしたデザインを展開している。ノスタルジックな情景を描いた模様と、柔らかい色彩が人気を集め、様々なショップやファッションブランドとのコラボレーションや、各地でワークショップや展示販売を行うなど、幅広く活動中。

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