やはり着てみなくてはわからないことがたくさんあります。自分の体になじむか、腰回りや首回りが快適か、ボタンやファスナーが扱いやすか、裏地の肌触りが良いか、など。まずは試着して、これから長く付き合っていけるかどうかの相性を必ず確かめましょう。

感触で選ぶというのは、案外間違いないものです。上質の天然素材は、優しい手触り。また、糸の織りが細かい服は仕上げがしなやかです。手にとって表面を撫でてみた時に心地良いかどうかは、品質を見極める1つの重要なポイントですよ。

洗濯に強く、毛玉ができにくく、型崩れしにくいのが、コットンとリネン。100%天然の植物性素材は肌に優しく、長持ちします。こちらのカーディガンは、春夏シーズンでも着られる爽やかさな肌触り。ホールガーメントで動きやすく快適な着心地です。こうした1着は、年齢を問わず上品に着続けられますね。

デニムとレザーも10年選手の代表マテリアルです。
デニムは、「綿100&製のほうが経年変化が少ない」「ポリウレタン混合のストレッチ素材のほうが型崩れしない」と、意見が別れるところ。個人の好みにもよるので一概には質の良し悪しを語れませんが、生地の厚さや色合いを見比べてみてください。生地そのもので違いがわからなければ、縫製や織りの細かさを調べてみて。

丁寧に作られている服は、ボタンホールやボタンの縫い付けもキレイに仕上げられています。糸が切りっぱなしではみ出していないか、縫い目が曲がっていないか、細部も確認してみましょう。ファスナーやホックも同様にチェックしてみてください。

襟も、質の違いが現れやすいパーツです。首回りがヨレヨレしてくると長くは着られませんよね。襟のデザインやカット、裏地がついているかどうかも触りながら見てみましょう。

縫製の良し悪しが見えるのは、ボトムスの裾の処理、ウエスト部分の補強、ポケットの縫い付け部分など。荒い縫い目だと後々ほつれて型崩れしてきます。細かく丁寧に縫われているか生地を裏返して見てみて。
柄物の場合、繋ぎ目の柄がキレイに合っているかどうかというところにも、作り手のきめ細かさが現れます。

いつまでも愛せるのは、流行りに左右されない普遍的な美しさのあるデザイン。アウターなら、カチっと着こなすタイプよりもゆるっと抜け感のあるもののほうが、10年後、肩の力を抜いてナチュラルに着こなしていられそう。

例えば、すでに100年以上の歴史がある「もんぺ」は、きっとこの先もずっと日本の国民服であり続けるのではないでしょうか。動きやすく、汗がこもらず、洗ってもすぐ乾き、機能性は抜群。まさに和製ジーンズですね。

クラシックなトレンチコートは、いつの時代も最前線に存在している不動の定番アイテムです。細身のシルエットか、またはゆったりめをざっくり着るのか、デザインの違いを比べながら好みの1着を選びましょう。

膝下丈のスカートなら、年を重ねても可愛らしく着こなせます。ウエストがゴム仕様なら、万が一お腹周りがやや豊かになってしまっても大丈夫♪

上質を見極める目は、上質なものにたくさん触れていくことで養われていきます。ショップへ行ったら、縫製やディテールも気にしながら服を見比べてみてください。オンラインショッピングでも、素材の特徴や作り手の思いを知ることはできます。それぞれのストーリーからも、質の良さを読み取りましょう。

すべてのアイテムを10年選手に育てる必要はありません。わすか数着でも、長く着続けられる服を大切にしていくことは、丁寧な生き方につながり、暮らしに心地良さをもたらしてくれるはずです。質の良いものなら、多少の劣化はお直しで生き返らせて。取り扱いに気を配りながら、長く愛用していきましょう。
安定したシンプルな服装なのに誰とも違う魅力があふれているヒト。同じ服を着ていても、いつも違う新鮮な表情があるヒト。10年先も上質な服を着こなしている、そんなステキな大人の女性になりたいですね。